第61話 リザード族との戦闘
「もっと速く」
「隊長、これが限界です」
ラットがハンドルを握りながら言った。
特殊装甲車は唸りを上げて走っていた。
馬の倍以上の速度で移動していた。
だが、私は焦っていた。
凶暴化したリザード族が剣やナイフなどの武器を手にして何百もの数で暴れ始めたらやっかいなことになる。
既に正体不明の魔物が出現している。
それに加えて武装したリザード族は脅威だ。
「まどか、アズベルトの治安部隊とは連絡が取れたか」
「はい」
「どうだった」
「まだリザード族は町に到達していないようです」
「よし、急げ」
「隊長、あれを」
ラットが叫んだ。
私は車の前の席に行き、小さいの向こうを見た。
「何?」
目を疑った。
私はハッチを開けて、外に半身を出した。
目の前にはリザード族の一団がいた。
だが、数は数百ではなく千はいる。
しかも、同族のリザード族を馬の代わりにして、上に初めて見る人間に似たニュータイプのリザードが乗っていた。
「あれはいったい……」
装甲車の上には2つハッチがあり、外に半身を出すことができる。
もう一つのハッチからはジョンが身体を出していた。
「分かりません」
あんなのが大挙して、鉱山のある町を襲い、武器を手に入れたら、大変なことになる。
「このまま、走りながら、あいつらを掃射する。絶対に町に一匹たりともいれさせない」
「了解しました」
異世界から供与されたこの装甲車は異世界の陸上自衛隊で使っている96式と呼ばれる装甲車で40ミリの自動てき弾銃が装備されていた。
オクトパスがジョンに代わりハッチから半身を出すと40ミリの自動てき弾銃の射撃準備をした。
「ラット、もっと左に寄って」
リザード族の一番大きい群れの横につけた。
「オクトパス、準備はいい?」
「いつでも大丈夫です」
「隊長危ない」
私は身体を低くした。
矢が横を抜けた。
「よし、撃て!」
乾いた炸裂音が響いた。
数十メートル先の群れの中でりゅう弾が炸裂した。
着弾すると爆発と共に砲弾の破片が飛び散る。
リザートの群れが倒れた。
「続けて撃て」
40ミリの自動てき弾銃がパン、パン、パンと乾いた射撃音を発して、連続してりゅう弾を発射する。
爆発音や射撃音にリザードが驚き、上に載っているヒューマンのようなニュータイプのリザードを振り落として逃げ惑う。
「ラット、群れの中に入れ」
装甲車で、群れの中央に突っ込み、りゅう弾を連射した。
リザード族の進撃が止まった。
そうやってリザード族の軍団を蹴散らした。
だが、半数ほど倒したところで、オクトパスの射撃が止まった。
「隊長、弾切れです」
「よし、外に出て、残りのリザード族を掃討して、捕虜を救出する」
「了解」
私達は装甲車の外に出た。




