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第22話 芝居はやめろ


 隠しカメラを探したがなかなか見つからなかった。


 上手く隠したものだ。


(だけど、部屋の鍵は内側からみんな閉まっていたのに、どうやって彼女は中に入ったのだろう。それに裸で外は歩けないはずだ)


 僕は考えた。


 だとすると、きっと知らない間に祥たちが教室に置いてあった僕の鞄から家の鍵を盗み出して合鍵を作ったのだろう。


 だから侵入の形跡が無いのだ。


 あの女の子は家に入ってから服を脱いで裸になったのだろう。


 しかし、これはどう考えてもやりすぎだった。


「おい、祥、ふざけ過ぎだぞ。いくら渉の件が面白かったからって言って、それを俺の家で再現ドッキリとかするなよ。それに放送禁止の内容だぞ。バンされるぞ。いいかげんにしろよ」


 僕はどこかでモニターを覗いて、ニヤニヤしている祥に向かって話した。


 彼女はキョトンとした顔で僕を見ていた。


「もしかして仕掛け人は渉か? 自分だけが不幸なのが嫌で俺に仕掛けたのか? 和樹! お前もいるんだろう」


 僕はだんだん腹が立ってきた。


「もう、本当にいいかげんにしろ!」


「誰と話をしているんですか」


 彼女が訊いた。


「君を雇った仕掛け人だよ。ドッキリなんだろう。それにしても天井から落ちてくる仕掛けはよくできていたよ」


「なんのことですか」


「もう芝居はやめろよ」


「芝居?」


「全部お見通しだ」


 だが、彼女は本当に困惑している様子だった。


 それに、ドッキリなら、もう気が付かれたのだから、そろそろ祥や渉たちが隠れていていたトイレや風呂場から「ジャジャーン」などと言って出てきてもいい頃だ。


(やっぱり、何かおかしい)


 そもそも祥たちがこんな可愛い女の子と知り合いで、しかも、僕をひっかけるために裸になってもらうなんてできるわけがない。


 それだけじゃない。


 玄関のドアにはチェーンをかけていた。


 万が一、母が忘れ物などを取りに帰った時に、渉の悲劇を再現しないためだ。


 だから鍵があっても中には入れなかったはずだ。


 そのことに気が付くと僕は背筋に寒気のようなものを感じた。


 そして、彼女の方を向いて言った。


「まさか……。君は本当に異世界から来たの?」


「いいえ」


 彼女はきっぱりと否定した。


「じゃあ……?」


「私は異世界から来たのではありません。転移魔法で異世界に来たのです」


 彼女は真顔でそう言い切った。


 僕はますます混乱してきた。




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