第3話 突入せよ
「ラット、鍵を解錠できるか」
「任せてください」
ラットは軍隊で言えば工兵だ。鍵の解錠、トラップの設置、撤去、爆破などなんでもこなせた。また、ナイフが得意で、銃声を立てられない現場などで重宝した。
ラットは細い棒のような工具を取りだすと、鍵穴の中にそれを入れて、作業をした。
カチリという小さい音がした。
ラットがアンを見てうなづいた。
「よし」
アンは前に出るとノブをゆっくり回した。
ドアが開いた。
アンはドアを開け放つことなく、少しだけ開き、潜望鏡のような中を覗く器具を取り出した。
ドアの中にそれを差し入れて覗いた。
犯人の背中が見えた。
片手で女性を抱きかかえるようにして、もう一方の手にはナイフを持っていた。
「ジル、聞こえるか」
アンは無線機のマイクに囁いた。
「聞こえます」
「対象者は、そこから見えるか」
「いいえ」
男が少し移動した。
窓から、外に集まっている治安部隊の様子を確認しようとしているよだった。
「ジル、対象者が窓に向かった」
「捉えました」
「撃てるか」
「人質が近すぎます。人質に当たるかもしれません」
「いつでも撃てるようにエイムしていろ」
「はい」
「ラット、入るぞ。そしてこちらに注意を引きつけろ。対象者と人質が離れた瞬間にジルが狙撃する」
「了解」
ラットはコンバットナイフを鞘から抜いた。
アンは拳銃の安全装置をはずし、スライドを引いて弾を装填した。
トリガーにかるく指をかけ、拳銃を両手持ちした。
「みんな、いい、今から3つ数えたら、私とラットが突入する。ジルはそのタイミングで狙撃して。ジョンとオクトパスは正面から突入」
「了解!」
「1、2、3」
アンはドアを蹴り、店の中に入った。
「アサルトチームよ。ナイフを捨てて投降しなさい」
対象者がアンの方を向いた時、無防備に背中を窓の外に晒した。
バキュンー。
窓が割れて対象者の身体が揺らぐ。
ラットが飛び出して、人質の女性を確保しようとする。
ナイフを振り上げて人質の女性を切ろうとする対象者の胸にアンは銃弾を撃ち込んだ。
正面玄関が破られ、オクトパスが飛び込んでくる。
その後ろから、アサルトライフルを構えてジョンが突入する。
ラットが人質の女を抱きかかえて、犯人から引き離す。
オクトパスが対象者の上にのしかかかる。
「犯人の身柄確保」
ジョンが叫ぶ。
「人質は無事です」
ラットが言った。
アンは拳銃を構えながら、安堵のため息をついた。
「みんな、よくやった。作戦は成功よ」
無線で全員にそう告げた。
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