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短編集

金平糖と甘い香り

作者: 瀬戸 このは


「噛まずに舐めて食べるんだよ。」

あの日まで知らなかった金平糖のの食べ方。


お兄ちゃんとはぐれて公園のベンチに座っている私に、甘い香りのするお姉さんが金平糖をくれた。その香りに私はなんだか安心した。

お姉さんが鞄からガラスの小瓶に詰められた色とりどりの金平糖を出すとからんからんと音を立てて綺麗だった。

渡された金平糖を口に入れて噛むと口いっぱいに幸せな味が広がってなんだかこわばった気持ちが溶けて私は泣き出した。

お姉さんは私の前に腰を下ろして、笑顔を見せるともう一つ金平糖を出して

「噛まずに舐めて食べるんだよ」

と言って、口に入れてくれた。舐めると私の顔から笑顔がでてきた。

「そうそう。笑顔が一番だよ」

と頭を撫でてくれた。私が泣き止んだ頃にお遠くから「りんー!」と私の名前を呼ぶお兄ちゃんの声が聞こえてきて、私は勢いよく立ち上がった。するとお姉さんも立ち上がって私に金平糖の小瓶を渡すと

「これあげる。」

といい、笑顔で去っていった。

その背中に私は

「お姉さんは魔法使いなの?」

と大声で叫んだ。すると振り返って意地悪な顔をすると「そうかもね」と言って甘い香りを残してまた歩いていってしまった。


それから何年も経って私はもう中学を卒業するけどあれ以来引っ越しをしたこともあってお姉さんには一度も会えてない。

でもいつかあの金平糖と甘い匂いを頼りに再会するんだ。私はそう決心すると昔のあの公園に向かってバスに乗車した。


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― 新着の感想 ―
[良い点] すごくリアリティの感じられる書き方だと感じました。 もしかして実話でしょうか?
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