第57話 魔族の復活 その2
「隊長、危険です」
剣を抜いて向かって行こうとする私をジョンが止めた。
「見ただろう。物理攻撃は効かない。あれは魔族だ。魔法でしか倒せない」
「しかし、その剣の魔法効果は弱っています」
「だから何だ。もうこれしか手立てはない」
「でもアン王女にもしものことがあれば王国はどうなるのです」
「あれを放置しておいても、王国は滅びる。自分の命に代えても民を守るのが王族の務めだ」
「私が行きます」
「無理だ。王族の血を引いていないお前では、この剣を振っても、魔法効果が発動しない」
ジョンが悔しそうに俯いた。
「何をぐちゃ、ぐちゃ言っておる」
それが瞬間的に数十メートルを移動した。
そしてジョンを平手で払った。
ジョンが吹っ飛んだ。
「ジョン!」
私は剣を構えた。
刃先から青白い光が発光し始めた。
「まさか」
それが、驚いたような顔をした。
私は剣で襲撃者を払った。
相手は飛び去るように後ろに引いた。
剣先を相手に向ける。
じりじりと間合いを詰めた。
「おのれこしゃくな」
相手の尖った爪をした手が伸びてくる。
それを斬り落とした。
「うがあああああああああああああああああああああ」
襲撃者が信じられないものを見るように斬り落とされた自分の手首を見た。
「何故だ、何故人間の分際で」
そのすきに踏み込んで、剣で相手の喉を突いた。
「うげげげげ」
魔物がのたうちまわるようにしてもがく。
剣を抜くと振りかぶった。
「ええええい」
私は魔物を袈裟斬りにした。
魔物は2つに割れた。
斬られた肢体は毒々しい泡と煙を出しながら動かなくなった。
「隊長!」
まどかが涙ぐみながら駆け寄ってきた。
「ご無事ですか」
「ああ」
やっと応援の治安部隊が来た。
彼らは赤紫の泡と煙を吹いている肉塊を見て立ちすくんだ。
(あれは、魔物に間違いない。そして魔物は魔王が降臨しないと発生しない。もう既に魔王が復活しているということなのか)
私は魔物の死体を前にグランドに立ち尽くしていた。




