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第30話 異世界の王女、サイゼで食す その1



「じゃあ、食事にしようか」


 王女は顔を輝かせた。


(やっぱりお腹が空いていたんだ)


 幸いサイゼはユニクロと同じアトレに入っている。


 ぶっちゃけ、ユニクロの真下の1階だ。


 僕らは窓際の席に着いた。


 外はまだ明るく、通りを走る車を王女は物珍しげに見ていた。


「あの馬車は、馬が引いていないのにどうして走っているの」


 もっともな疑問だが説明するのが難しかった。


「内燃機関というこの世界の人が発明した魔法みたいなもので動いているんだよ」


「そうなんだ」


 僕の全く説明になっていない回答に、王女はいたく感心して納得したようだった。


 僕らはメニューを開いた。


「わあ、美味しそう」


 王女はオールカラーの写真が載っているメニューを食い入るように見た。


 料理の写真を見て美味しそうと言っているので、とりあえずサイゼにして正解だった。


「好きなものを頼んでいいんだよ」


「でも……。食べたことの無いものばかりだから、どれを選んでいいのか分からないわ」


(そりゃーそーだよね)


 僕だって、いきなり異世界転移して、初日に異世界食堂で好きなもの注文してもいいって言われても決められないよね。


それに見かけは美味しそうに見えても、どんな味で、どんな素材(何の肉か)なんてわからないしね。


 昔、ファンタジーでゲロ味のお菓子とかが出てくるのを読んだことがあった。

 

 見た目は美味しそうでも、ゲロ味とか、う○この香りとかの食品とかは口にしたくない。


「じゃあ、僕が適当に選んでもいい?」


 王女は少し安堵したように頷いた。


(さて、何を注文しようかな)


 やはり、ここは定番の人気メニューで攻めるしかない。


 いくら異世界から来たとはいえ、本場のヨーロッパ人が来てもコスパのよさと味にびっくりの人気メニューから選んでおけば間違いないはずだ。


 僕は、小エビのサラダのLサイズ、プチフォッカ、ミラノドリア✕2、若鶏のディアボラ風✕2、エスカルゴのオーブン焼き、それにマルゲリータを注文した。


もちろんドリンクバーもつけた。


「飲み物を取りに行こう」


 王女はキョトンとしていた。


(そうだよな。もし本当の王女なら、セルフサービスで飲み物とかを取りに行った経験なんてないかもな)


 僕は王女の手を取った。


「来て」


 王女は席を立った。


 ドリンクバーのコーナーに連れていくと「ここの飲み物は自由に自分で取って、飲んでいいんだよ」と説明した。


「自分でやるの?」


「そうだよ」


「どうやったらいいの?」


「温かいお茶にする? それとも冷たい飲み物がいい?」


「冷たい方がいい」


 今は7月、夏真っ盛りだ。


 訊くだけ野暮でした。


 僕はグラスにクラッシュアイスを入れると、王女にドリンクバーの機械を示して、どのジュースにするかを選ばせた。


 王女はグレープ系のジュースを選んだ。


 ジュースを注いた。


 機械からジュースが出てくるのを目を丸くして王女は見ていた。


 席に戻ると、小エビのサラダのLサイズ、プチフォッカがもう来ていた。


「さあ食べようか」


 異世界王女のサイゼ初体験が始まった。



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