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第60話 リザード族



「隊長、まだ息のある者がいます」


 ラットが叫んだ。


 私たちはラットが介抱している村人のもとに行った。


「誰にやられた」


「リザード族です」


「リザード族は今までは人間の住む領域には入って来なかった。何があった」


「奴らはこれまでのリザード族とは違います。凶暴になって目が異様な光を帯びていました」


「だが奴らは見掛け倒しで、戦闘能力は弱いはずだ。槍で立ち向かえば撃退できたろう」


「やりました。私も戦いました」


 村人の男は涙目になった。


「なら、何故、村が全滅した」


「数が、数が違いました。これまでは多くても20体程度でした。それが何百も数で押し寄せたきたのです」


「リザード族が何百もの集団で襲ってきただと!」


「考えられない」


 リザード族は群れない性質がある。何百もで村を襲うなどいままでは考えられないことだった。


 私は村を見回した。家は破壊され燃やされていた。


 だが、死体の数が少なかった。


「村人はどうした?」


 男は慟哭した。


「泣いていては分からない。逃げたのか?」


「リザード族に捕まり連れ去られました」


 オクトパスが舌打ちをした。


「何人くらいだ」


「生き残っていた者、全てです。70人はいます」


「そんなに?」


「隊長、まずいですね」


 私は頷いた。


 リザード族は人間を飼い殺しにする趣味がある。しかも人間の身体を一部切り取り、身体の一部を失った人間を自分のペットのようにするのだ。


 リザード族に捕まった人間を見たことがあるが、両手と片目を失っていた。


 だが、リザード族に捕まるのは、犯罪を犯して逃亡し、治安部隊も追いかけて来ない辺境の果を一人でさすらっているような場合だ。


 今回のように村が襲われて70人もの村人が捕まるなどというのは前代未聞だ。


「隊長、本部に連絡します」


「ああ」


「そのリザード族の群れはどこに向かった」


 男は西を指さした。


「まどか、あの方向には何がある」


「鉱山の町、アズベルトです」


「人口は?」


「700人くらいです。それに、アズベルトは鉄が採れて、それを精製して武器も作っています。もしあの町がリザード族の手に落ちると、リザード族は鉄製の剣やナイフなどの武器を手にすることができます」


 リザード族は知能が低く、不器用で自分で鉄から武器を作ることはできない。


 しかし、ナイフや剣を使うことはできる。


 凶暴化した数百を超えるリザード族がナイフや剣で武装したらやっかいなことになる。


「アズベルトの治安部隊にすぐに連絡して警告しろ。それから応援の部隊を呼べ」


「はい」


「私達もアズベルトに行く。リザード族の一団が町を襲う前に殲滅して、捕虜になった村人を救出する」


「了解しました」


 私達は特殊装甲車に乗り込みリザード族の後を追った。




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