第2話
第二話目になります。
お話の最後の方には、アノ御方が?
元亀2年【1571年】6月
以外にも『一日10貫文』が優秀だった。確かこの当時の金額が、現代換算で1文100円ぐらいだったか?……だったはずだ。
と言う事は1貫=10万円ぐらいだったから、約100万円位か。「生活物資召喚」でかなり役立ってくれた。
お陰で織田信長に近付くことが出来そうだ。ちなみに『時間経過型技能』では無く、『日付経過型技能』だった。
天の声【『24時間経過後』では無く、『日付が変わればいつでも』の方です】
時間はそれなりに掛かったが無事、大聖寺城の門前町に辿り着いた。
道が整備されてないから時間の掛かること……、此処から南の『牛の谷峠越え』と思っていたんだけど、西側に有る大聖寺川を下り、越前芦原に行く方が時間は短縮できそうかな?峠には山賊とか居そうだしね。
どうせ道なき道も通らないといけないし……、街道なんて合ってないような物だし、進めるだけ進む事にした。
うーん、やっぱり峠を通ったほうが、早く越前に入れたかな……。
越前芦原に時間は掛かったけど、たどり着けた。だけど油断は出来ない、焦らずにゆっくり行こう。
一揆も戦も起こっては居ないけど、越前一向宗と朝倉家の領域に入ったからにはね。
あと温泉には浸かっていこうw疲れは少しでもない方が良いからね。
丸岡村の西側を越えた辺りで、川に当たった……『九頭竜川』だ。水深の浅い場所を見つけて渡らないと、中州も利用すれば渡れるかな?渡りきる事が出来たら、近くの寺か神社で休ませて貰おう。
その後2日ほど、ゆっくりと時間をかけ鯖江村に着いた。この時代ではまだ村落の規模なんだなと時代を感じた。
翌日、越前国府に辿り着いた。戦国の世なので、荒れているかと思っていたんだけど、賑やかな市も開かれていた。
話を聞いてみれば、
「たまにだが、一向宗連中の蜂起があって、迷惑なぐらいだな」
と言っていたのが、吃驚だ。
え、たどり着くのに時間のかかりすぎ?まだ俺は14~15の年齢だぞ。時代背景も考えれば、旅としてはいい進み具合じゃないか?
いくら遠足していたと言っても、流石に足が痛い。
木ノ芽越え前に、ここで休みを入れる事にした。
越前国府で数日滞在している時に、
「おい坊主、近江に行くのなら、若狭の方面を通って行くと良いぞ」
と町人から聞く事となった。
木ノ芽峠から椿坂方面ではなく、木ノ芽峠から敦賀方面に出た後、刀根坂方面を進めるのにも何か訳があるのかな?
「そっちには気比神宮がある、そこで『旅の安全祈願』して貰え」
と言う心遣いだった。ありがたみを感じるわ~。
その後は町人達から聞いた通り、気比神宮に立ち寄り『旅の安全祈願』をした後、近江に向かったんだけど……とんでもなく山道が険しかったけどな!!
北近江はまだ浅井家の勢力地で織田家の勢力下に置かれている訳じゃない。
これは、安土じゃなく岐阜行き決定だな。
元亀2年【1571年】7月
今現在、1ヶ月半近くかけてゆっくりと近江入りしたのだが、俺は木下藤吉郎こと後の羽柴秀吉の守備をしている、横山城に何故か捕らえられていた。
「解せぬ!なんで罪も犯してないのに、牢に入れられないと行けないんだよ」
見張りの者が近づいてきたので、何故捕らえられているのか訪ねると、どうやら浅井朝倉方の間者と思われているらしい。
失敬な!こっちは商人だと言うのに。え、何なら商品を見せてみろ?その商品の入った背負子を没収しておきながら、見せれるはず無いだろう!
と言う風に喚いていると、似合わない髭を生やした、ネズミ顔の偉そうな奴がやって来た。
その手には人の商売道具を、弄りに弄り倒し商品として使い物に為らなくなった、背負子と商品の山を持っていた。これ、駄目にした分に色つけて多額請求しても文句は言えないよね!商売出来無くされたんだから。
え?これどの様に使うかって?教えると思う?【ニッコリ】
「人の商売道具に商品全部、使い物に出来ない状態にしておいて、その状態で使い方教えろ?商売人を舐めとんのか!?あんたも商売してた事があるなら、そのぐらい判るだろ!使い物に出来なくなった商品に、商売道具の賠償請求させて貰わんと、新しい商品の買い付けも出来んわ!!えっ、どれだけの金銭を、補填すれば良いって?中には軍事物資に転用出来る物もあったから、しめて50貫文になるね!岐阜の織田様の所に、持って行く物を駄目にされたんだ。そのぐらいの補填費用も含めての金額だ」
と、声を捲したてた。
おや?岐阜の織田様へ売り込む商品とわかったら、思いっきり顔青ざめて行ってるぞw追い討ちかけたれwww
「あ、もちろんこの請求は織田様に上げさせて貰いますのでご了承の程を」
と、止めを指してやった。
「此処で、此奴を消してしまえば……」
と怖いことを言うので、
「此処で私を消せば、人伝えに『秀吉様がコッソリと、商人を消してその物品も、お隠しなされた』と広がり、それが織田様の耳に入り、詰問される事になるでしょね」
と答えたところ、何か思い当たる節でも合ったのか、ガクガクと震えながら黙り混み座り込んだ。
あ、此れは以前にも似たような事を、やったことあるんだなと言うのが分かった。
その後、無事解放され横山城を出ることが出来たのだが、秀吉が泣いて「どうか、どうか信長様だけには……」と涙と鼻水を滴ながら言うもので可笑しかったが、さすがに可哀相になったので、言わないで置くことを口約束はした。
横山城から東に向けて歩き始めた。え、商人なのに商品はって?本当に大事な商売道具は『無限収納』の方に入れてあるのさ。硝石に黒色火薬、最新式火縄銃に青銅製カルバリン砲も用意してあるw問題はどうやって町外れから運ぶかだよな。馬か牛を見つけて、引かせるしかないか……重量すごいし。
そう悩んでいる内に、お膝元の岐阜の町に辿り着いた。
「先ずは宿を探して、そこから腰を落ち着ける場所を探さないと……」
宿はすぐ見つかったので、お金を精銭で10日分【約400文】を支払い、町を歩いてみることにした。精銭で払った事で宿の主人は、すごくご機嫌で「幾日でもご滞在ください」と行ってくるほどだった。町は楽市楽座のお陰か大変な賑わいで、活気づいていた。
ふと立ち寄った団子屋で団子を頬張りながら、通りを行く町人たちを見ていると、明らかに漂う雰囲気が違う人物が居た。
まあ、じっと見て因縁浸けられても嫌なので、直ぐ街並みに目を戻したのだが、その一瞬を見られていたようだ。
「そこの者、貴様は……本当に商人か?」
「私ですか?よく商人とお分かりましたね」
「ふっ、儂の配下の髭ネズミから、早馬での人相書きと文が届いた物でな。城下に繰り出せば、見つかるだろうと思っておったのよ。」
え、どういうこと?配下の髭ネズミ?早馬?城下に繰り出す?この人相当な御偉いさんってことか?
「あの髭ネズミを困らせた手腕は、中々の者と見るのだがなw」
「え、あの……まさかと思いますが、そのまさかで御座いますでしょうか?」
「それにしても良く描けた人相書きじゃ、直ぐに見つかったわw」
と、私の目の前に居る者は、こちらを見ながら「してやったり」と言わんばかりに、ニヤリと口角を上げるのだった。そして、『きっと予想通りの方なんだろうな~』と思っていると、襟袖と首根っこを掴まれ……
「ゆくぞ!詳しい話は、儂の館で聞こうw」
と、引きずられ……
「あぁ~、これ拒否権無しの逃げれないやつだ。」
とボソリと呟くのだった。