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第56話 魔族の復活 その1



 学校に着くと、校門から生徒たちがパニックになって逃げ出してくるところだった。


「行くわよ」


 特殊装甲車を降りると、私は駆け出した。


 構内に入ると、血まみれの人が何人も倒れていた。


「しっかりしなさい。すぐに救護隊が来るから」


 私はそう声をかけた。


「襲撃者はどこ?」


 教師らしき大人の女性に声をかけた。


「体育館の方です」


 私達は体育館に行った。


 生徒たちがこちらに逃げてくる。


「お願いです。キャリーを助けて下さい」


 少女が泣きながら言った。


「キャリーが襲撃してきた男の注意をみんなからそらすために、わざとおとりになり、誰もいない第二グラウンドに逃げて行ったんです。男はキャリーを追いかけたので、私達は逃げることができました。キャリーはバレー部のキャプテンをしていて責任感が強いんです。だから自分がおとりになって私達を助けようとしたんです。お願い、キャリーを助けて!」


「第二グラウンドはどっちの方向だ」


「体育館の裏です。あっちです」


 少女が指さした。


「行くぞ」


 第二グランドは体育館の裏手にあった。


 グランドの中央にそれはいた。


 右手に少女をかかえていた。


 多分あれがキャリーなのだろう。


「ジルはグランドのスタンドから狙撃、まどかはジルのバックアップ。ジョンとオクトパスとラットは私と来て」


 そう指示を出すと、グラウンドの中央に行った。


「その子を離すのよ」


 私は銃を構えた。


 オクトパスはグラネードランチャーを、ジョンはアサルトライフルの照準を合わせている。


「お前ら何者だ」


「アサルトチームよ。武器を捨てて、その子を解放しなさい」


 その男は笑った。


「人間の分際で何をいう」


 そしてキャリーの首に噛み付いた。


「撃て」


 無線でジルに指示した。


 アサルトライフルの銃弾が男の頭を貫通した。


 キャリーには血しぶきしかあたっていない。


 さすがジルだった。


「なんだ。今のは」


 男は顔を上げた。


 こめかみから血が出ていて、確かにライフル弾が貫通したはずなのに、頭は破壊されておらず、それどころか、言葉すら発している。


 男はキャリーを離した。


 キャリーはグランドに人形のように落ちた。


 絶命していることは遠くから見ても明らかだった。


「あいつを生かしておくな。撃て!」


 オクトパスがグラネードランチャーから榴弾(りゅうだん)を発射した。


 男に当たり、爆発して弾丸の破片が飛び散る。


 普通はこれで相手も爆発の威力と弾丸の破片でバラバラになるはずだった。


 だが男はそのまま立っていた。


 舞踏会に現れた襲撃者はこのオクトパスの榴弾で粉々になった。


 しかし、目の前の男には効かない。


 ジョンがアサルトライフルをセミオートで撃つ。


 銃弾が次々と男に身体に吸い込まれてゆくが、男は倒れなかった。


「ハッハッハッハ」


「貴様、何者だ?」


「あのお方の下僕だ」


「あのお方?」


「いずれ分かる」


 私は、剣に手をやった。


 榴弾が効かない相手に9ミリ弾を撃ち込んだところで意味がない。


 残された武器は魔法効果が付与されている勇者の剣だけだった。



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