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悪役令嬢、皇子を招く

「どうなさるんですか?リーネ様」

カリナがひとしきり泣いた後、心配そうに私を覗き込んだ。


私の『布団に隠れたつもりで外に出よう』作戦をカリナが知ってしまい、私に騙されて秘密にされたとショックを受けて、しばらく立ち直らなかったが、私がカリナには責任を負わせたくなかったというと、少し機嫌が治ったようだ。


そのあと、皇子にお出かけに誘われた、という事実がカリナの中で大きな出来事としてのしかかってきたようだ。


「そうねぇ。ほんと、どうしたらいいのかしら」


困った問題である。

私は行きたくない。

お父様も悲しんでいるし、お兄様もかなりご立腹だった。

その流れだと、『行かない』という選択肢一択なんだけど、手紙には皇子の印があって、正式な招待状。

しかも、かなりプライドの高い皇子が、そのために公爵家の敷地内に挨拶に来るという。

今までは、私が病弱だから家から出れない、という理由で会わなかったが、それとは全然違う。皇子が来るなら会える、ただ皇子が来ないだけだという言い訳ができていた。

しかし今回はそういうわけにはいかない。

婚約者が正式に家に挨拶に来ると言っているのだ。その相手は、病弱でもないのはもう分かりきっている。

それを断ると、婚約者としての立場が危うくなる。王家の方から婚約破棄されれば問題ないが、公爵家とはいえ王家より立場が下な以上、こちらからそういう行動には出ることはできない。

お家問題に発展しかねないのだ。


さて困った。


行くしかないのかしら。


でも行きたくないという気持ちが強い。


「間をとって、公爵家には来てもいいけど、お出かけはしない、というのはどう?」

「皇子にそう言えればいいのですけどね」

がっくりと項垂れる。

「、、、やっぱり無礼かぁー」


私はお出かけがしたいわけではない。

ただ買い食いがしたいだけなのだ。まず初めに焼鳥の買い食い。

でも皇子と一緒に焼鳥を買い食い?


ーーーーないないないない。


ぶんぶんと首を振って、想像を否定する。

それこそ無礼だし、下手したら私が捕まる。

 屋台には不衛生の場所もある。一緒に食べて皇子がおなかを壊しただけで、毒を盛ったとかで捕まるんでしょ。


嫌だ、そんな命懸けのお出かけ。


「どうしたらいいのかなぁー。いい方法ないかなぁ」

「もう諦めて、受け入れるしかないんじゃないですかね?」

ちらりとカリナを見る。

「カリナは私と皇子のどっちの味方なの?」

「勿論、リーネ様ですよ?リーネ様だけど、もうどうしようもないところまで来てるじゃないですか。婚約者様なんですから。それともなんです?婚約を破棄されるんですか?」

「それは、、、、」


確かに、アラン皇子は婚約者だ。

いずれ婚約破棄されるにしても、それは今ではない。

婚約自体は王家からの申し出だが、それを受けたのは公爵家なのだから、婚約を受けた以上、皇子の誘いを断れるものではない。


婚約したのが、まだお母様が生きていた頃だから、お父様もそんなに私に執着してなかったのだろう。その頃は私の将来を想って、素直な気持ちで婚約を受けてくれたんだとは思う。溺愛しすぎている今だったら、断っているかもしれない。


でも、婚約破棄されるんだよなぁー。


百歩譲って、婚約破棄されるだけならまだいい。

婚約破棄されるのは私のせいでなく、皇子に好きな人ができるからであって、私に非がなければ追放にもならないだろう。


でも、婚約破棄される結果がわかっていて、相手と友好関係を良好にしようとは思わない。万が一私がアラン皇子に惚れようものなら、私が傷つくだけの関係だ。


「行きたくないなぁー」


どうにか行かなくて済む方法はないだろうか。


一晩中考えた結果。


ーーーもう逃げることを諦めた。

解決策が全く思いつかなかった。

相手が王家でこっちが公爵家という時点で、すでに詰んでいたのだ。


一度諦めてしまうと、ずーっと悩んだ分、なんかスッキリした気持ちになった。


お出かけ中、皇子と一緒に屋台は無理だけど、もしかして抜け出せたら、うまくすれば焼鳥食べれるかもしれない。


皇子から一時的に離れたら、誘拐される危険もなくはないが、多分、この前と同じように父の監視の人が勝手についてきて、私に何かあれば助けてくれるんだろう。


そう思うと、皇子とのお出かけも少し楽しみになってきた。では、皇子との外出中、いかにして抜け出すか。その作戦を立てる方に思考をチェンジするとしよう。


焼鳥!!!食べるぞぉ!!!



✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️✳️



さて、当日。


あれからすぐに、招待状の返事を書いた。


それからというもの、元々しっかりめの美容マッサージだったのに、さらに念入りになり、一日中美容のお手入れしているのではという状態になった。


皇子が家にくるということで、屋敷も不備があってはならないと使用人達は歓迎の準備で大忙し。


父と兄はかなりピリピリしだし、皇子の文句をいいたそうだが、非の打ち所がないといわれる皇子だから文句も言えないという、微妙な顔を私に向けていた。


それから2週間。

ようやくそれらが全て終わる。


ゲームで皇子は、全くリーネに興味がなかった。

話している気配さえない。


15歳になり学園に入学してからリーネは、家から出ることを許されたが、学園で皇子と話したことはあるのかというくらい、皇子から無視されていた。


ということは、皇子はそもそも、リーネが好きではないのだ。むしろ嫌われていると言っていい。


今回は、私がこの前メイドの格好をした上で顔を隠していたから顔が気になったとか、あのノクトから婚約者なんだから挨拶はした方がいいとか強く言われたりして、とにかく『たまたま』、『仕方なく』、挨拶とお出かけの提案をしてきたのだと思う。


お父様は、お前のの容姿を少しでも見たら全ての男性は好きになる。お前の瞳を見てしまったらから皇子が惚れてしまって、あれほど嫌がっていた挨拶に来る気になったんだってジト目で言ってたけど。


バカらしい。


私はゲームでアラン皇子がいかにリーネを嫌っているか知っている。余計な妄想で苦労するとハゲますわよ、お父様、と言ってやりたい。


「リーネ様、今日のドレスはこちらで宜しいでしょうか」


カリナが選択肢としてもってきたものは、15歳の可愛らしさを充分に発揮できそうなピンクのドレスと水色のドレスだった。外出用なので、ドレスといっても洋服に近い。歩きやすいシンプルな作りのドレスだ。


ピンクの愛らしさをとるか、水色の爽やかさをとるかというところね。


考えて。


「ーーー茶色のドレスはないの?」

と言ってみる。

「茶色、でございますか?」

「うん、やや濃いめのやつ」

焼鳥のタレが服についても目立たないやつ。


「さすがにご挨拶にこられる皇子との初のお出かけで、濃い茶色はちょっと、、、」

「だよねぇー。でも、お出かけする時に、あんまり目立ちたくないのよね。そんな明るい色ばかりじゃなく、なんか落ち着いた色ないかなぁ」

焼鳥のタレが服についてもバレないやつ。


「確かに、リーネ様の天使のような顔立ちに、派手な色のドレスを合わせたら、眩しすぎて周りの方達が気絶してしまうかもしれませんね。落ち着いた色、落ち着いた色ですね、、、」


カリナ、だいぶ私の事を神聖化してきているわね。

お父様やお兄様の影響でしょうけど。


カリナはクローゼットをゴソゴソと探し出し、少しして、1つのドレスを取り出してきた。


「これなどいかがでしょう」


綺麗なレースで編み込まれたブルーのドレス。

ピンクや水色よりずっと落ち着いているのに、ところどころついている花の飾りが可愛らしさも演出している。

「これに白のストールを羽織ると、また初々しい感じになるのでは」


ストール。なるほど。食べる時、エプロン代わりにストールを巻けば、焼鳥のタレが落ちても服が汚れないってことね。


「採用!それにするわ」

「承知しました」


今日は朝からピッカピカに磨きこまれ、花のオイルを塗りたくられた。

ブルーのドレスを着て、髪は外で動きやすいようにハーフアップにされた。その結び目には、服に合わせた青の大きな花の飾りをつけられる。


「完璧でございます」


今日も最高の芸術を造り上げたとばかりに、満足げにカリナは、自分の額の汗を拭った。コルセットを締めるのに相当力を使うので汗もかく。


「ありがとう、カリナ」

「とんでもございません。リーネ様の美しさにアラン皇子が気絶しないといいのですけどね、ふふ」

いやむしろ、気絶しないはずがないという顔をしているカリナの頭の中が少し気にかかる。


「さぁ、そろそろ皇子の来られる時間ではないですか?」


屋敷のアチコチで走り回る音が聞こえる。

しばらくして、ザワリと空気が揺れたのを感じ、カリナと目を合わせた。

来たな。


部屋から出て、長い廊下を歩き、中央ホールのある階段を降りる。

すでにホールに使用人達は勢揃いしており、ホールを挟むように2列に並んでいる。


私はその中央を歩き、玄関前に立ち止まった。

ドアが開けば1番に迎えられる位置で待機する。

外では第一執事がアラン皇子と対峙しているはずである。


服装よし。

髪よし。

作り笑顔の準備よし。


【リンリーン】

「アラン皇子、入られます」

第二執事の声と共に、大きなドアが開いた。


ギィィィィ。


ドアの外で立っていたアラン皇子と視線が合う。

「アラン皇子様、ようこそおいで下さいました」

私は形式上の淑女の礼をした上で、ニコッと笑ってみせた。


アランは少し驚いた顔をしたが、この前の事もあってか、すぐに複雑そうな表情に変わり、眉を寄せて苦笑してみせた。

そんなに嫌なら来なきゃ良かったのに。


アランは右手をすっと挙げて、使用人達が頭をさげるのを戻させる。

「大層な御出迎え感謝する」

そう言ったアランは、もうすでに表情を整え、この国の皇子はこうあらんというばかりの、凛とした姿で一歩踏み出した。


光に溶ける金髪の下の凛々しい端正な顔立ち。

鍛えているだけあって、体つきも精悍である。歩き方もスマート。

この前はギルド登録ということもあり、どちらかというと騎士よりの格好をしていたが、今回は皇子としての正装。正に皇子という姿に、私は不覚にも目が釘付けになってしまった。


ゲームで私は、アラン皇子が1番好きだった。ゲームしている最中、何度か悶え苦しむくらい胸が熱くなった。

周りの使用人達も、アランの姿に顔を赤らめ、ため息を漏らしている。

さすが非の打ち所がないと言われる第一皇子。

あっという間にうちの使用人達の心を掴んでしまったようだ。


「アラン殿下。今来たのか」

 ジルお兄様が、あからさまな作り笑いを浮かべて、後ろから現れた。

 アラン皇子の雰囲気が一瞬にして変わる。

 警戒するように、わずかに身構えた。

「、、、ジル。わざわざお前が出迎えてくれるとは」

 言ったアラン皇子の言葉を、ジルお兄様は冷笑する。

「出迎えなど。俺は、今までどんなに誘っても全く来なかった可愛い妹の婚約者が、今さらどんな顔をしてこの屋敷に入ってくるのか、見にきただけだ」

 アラン皇子への明らかな敵意に、私はジルお兄様の顔を振り返ってしまった。

 ジルお兄様は誰にでも優しく、誠意をもって対応する人だ。怒る時も、相手の人のためになるときだけ、わざと怒りを顕にしてみせる。決して、自分の感情で怒ることなどーーーないと思っていたのに。


 ゲームの世界では、確かアラン皇子とジルは仲が良かったはずだ。一時的な喧嘩かもしれないが、それにしてもジルお兄様をここまで怒らすなんて。


 ジルお兄様に何をしたのよ、という目でアラン皇子を見ると、アラン皇子はその視線を察したようで、私に小さく首を振った。


 私の婚約者として、アラン皇子が家にきたことが気にくわないのだろうか。しかしそれにしては、、、。


「礼儀を尽くす未来の義弟に対してその態度は、問題があると思うが。()()()()()

 アラン皇子が更に油を注ぐから、とうとうジルお兄様から笑顔が消えた。


私はこれ以上は危ないと、慌ててアラン皇子の袖を掴んで引っ張った。

「アラン殿下。馬車の移動は疲れますでしょう?立ち話もなんですから、座られてはいかがですか?」

 私が応接間の方に歩き出し、その様子を見ていた執事と視線を合わせ、執事にも促す。執事は阿吽の呼吸で笑顔になり、「こちらにどうぞ」という第一執事の案内で、アラン皇子は奥の客間に連れていかれた。

 

 ジルお兄様も一緒に来たらどうしようかと思ったけれど、そこはジルお兄様も控えたのか、後を追ってはこなかった。

 私はほっと胸を撫で下ろす。

 ジルお兄様も不機嫌になることなんてあるのね、と、むしろ人間味を見れたことが嬉しくもあった。


客間は、ホールの半分ほどの、かなり広い造りになっている。

中央に大理石のテーブルと最高級の革のソファー。

そのソファーの上座にアラン皇子が座り、テーブルを挟んだ向かいに私が座った。


執事がタイミングをみながら、温かい紅茶を運んでくる。カチャカチャという音を聞きながら、私と皇子の戦いはすでに始まってーーー。


、、、いなかった。


アラン皇子は、あからさまに私から目を反らしていた。しばらくアラン皇子の顔を堪能する時間を作れるほど、じーっとアランを見たけど、アランと視線が合うことはない。


ほんと、そんなに嫌なら何で来たのと腹立たしくなる。こんな調子で半日一緒に過ごさないといけないわけ?嫌なんだけど。


「お待たせしました、アラン殿下」

父が遅れて客間に入ってくる。

「本日ははるばるお越しいただきありがとうございます」

あれほど不満そうだった父が、形式上とはいえちゃんと笑顔で挨拶しているのにも驚いたが、本来は立場が上であるアランは、そのまま着席してていいはずなのに、父が声をかけると立ち上がったのにも驚いた。

「グランドロス公爵。こちらこそ、お忙しい中、時間を作っていただき感謝する」

しっかりと父の顔をみて、アラン皇子は完璧な仕草で対応する。凛としてカッコイイ。ーーーいやいや。


そんな態度とれるなら、私にも形式上でもちゃんとして欲しいんだけど。たった半日でしょ、完璧皇子なら私にもその対応をしなさいよ。


父が私の横に座り、皇子と向き合う。

アラン皇子もソファーに座り、紅茶のカップに手をかけた。少し香りを楽しんだ後、紅茶を口に含む。

「ーーー良い香りだ」

「これはダンデリー産の紅茶です。摘みたての若葉のみを使用したもので、娘のお気に入りなんですよ」


この茶葉は、高地にあるダンデリーという地方の紅茶だが、そのダンデリーという場所に行くのにとにかくお金がかかる。高い位置にあるだけでなくここから遠く離れているからだ。運搬だけでも費用がかかるのに、そこれとれる茶葉でも1番の高質。さらにその質を保存するのに最高級の設備がいる。

その諸々を含めて、莫大な費用がかかっているのだけれど、あえてそこは言わない。


公爵家が、王族に出すお茶なのだから、莫大な費用がかかる品物であるのが当たり前なのだ。

そこを私がお気に入りということで普段から飲んでいる感を出すのは、流石だ。

溺愛されている私でも、ここまでのお茶はなかなか飲めない。


「ほう。ーーー公爵の、娘の溺愛ぶりは噂と違わずということだな」

「目に入れても痛くないですな」

ははは、と2人で笑う。


ーーー笑えないんですけど。


ひとしきり笑って、アランが切り出した。


「公爵もご存知かと思うが、この前、妙な縁でリーネ嬢と会ってな」

父は黙ったまま、アランの言葉を聞く。

「まさかあんなところで会うとは思わなかったが、どうやらリーネ嬢は、買い物がしたかったらしい」

「買い物?」

父は意外そうな顔をした。


そういえば父からは、なぜ家を出て街に行ったのかは聞かれなかった。聞かれなかったから家を出た理由を言っていない。聞かれても、買い食いしたいなんて言ったら、お腹壊すとか太るとか言って止められるから、絶対言わないけれど。


「最近は体調も良いということだったから、婚約が決まってから今まで挨拶にも来なかったお詫びとして、リーネ嬢と一緒にリーネ嬢の好きなものを買って、プレゼントしたいと思っているのだが、公爵、それでよろしいか」


いわゆる『娘さんとデートしてプレゼントも渡しちゃうけど、それに親の許可はいりますか?』ということだ。普通のデートならそこまでしないだろうが、貴族となると、初めのデートは対面で親の許可がいるのかもしれない。


父は少し黙ったあと、

「リーネは、本当に誘拐されやすい体質でしてね。この話は娘のトラウマになってはいけないと、リーネにも詳しくは話していなかったのですが」

と、何か語り出した。


「はじめは3歳の頃でした。近所を散策していただけだったのですがーーーさらわれました」

3歳の頃か。小さくて運びやすかったのかな。


「犯人は近所に住む妙齢の女性でした」

え?売るための誘拐でなくて?


「捉えて理由を問うと、娘が可愛すぎたらしく我慢できなかったと」

何それ、怖い。


「次は4歳。誘拐には充分に注意していたはずなんですけどね、また攫われました」

4歳。たった1年しか経ってない。


「犯人は、元うちで働いていた使用人でした。その少し前に仕事を急に辞めると言い出しましてね。おかしいとは思っていたんです、うちは他よりずっとよい条件で雇っているはずなのに」

使用人。覚えてないけど。


「誘拐した理由を聞くと、やはり金目的ではなく、リーネが可愛くて仕方なかったらしいのです」

仕方ないって何それ、怖すぎる。


「その次は5歳、、、」

「あぁ、もういいですお父様。私もわかりましたわ。気をつけます!誘拐には充分気をつけます」


アランが私に対して、少し不憫そうな顔をしてみせた。


「ーーーわかった。私も充分に気をつけよう。外出の場所は城下街。この前の公爵領の街では、まだリーネの噂を聞いて誘拐を目論んでいる輩がいるかもしれない。城下街なら、王家だけでなく国の騎士が大勢いるから、昼間から悪いことはできないだろう。私もこの身にかえてもリーネ嬢を守り抜くと誓おう」


アランは堂々と言ってのける。

何このイケメン。無駄にキュンとしてしまったじゃないの。婚約破棄するくせに。


「ーーー殿下がそこまで言われるのならばーーー、仕方ありませんな。リーネをお任せ致します」


あの父が、認めた、、、だと?


私が唖然としていると、「ただし」と父は付け加えた。

「万が一、娘に何かあった時は、、、アラン殿下、お分かりですね?」

「ーーーわかった」


何がわかったのかわからないが、雰囲気は何か神妙な感じになっている。

ちょっと。そんな様子で私と本当にお出かけなんかできるの?

私、スキをみて皇子から離れようと思ってるんだけど大丈夫?命懸けで守ったりしないよね?国の次期王様が、ただの女の子のために命なんか掛けたらダメよ。

国を背負っているのだから。


 一抹の不安を残したまま、私は皇子にエスコートされ、王家の紋章つきの馬車に乗り込んだ。



 アラン皇子と買い物デート。


ーーーーあぁーーー。すでに帰りたい。





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