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取り巻きCと逃亡の話

本日二度目の更新です


取り巻きC・エリアル視点

エリアル高等部1年の年末

前話のエリアルさん視点


流血ありにつき苦手な方はご注意下さいませ

 

 

 

 明確な理由や目的なんてない。


 ただ、ふと、本気で逃げたらどこまで行けるのか、と。そう、思っただけだった。


 それがいけないことだとか、望ましくない行動だとか。そんなこと忘れるくらいに、そのときは追い詰められていた。

 ただ、平静でなかったのか、それとも、それが深層の願いだったのか。わからないし、わかろうとも思わないから、自分の心なのに、答えは出ていない。


 逃げ出した。その事実だけが、そこにはあった。




 がさがさと草を揺らして、獣道すらない森の中を走る。遠くで吠える犬の声。

 この世界にまだ鉄砲が普及していなくて良かった、なんて、場違いに考えながら、彼らの鋭敏な嗅覚や聴覚を誤魔化すべく、とぷんと川に飛び込んだ。


 取り巻きC、ただいま逃亡中です。




 初めて逃亡したのはいつの話だっただろうか。

 確か、まともに歩けるようになって間もなくのことだったと思う。周りから向けられる負の視線に耐えきれなくなって、大人たちの目が離れた隙に逃げ出したのだ。

 だからまだ、この世界の知識もろくに得ていなくて、当然、お金や食べものも持っていなくて。


 ああ、知識がないと死ぬのだ、と、心底実感した。


 だって元々、女が夜ひとりで出歩いているような、ちょっと歩けばコンビニがあるような、蛇口を捻れば飲用水が得られるような、そんな、生温く優しい世界に暮らしていたのだ。

 森のなか、どこが安全なのかわからない。目の前に川があっても、実のなる木があっても、その水を、果実を、口にして良いのかわからない。獣がいても、肉を食べて大丈夫なのかわからない。火を起こそうにも、燃やして良い木がどれかわからない。


 なまじ前世の知識があったことが、逆に行動の幅を狭めていた。


 水を見れば、寄生虫はと不安になり、木の実を見れば、毒性を疑い、木の枝を燃やそうにも、煙に毒性があるかもしれないと躊躇する。火が起こせないのに、安全かもわからない獣肉や川魚は口に出来ない。


 空腹で動けなくなる前に、わたしは人里に姿を見せた。領館のある土地からさして離れていないのどかな町は、たちまちに大騒ぎになった。

 顔は知られていない。けれど、双黒と言うだけで、誰かなんて一目瞭然だった。

 すぐさま町長に保護され、遠巻きながら丁重にもてなされた。まだ発声もまともに出来ないような子供相手に、と思ったが、今思えば恐怖と、わずかばかりの感謝だった、のかもしれない。

 サヴァン家は子爵家としては破格の貴族年金を、国から約束されている。理由は国防に貢献しているから。つまり、エリアル・サヴァン(わたし)がいるからで、与えられたお金の半分以上は、領地経営に活かされているのだ。


 逃げたと言うより、ただ、迷い出たと思われたのだろう。戻ったわたしをサヴァン家の両親が叱ることはなく、あまり遠くに行ってはいけないとだけ言われた。

 遠くに行くつもりはなかったから、頷いた。しばらくは、だけれど。


 それから、一年ほどだろうか。ひたすらに知識を詰め込んだのは。

 一般常識から、必要と思うものに関しては、専門知識まで。サヴァン家には倉庫と化したひと部屋があり、その部屋の半分以上を埋める書架は、恐ろしく充実していたから、文字さえ覚えれば独学でも勉強には困らなかった。植物や医学の知識を得たのはこの頃だ。毒は薬。双黒と言う目立つ特徴を持つわたしが見付からずに生きるには、人里を離れるしかないと理解していたから。


 書庫にはバルキア語以外の言語で書かれた書物も多かったから、自然と数ヵ国語の読み書きを身に付けた。読み書きだけで、話すことは出来ないけれど。


 その部屋が倉庫ではなく祖父の、一国を破滅させた大罪人カミーユ・セザール・サヴァンの遺品部屋であると気付いてからは、さらにのめり込んでに知識を漁るようになった。おそらく自分と最も近い立場の存在が彼であり、サヴァンについてならば父母よりも詳しいと言う確信があったから。


 実際、そこで邪竜トリシアについても知ったし、愛用にしている曲刀も手に入れたので、あの部屋を漁った判断は正しかったと思う。


 そうして知識を溜め込んでから、わたしは二度目の逃亡を敢行した。


 と言っても、その逃亡は途中で誘拐犯に捕まったので、周囲には逃亡ではなく誘拐と思われているようだが。それから何度か、逃亡しては誘拐犯に捕まることを繰り返した。トライ&エラーだ。試してみて、不足と気付けば捕まって、逃亡の事実を揉み消す。


 誘拐されても大したことはないと、思っていた。誘拐犯は生け捕りを狙っていたし、どうせすぐに助けが来る。それに、身に危険が迫っても、魔法で応戦出来ると。

 その驕りを覆されたのが、アリスと共にさらわれた時。魔法封じなどと言うものの存在を、知らなかったのだ。


 それも、無理はなかった。

 言い訳をするなら、そう言えた。


 魔法封じはエリアル・サヴァンの生まれる数年前に完成されたばかりの、まだ新しい技術だったからだ。


 カミーユ・セザール・サヴァンの暴走に危機感を覚えたひとびとが、どうにかして国殺しの魔法に対向出来ないかと研究を続け、何十年掛けてようやく形にした技術、それが、魔法封じだ。

 とりさんが囚われているような封印とは異なり、一時的ながら魔力を持たぬ者でも魔力持ちに対抗出来る手段。

 開発後はあっと言う間に普及し、魔力持ちによる犯罪率を低下させたが、同時に、魔力持ちに対する犯罪を増加させた。


 わたしが、大人に頼って知識を集めていたならば、魔法封じについての知識も得られていただろう。だが、わたしは知識をカミーユ・セザール・サヴァンに求めた。

 魔法封じが完成される十年以上前に亡くなっている、祖父の遺品に。


 その反省から、わたしは父の書庫やわんちゃんにも、知識を求めるようになった。アリスと誘拐されたあと、わんちゃんに捕まっていたひと月、わたしは貪欲に知識を溜め込んでいたのだ。それで、アリスと誘拐されたことをすっかり忘れてしまうのだから、とことん薄情な姉だけれど。

 ……もうひとつだけ言い訳するのならば、あのときだけは、わたしから誘拐されたわけではない。元々エリアル・サヴァン誘拐を目論んでいた犯罪者集団が、家族での外出の隙を狙って行った計画的犯行だったのだ。


 アリスが被害を被ったことを忘れていたからではないが、それからも何度か、わたしは逃亡を繰り返した。学院に上がり、ツェリに出会うまで。

 ツェリに出会ってからは単独で逃げることよりもツェリを守ることを優先し、猫を被り始めたために、迂闊に誘拐されるなんてことはしなくなったのだ。まあ、誘拐をされ過ぎたせいでエリアル・サヴァン狙いのやからが減った、と言う理由も大いにあるのだけれど。


 だから、と言うわけではないけれど、こんな状況は随分と久し振りだ。




「……」


 はめられた手枷を見下ろして、内心ため息を吐く。魔法封じの手枷だ。

 それにしても、後ろ手ではなく前で手を拘束するとは。両足もまとめて枷を着けられているとは言え、エリアル・サヴァンを嘗めてでもいるのだろうか。


 こちらは、両手の数では足りない回数誘拐されている、もはや玄人を名乗れる誘拐被害者だぞ。拘束するなら後ろ手で。いや、むしろさらに手枷足枷を繋げるくらいはすべきだろう。

 まあ、きちんと拘束具を、それも魔法封じ付きのものを使っているだけ、年越えの市のときに比べれば多少はまともな誘拐犯だと言えるけれど。


 うつむいて黙り込むわたしに何を思ったか、誘拐犯の足が視界に侵入して来る。


「はっ、国殺しのサヴァンも、魔法を封じられればただの女か。男の格好をしても、所詮は温室育ちのお嬢ちゃんだな」


 嘲笑う声に合わせて、長靴ちょうかの音がもうひとつ、ふたつ。


「おい、あまり不用意なことを言うな。暴走で死なれでもしたら無駄足になる。その枷は、自滅まで防いじゃくれないんだからな」

「そうだぜ?それに、魔法封じっつっても、実際に国殺しの魔法を封じられるか試したわけじゃない。暴走されりゃ、封じきれないかもしれない」


 へぇ。賢明な人間もいるのか。


 感心したわたしとは対照的に、周囲が彼らへ与えたのは馬鹿にしたような笑いだった。新たな長靴の音がふたつ。


「心配し過ぎだ。そいつは宮廷魔術師どもの自信作なんだぜ?」

「それに、この歳まで生きてるんだ。国殺しっつー情報すら、本当かどうか」


 髪で顔が隠れているのを良いことに、目を細める。

 背後にいるのは国。それも、サヴァンについてバルキアより詳しい国だ。西の帝国か、さらに遠い国か。


「本当でないなら、わざわざ宮廷魔導師が監視なんか付けるか?」

「その首輪だって、早く外さないと場所がばれるかもしれない」


 まあ、だろうね。


 賢明なふたりの言葉に心の内で同意しながら、さて、どうするかと考える。

 ピアスは通信石と気付かれて、奪われた。この前と違って、わたしからわんちゃんに助けを求めることは出来ない。

 もう少し、黙って情報を探っていても良いけれど。


 ツェリのポケットにこっそり忍ばせて来たものを思う。


 わたしは、甘いから。ツェリの手を、離せない。


 良い機会、かもしれない。

 むしろ、通信石を奪われた、今だからこそ。


 黙って立ち上がったわたしを、六対の目が見つめた。ああ、まだなにも話していない男がいたのか。知っていたけれど。


 ごとりと、手足の枷が落ちた。


 あるものはほうけ、あるものは驚愕し、あるものは警戒を強めた。


「……国殺しのサヴァンを、この程度で封じられるとでも?」


 三人が呻いて、崩折れた。賢明なふたりと喋らなかった男が残る。賢明だったひとりが、剣を抜き放った。


 丁度好い。


「ッ――やめろ!」


 制止の声は間に合わず、振り上げられた剣は袈裟斬りにわたしを狙った。敢えて、首を、急所を、差し出す。


 派手に飛び散った血が、賢明だった男に向かって降り掛かった。かつんと、首輪が落ちる。


 重畳。


 適度に血痕を散らしながら、後ろ跳びに窓を突き破って落下した。外に立っていた木の枝を派手に薙ぎ折る。木の枝にも、ベッタリと血が付いた。

 割れた窓から男が顔を出すが、三階だ。容易に飛び降りられる高さじゃない。


 首を押さえて、駆け出した。


 このパターンは、初めてかもしれない。


 さて、本気で逃げたら、どこまで行けるだろうか。




 ところどころ血痕を残し、血手形を捺しながら歩み進めた森の中、飛び込んだ川に流され、わたしは絶壁を滝水と共にくだった。途中、飛び出した岩に服を一部持って行かれる。

 生きているのが不思議なレベルの、絶叫体験だ。


 そのまましばらく川を流され、どうにか下草の豊かな河原へ乗り上げる。


 川で匂いはずいぶんと薄められたはずだ。怪我はとうに止血してあるし、川で洗われた服が目立つ血痕を残すこともない。と言うかそもそも、滝から落ちたのだから生存など諦めて貰えるだろう。

 それでもさらなる用心をと、その場で水気を吹き飛ばしたあとしばらくうろうろしてから木の上へと飛び上がる。


 犬は木に登れない。高木の枝を渡って移動すれば、足跡を辿られることもないだろう。

 前世ほどではないにしろ、それなりに密な森で良かった。雪がないことも、川が凍っていなかったことも、幸運だ。


 木々を渡って移動しながら、今いる場所について考える。


 バルキアで、ここまでの密林。地形に高低差があり、生えている木々の種類から言って、気候はおそらく季節差のある、バルキア内部では比較的温暖湿潤なもの。


 ……東側、か?


 バルキア王国は基本的に前世の祖国より雨が少なく寒冷で、季節による寒暖の差も乏しい。

 このため、大部分の地域では森と言っても木々はそこまで密に生えていない。だが、その、大部分、から外れるのが東側の地域だ。


 南東方向に進むほど、気候が暖かく、湿潤になる。海のない国であるバルキアのなかで、最も海に近いのが南東の国境なのだ。南東からの風は、温もりと雨を連れて来る。


 今いるのは国の東側と当たりを付けて、さらに思考を進めた。


 犯人は、どこの国だろうか。

 行き先がわかれば、居場所の予測も立てられるかもしれない。まあ、わざと遠回りしている可能性もあるから、一概には言えないけれど。


 東で今、こんな動きをしそうな国、か。


 エスパルミナ帝国では、ないだろうな。

 ピアの顔を思い起こして、東側で最も力のある国を候補から外す。同じ学年にピアがいて、それなりに交流もあるのだ。誘拐するにしてももっと、賢い手があるだろう。


「……わからないや」


 思わず呟いてしまってから、口をつぐんで辺りを見渡す。


 ひとの気配はしないし、ここがどこかはわからない。

 わたしの持つ知識で出した結論は、どこが敵か絞れるほど特異的にバルキアへ悪意を向けている国はない、と言うもの。バルキアはどこにも表立って敵意を向けていないし、向けられてもいない。が、国殺しを身に抱える以上、どこからも狙われる。


 わたしの持つ少ない情報から黒幕を突き止めるのは、不可能だ。


 考えたところで、飛び乗った木の香りに気付く。これは……。


 特定の地域にしか、生えない木だ。脳内の情報を漁って、結論に至る。


 ここは、バルキアの最東端だ。つまり、少なくとも東と言う予測は合っていたと言うこと。


 東端、ねぇ?


 強い風を受け、ふるりと身体を震わせる。水気は切ったとは言え、こんな真冬に水に浸かれば身体が冷えもするし、雪がなくとも、いや、雪がないからこそ野宿は危険だ。

 魔法である程度寒さは凌げると言えども、自殺行為だろう。馬車移動だったので、そこまで徹底した防寒具も身に着けていない。


 どこか屋根と、着替えが必要だろう。


 移動しながら、苦手な能力を駆使して地形を把握しようとする。


 逃亡は、常に考えているのだ。国境付近の地理は、頭に叩き込んである。


 自信がないものの当たりを付けて、わたしは進むべき方向を決めた。




 木々を渡る途中、かさり、と下草を踏み付ける音に、息をひそめる。


 やって来た人影は、わたしのいる木を下から見上げて呟いた。


「……えり、ちゃん?」


 その、敵意のない声は、聞き覚えのあるもので。

 木の葉の隙間からうかがった色彩は、木々の緑に混じる色。


 枝から足を離し、その横に降り立った。


「こんちゃん、どうしてここに?」


 言ってから、おまいうな台詞だなと思う。まして、わたしの格好はぼろぼろだ。


「きょうかいの、じゅんれいで」

「巡礼?」

「このうえに、ふるいせいちが」


 山の上、古い聖地、と言う情報を頼りに脳内を検索する。ああ。


「黒竜の巣、ですか」

「しって、いるんですか?」

「ええ。竜に関する知識はある程度揃えていますから」


 でも、しまったな。想像していた場所から山ふたつずれた土地だ。こんなところで、持ち前の空間把握下手を発揮しなくても良いのに。

 それにしても。


「黒竜の巣は、ヤヴェラ教の聖地ではないはずでは?」

「うん」


 頷いた彼は、澄んだ翡翠の瞳を細めて、でも、と言った。


「ぼくは、わすれちゃ、だめ、だから」


 一瞬言葉をなくし、ざわりと揺らいだ胸元をなでた。


「そう、ですか」


 答えて、彼の、教皇子息コンスタンティン・レルナ・カロッサの背後へ目を向けた。


「ここへは、おひとりで?」

「したまでは、おくってもらいました」


 仮にも教皇の秘蔵っ子を、単独で山に、とは。不審に思って探ってみるも、確かに周囲にひとの気配はない。


「こんちゃんでしたら、魔法で自衛出来るからでしょうかね」

「うん。あと、せいちのひとが、いやがるから」

「黒竜の巣に、ひとが?」

「むらが、あります」


 それは、初めて聞いた。

 行ってみたいと、思わなくもないが。


「えりちゃんも、いっしょに、いきましょう?」


 逃亡と黒竜の巣への興味を天秤に掛けていたわたしを、こんちゃんが誘う。

 柔らかそうな手のひらが、差し出された。武器を握らない、優しい手。


 コンスタンティン・レルナ・カロッサは、エリアル・サヴァンに触れることを恐れない。


「ですが」

「だいじょうぶ」


 なにも事情など話していないのに、こんちゃんはにっこりと言った。


「かれらは、そとと、かかわりません。それに、えりちゃんなら、うけいれて、くれますよ」


 無理に掴もうとするでも、引っ込めるでもなく、彼は手を差し出し続けた。


「つかれて、いるでしょう?だいじょうぶ。すこし、やすんで、つかれを、とるだけ、です」


 ああ、彼は生粋の聖職者なんだな。


―……どうする?

―好きにすれば


 どこか拗ねたようにも聞こえる返事を受けて、わたしは差し出された手を取った。

 掴んだ手は柔らかく、温かかったが、ごつごつとした骨の感触もあった。


―背に腹は、変えられな、

―エ───


 その手の感触と焦ったようなとりさんの声で、わたしの記憶は途切れた。

 

 

 

拙いお話を読んで頂きありがとうございました


しれっと登場するゲームキャラ


続きも読んで頂けると嬉しいです

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