第24話 火炎系魔法
「火炎系?」
(待って、いきなりマンションの中で炎を出されたら、警報が鳴り、大騒ぎになる。ここは14階だからもし火事にでもなったら大惨事だ)
「どのくらいの威力なの?」
彼女は赤くなって下を向いた。
「キャンドルに火をともす程度」
(何それ? 100均で売っているライターと同じですか)
僕は、先日の母の誕生日のケーキーに立てるロウソクを100均で買ったのを思い出した。
4と5のロウソク、つまり45歳の誕生祝いだ。
僕が220円も小遣いから出費したのにもかかわらず、母は少しも喜ぶことなく「いらない」と不機嫌そうだった。
誕生日は祝って欲しいのに、歳のことには触れてほしくないのは矛盾しているし、大人気ないと思った。
だが、45に火をつけると、母の感情にも火をつけてしまい、ヒステリーを誘爆しそうだったので、僕はせっかく買ったキャンドルを机の引き出しの中に投げ入れてそのままにしていた。
「待っていて」
僕は部屋から100均で買った数字のロウソクを持ってきた。
アルミホイルで皿の上に台を作り、固定した。
「じゃあ、あのロウソクに火をつけてみて」
彼女は無造作に手を前に出してかざした。
ぼっという音がして、100均の4の字のキャンドルが点火した。
「うあわ」
思わず声が出た。
その反応を見て彼女が少しドヤ顔をした。
(まて、まて、こういうのはマジックショーでよくあるやつだ。種か仕掛けがあるはずだ)
「ねぇ、服の下に何か仕込んでいない?」
思わず僕は言ってしまった。
彼女は不快そうな顔をした。
そしてティシャツを脱いだ。
彼女の乳房が丸見えになった。




