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第51話 異世界の王女 告白する。 その2


「本当に?」


「本当だとも」


「嬉しい」


「でも、アンは僕のこと本当に好きなの?」


「どうして?」


「だって、初めて出会ったときがあんな風だったから、変態と思われて警戒されているかと思った」


「確かに最初はそうだったわ。だってタケルは裸で、しかもあんなだったんだもの」


 いたずらっぽくアンが笑った。


「しかも、異世界にひとりぼっちで、元の世界に戻ることもできなくて……」


 アンは僕の胸の上に頭の乗せて、僕の身体に手を置いた。


「ねぇ、私のいる世界で、王女が魔族や異邦人の捕虜になるとどうなるか知っている」


「分からないよ」


「陵辱された上に、残酷な殺し方をされるの。だから絶対、一人きりで行動をするなとか、常に護衛といるようにと物心付いた時から教育されるの。だから私は最初は自決を覚悟していたの。でもいつ父が召喚魔法陣を発動させて戻してくれるかもしれないから、ギリギリまで待って、もし襲われそうになったら自決しようと思っていたの」


(リビングで泣いていた時にそんなことを考えていたのか……)


「でも、タケルは私を襲うどころか、一番最初に『ごめん』って謝ったでしょ」


「ああ」


「話をしていて悪い人じゃないって分かったの」


(いや、結構、僕は失礼なこと言っていたぞ)


「でも、それが演技なのかどうか分からなくて迷っていたけど、その後、お洋服を買ってくれたり、食事をご馳走してくれて、それにシャワーの使い方が分からなくてパニックになって失礼な態度をした私にも優しかった」


 そう言われてもなんだか照れるばかりだった。


「シャワーを浴びて寝室に戻り部屋に鍵をかけてから思ったの。タケルが私を襲う機会はいくらでもあった。それに若い男の子が、女の子のあんな姿を見て、しかも家に二人きりなら何かするのが普通なのに、タケルは私のことを気遣い、優しくしてくれた。タケルはいい人で信じられるって思ったの。そうしたら急に抑えていた異世界に一人でいる不安や恐怖が押し寄せてきて、安心できる人に甘えたくなったの」


「そうだったんだ」


「その後も、タケルはずっと優しかった。そして私の好きなものは何でも買ってくれて、好きなことをさせてくれた。だから私……」


「アン」


「タケルのこと愛している」


「僕もアンのことを愛しているよ」


「今夜はここでタケルと一緒に寝てもいい?」


「もちろんだよ」


(どうしよう)


 急な展開だった。


 このままアンと結ばれてもいいのだろうか。


 迷いは無い。


 だが、アンのことは大切にしたかった。


 こうして今、お互いの気持ちも分かった以上、なおさらアンを大事にしたかった。


(でも、ここまできたら)


 僕の腕を枕にしているアンの頭が急に重くなった。


 見るとアンが安心しきった顔をして寝息を立てていた。


 時計を見た。


 もう午前1時だった。


 明日はアンが楽しみにしているディズニーランドに行くので朝が早い。


(焦らないでゆくか)


 僕もすぐに夢の国に落ちた。



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