第4話 御前試合
無事に容疑者を確保し、アサルトチームのメンバーは、特殊部隊の車輌に乗り込んだ。
「みんな、よくやったわ」
アン隊長が褒めてくれた。
副隊長のジョンはアン隊長を見つめた。アン隊長は自分より年下だ。それにお姫様だ。にもかかわらず、今日の指揮も的確だった。司令官としての判断は優秀だった。ジョンはアンと試合で対戦したときのことを思い出していた。
「何よあのマスクマンは。あんな奴、治安部隊にいた?」
控室に戻るなりジルが吐き捨てるように言った。
「マスク姿では分からない」
それは、新設される特殊部隊の隊長を決めるための御前試合だった。エントリーできるのは正規の治安部隊員だけで、しかもジルとジョンはすでに特殊部隊の隊員には内定していた。
特殊部隊が扱う異世界の武器はチートな力だ。それを持てば誰でも最強になれる。それゆえに、隊長は素手での戦いで決めることになった。つまりその者が自ら持っている素の強さで決するのだ。
ジルが負けたので次の決勝戦で、その謎のマスクマンとジョンは対戦することになった。
「こうなったらジョン、絶対に勝ってよ あんな得体の知れないやつが隊長になるなんてまっぴら」
試合場に向かうジョンに後ろから、そうジルが声をかけた。
「両者前に」
ジョンは手を前に出して構えた。
「ファイト!」
試合が始まった。
軽くジャブを出した。
避けられた。
蹴りを放った。
それも避けられた。
「浅い、腰が引けてるわよ もっと押し込んで」
観客席からジルが叫んだ。
ジョンは不思議な圧迫感を感じた。
(あのマスクマンは誰なのだろう)
だがそんなことを考えている場合ではなかった。特殊部隊の隊員に選ばれ、これまで数々の武勲を立ててきた治安部隊の隊長である自分がこんな得体の知れない相手に負けるわけにはいかなかった。
「お遊びはこれまでだ」
ジョンは相手に渾身の一撃とでもいう突きをみまった。
その瞬間、信じられない速さで相手が懐に飛び込んできた。
そしてジョンのパンチを左腕で弾き、右拳はジョンのあごをとらえていた。
両手を同時に突き出して踏み込んでいたのだ。
ジョンは顎を打たれて倒れた。
痛みより昏睡が早く来た。
ジョンは意識を失った。
目が覚めると、大歓声の中、マスクマンの腕が上げらていた。
優勝者はマスクマンだった。
マスクマンが王の前に立った。
「陛下の前だ、マスクを取れ!」
その声にマスクマンはマスクをはずした。
中から出てきたのは、アン王女だった。
そうしてアン王女が初代の特殊装備急襲隊、通称アサルトチームの隊長になったのだ。
そして、ジョンはアン王女に単にKOされただけでなく、魂も奪われた。そう。ジョンはアン王女に恋をしていた。
読んでくださりありがとうございます!
読者の皆様に、大切なお願いがあります。
もしすこしでも、
「面白そう!」
「続きがきになる!」
「期待できそう!」
そう思っていただけましたら、
ブクマと★星を入れていただけますと嬉しいです!
★ひとつでも、★★★★★いつつでも、
思った評価で結構です!
テンションが上がって最高の応援となります!
踊りがって喜びます! なにとぞ、よろしくお願いいたします。