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一話「異世界...?」

初投稿です。

真っ白な部屋。家具も何もなく、部屋の中央にポツンと座る男。

「なんだこれ...?どこだ?」

あまりの異常事態に独り言を呟く。

男はハッとした。念願の妄想が叶ったかもしれないのだ。

整理しきれない頭の中でその妄想がどんどん大きくなり、やがて笑いが溢れる。

「やった...やった!あのクソみたいな世界からお別れだ!俺の新しい人生が始まるんだ!最強の能力を貰って人生イージーモードだ!女の子にモテモテでハーレム作って、英雄になって、それで...それで....」

興奮気味に誰もいない部屋で喚く。


落ち着いてきた頃、いわゆる神的な存在も出てこなければ、能力を与える超次元的な存在も出てこないことに気づく。部屋をぐるりと見渡し、目を凝らすと、白いドアがある。


出てきてくれるんじゃなくてこっちから行くのかと落胆する。


男はそこまで歩いていき、ドアノブに手をかけた瞬間、勢いよくドアが内側に開き、外からガスマスクをつけ、フードを被った少年が飛び出してきた。と同時に男を押さえつけ、拘束する。一瞬の動きに反応できずに倒れ込む。

「ぐぇっ!」

男はうつ伏せに押さえつけられ、手が動かないようになっていた。

「%#$€%$#」

少年は男の知らないの言語を喋っていた。

「何言ってるかわかんねぇよ!誰だお前!」

少年は驚いた顔をし、口を開く。

「なぜお前が日本語を喋れる?」

「どう見ても日本人だからだろ!」

声を荒げる。出したこともない声だった。

「日本人...?なぜ...」

小声で呟くと、害はなさそうだからと拘束を解く。

「すまなかったな、手荒な真似をした。」

少年は軽く謝りながら、フードを被り直し、軽くはたきながら、外套を整える。

男は自分よりもひとまわりもふたまわりも体の小さい少年に高圧的に出る。

「ふざけんな!」

拳を握りしめ、大振りで殴ろうとすると、少年はひょいとかわして、男の腹に蹴りを食らわす。

「ぐぉっ...」

「謝っているから許してくれ」

男は蹴られたことよりも人に対し、高圧的にできることに自分でも驚いていた。

「わかったよ...」

蹴られた腹を押さえながら、少年に問う。

「お前、名前は...?」

「ウェレブ」

ガスマスク越しに少年の名前が聞こえる

「俺は、ご...たかし。ただのたかしだ。」

名前を教え合った二人は白い部屋を出る。そこは同じような白い部屋であったが2つのドアが見えた。一つは開いており、ここからウェレブが出てきたことがわかる。


ウェレブが口を閉ざすようなジェスチャーをした後、もう一つの閉ざされたドアの前に耳を当て息を殺す。

たかしは俺以外の奴が同じようにされる様を見てやろうとじっと見つめていた。


数分が経った時、ドアからトントンとノックする音が聞こえ、中から声がする。


「そこの御仁。わしはこの戸の開け方を知らぬ。開けてくりゃしやせんか」


ウェレブは少し驚いた顔をし、様子を伺う。

「なに、取って食ったりしやせんよ。カカカ...」

「何者だ」

ウェレブが問いかける。

「わしゃ、ただの浪人よ」


ウェレブは少し考えたのち、静かにドアを開ける。すると背筋の伸びた老婆が刀を腰に下げ、立っていた。

「ほう、そう開くのか。」

老婆はちらっとたかしを見た後、ウェレブの方を見る。

「何やら面妖な面じゃ。ここは極楽浄土かはたまた地獄か...」

老婆が床に膝をつき、ガスマスクをじっと覗き込む。

「あんさん、いい目をしている。そこの童も見習うべきじゃな。カカカ!」

そういって大笑いする

「俺がわっぱ!?こっちのちっこいのの方がよっぽど子供だろ!」

たかしがウェレブを指さす。

「人間っちゅうのは、体の大きさや生きた時間じゃないものよ...それがわからねなら、ぬしはわっぱじゃな。」


何か言いたそうなたかしを遮り、老婆はさらに続ける。


「して、ここはどこなんじゃ?」

「ばあさん。異世界だよ、異世界!地球じゃないし、日本でもない!」

たかしが思い出したかのように手を広げ、力説する。

「ふむ、よくわからんな...。あんさんは、何か知っておるか?」

「いや、しらん」

ウェレブはキッパリと言い放つ。


すると、何もない場所から急にドアが現れたかと思うと、中から慌ただしく女の子が飛び出してきた。

「あぁー!!!また私のミス!?まずいまずいぃぃ!!!また怒られちゃうよぉ!」

一人でに慌てており、いまにも泣きそうになっていた。

するとたかしが念願叶ったような声で話しかける。

「ついに来た!早く能力をくれ!」


相変わらず女の子は慌てた様子で、「証拠隠滅じゃぁー!」といって、何かのボタンを押す。


すると、3人はふわふわと浮きだす。

「うわ!なんだこれ」

たかしが驚き、老婆は表情を出さずに女の子に問いかける。


「そち、何か知って「うるさーい!早く!早くしないとボスが来ちゃう。」

言葉を遮り、未だ慌ただしい。

老婆は呆れたようなため息をし、空中であぐらをかく。


すると、ドアの奥からこの世のものとは思えない紫色のタコの化け物が現れ、女の子が絶望した顔をしたと思うと、同時に世界が切り替わった。

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