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取り巻きCは逃げ回る

取り巻きC・エリアル視点


高等部入学後のお話

やっと攻略対象がやって来ました

 

 

 

「あー、エリア、」

「っ」


 ちりん


 顔を合わせた瞬間、踵を返して猛スピードで歩き出した。

 声を掛けられた?気のせいだ。


 魔法を使った三段跳びで木登りして、枝伝いに二階の窓に滑り込む。

 素早く窓を閉めて、しっかり鍵も掛けた。


「…アル?」


 ちょうど、“いつもの”サロンだったらしい。

 外から窓を開けて飛び込んだ挙げ句、無言で窓を閉めて深く息を吐いてから振り向いたわたしと、サロンでリリアと優雅に読書していたツェリの、目が合った。


「またなの?」

「…はい」


 わたしの返答を聞いたツェリは、深々とため息を吐いた。


「お疲れさまです。今、お茶を煎れさせますわ」

「ありがとうございます…」


 リリアに労られて、勧められるままに椅子に座った。


 ヤツは物理系の魔法は使えないし、王太子が権力に物言わせて押さえているこのサロンには、立ち入れない。


 しばらくは、平穏を味わえるだろう。


「なんであなた、あんなに付きまとわれてるの?」

「わたしが訊きたいですよもぉおー…」


 ツェリの問い掛けに泣きたい気持ちになって、わたしはずるずると机に突っ伏した。




 情けない姿からこんにちは。

 高等部に上がっても、変わらず我らがツェツィーリアさまの取り巻きC、黒猫ことエリアル・サヴァンです。と、言いたいところなのだが、最近はツェリの取り巻き業務を、リリアに任せがち。


 なんでかって?


 どっかのキツネ野郎にストーキングされているからだよ…!


 どっかのキツネストーカー。

 あれ、こう言うとキツネをストーキングしているみたい?ストーカーキツネ?


 …とにかく、キツネ顔の、ストーカー野郎、名前を、マルク・レングナーと言う。親の爵位は伯爵。青みがかった癖の強い銀髪を長く伸ばした、金色つり目なキツネ面の優男だ。


 名前に聞き覚えがあるって?


 それはそうだろう。彼こそ攻略対象のチャラ男担当。

 成金伯爵令息にして豪商の息子。

 遊び人マルク・レングナー伯爵子息なのだからね!


 なんでそんなのに追いかけ回されているのかって、そんなのわたしが訊きたいよ!


 初対面から、


『キミ、可愛いねー、ボクとキモチイイことしない?』


 だったのだよ?鳥肌立ったわ!鈴鳴ったわ!!

 ゲームヒロインにすらそんなにがっついてなかったはずなのになんなのもお!

 CEROCよ、CEROC!18禁じゃないの15禁なの!その15禁だってほぼ間違いなく“エリアル・サヴァン”の仕業だし!


 健全(?)な乙女ゲームの攻略対象者が、なんつーことをぬかしよる!?

 とゆーか、その台詞、十五歳の台詞じゃねぇえぇぇぇ!!


 思わず無言でひっぱたいて逃げ出したよ。伯爵子息相手にとんだ失態だよ。

 中等部上がり面子が同情的だったのと、一部高等部編入者が味方になってくれたお陰で問題にはならなかったけど、もう攻略対象とか関係なくヤツはわたしのブラックリスト入りにした。


 前世含めて今まで周りにいなかったタイプだから、対処の仕方がわからないのだよ。


 なのに、ヤツは、ヤツはぁっ…。


『女の子から叩かれるなんて、初めてだよ』

『照れてるのかなー?大丈夫、優しくしてあげるから』

『つれない態度も可愛いねー』

『綺麗な髪だねー、触っても良い?』

 …etc.etc.


 ひっぱたかれて怒るでも懲りるでもなく、つきまとい始めたのだ。


 叩かれてつきまとうとか、おんしはドMかっ!

 照れてんじゃない、怯えてんだよっ!!


 耐えきれずツェリに泣き付いたら、王太子殿下が強権発動してくれたのだが、効きゃしない…。ヤツのバックには第二王子に公爵家×2に加え、教会までもが付いているから、王太子殿下の口頭での苦情なんて痛くないのだろう。

 手を出してるのは子爵令嬢で、公爵令嬢(ツェリ)たちの陰に隠れない限りは、爵位的に逆らえる相手じゃないのだ。


 結果、ヤツに遭ったらとにかく逃げるの構図が、完成しているのだ。


 話しかけられれば爵位的に対応しないわけには行かないために、会話開始が成立する前に逃げ出して、対応しないようにしている。


 容赦なく逃げられるようにと、その他もろもろの理由から、ツェリからは離れて行動するようになった。


 着々と手中に落とし込んでいたために協力してくれる女子生徒たちと、なぜかとても協力的になった男子生徒たちの助力が、とてもありがたい。


 でも、同じ学舎で生活している以上、ヤツと全く顔を合わせないなんてことは不可能なわけで。


 そのうちうっかり、放っちゃまずい方の魔法を放ってしまうのではないかと、真剣に心配しつつある。




 ツェリとリリアに癒やされ、ツェリに追加課題を出してから、向かった先は初等部校舎。


 ここはひとつ、鐘楼カリヨンでストレスを発散しようと思います。


 ひとの身体だと一度に出せる音が限られてしまう鐘楼カリヨンだが、魔法を使えば全ての鐘を同時に鳴らすことすら可能だ。


 音漏れ対策もばっちり済ませ、遠慮なく鐘の音を響かせる。

 目を閉じて、音に耳を澄ませた。


 初等部に入学してからずっと、通い詰めて演奏を続けて来たために、見なくても鍵盤の配置は頭に浮かぶ。


 メロディを奏でつつ、現状を考える。


 このままじゃ駄目だ。それはわかる。

 それなら、どうすれば良いのか。


 ただ逃げ回るなんて、情けない。

 今までのわたしは、ただ逃げて危機が去ることを待つなんて、して来なかったはず。


 なぜ、今回に限り逃げ回っているのか。


 そう、思考を飛ばして、不意に、逃げ回っていた過去を思い出した。


 それは、まだ、ツェリと出会う前の話。

 わたしがツェリと言う守るべき存在を持たない、ただの首輪幼女だったころの話だ。




「…見つけた」


 ちりん


 自分に掛けられた声に、わたしではなく首元の鈴が答えた。

 突然の声に驚いたが、聞こえたのは警戒すべき声じゃない。


「にいさま」


 鈴の音にびくりと身を揺らした兄を、座ったまま見上げる。


 黒い髪に、黒い服。

 夜会の喧噪遠い、庭の生け垣の闇に、あるいはお茶会から抜け出し、真昼でも暗い木々の間の薄闇に、埋もれるわたしを見つけるのは、両親でも長兄でもなく、いつだって次兄だった。


 わたしが落ち着いているのを確認してから、次兄はそっとわたしを抱き上げ、立たせる。

 明るい薄茶の髪に、黒に近い茶色の瞳。並ぶと兄妹とは思われない、全く異なる色彩の兄。


「また、逃げ出したのか?兄上は?」

「わかりません。…ごめんなさい」

「いや。僕が付いていてやれば良かったな。ごめん」


 立ったわたしに謝罪を落とし、兄は踵を返して歩き出した。

 三つ年下のわたしが遅れないようにゆっくりと、わたしがついて来ているか確認しながら歩くけれど、わたしの手を握ることはない。


 それでも家族たちの中では、次兄が最も家族らしい家族だった。

 恐怖こそあったものの、間違いなく彼だけは、わたしを愛してくれていたのだから。


「まだ、大人が怖い?」

「ごめんなさい」

「謝らなくて良いよ。怒ってるわけじゃない」


 今思い返せば、次兄もずいぶんと大人びた子供だったのだと思う。

 化け物と呼ばれる妹を可愛がり、幼いながら気に掛けてくれた。


「でも、そんなに苦手なら、夜会なんて無理に出ない方が良いね」


 この頃のわたしは、夜会やお茶会に出席させられるたび、逃げ回っていた。

 まるで、大人の事情なんか理解出来ない、年相応の無知な子どもみたいに。


「…ごめんなさい」

「謝ることじゃないよ。僕もエリアルも、兄上だってまだ本当ならデビュー前だ。本来であれば夜会なんて、出る必要はないはずなのだから」


 あんまりにもわたしが逃げ回るものだから、次第に両親もわたしを社交に連れ出さなくなって行った。

 まれに社交に出るときも、次兄について回って、でなければ、人気のないところへ逃げ出して隠れていた。


 貴族の令嬢として、あり得ない行動だ。


 なぜ、そんなに、夜会やお茶会を、怖がっていたのだろう?




 扉が開く音で、回想から引き戻された。


 めちゃくちゃに響く鐘が奏でるのは、いつの間にか前世で親しんだ曲にすり替わっていて。

 けれどこの世界とは違い過ぎる、不協和音混じりのそのメロディは、音が多過ぎてきっとめちゃくちゃに弾いていたとしか思われないだろう。


 さらにメロディを破壊しようと鐘をでたらめに鳴らし、扉を開けるまで聞こえなかった音の奔流にぎょっとする相手を、立ち上がって見据えた。


 ああ。と思う。


 思い出した、あの目。

 怖かったのではなく、おぞましかったのだ。

 恐怖ではなく嫌悪で、逃げ出した。


 まるで珍しいけれど不気味な美術品でも見るような目で、わたしを見下ろす大人たちの目から。

 わたしは物ではなくひとのはずなのに、尊厳などない物を値踏みするように向けられる視線から。

 不気味だけれど、欲しい。

 猿の手にでもなった気分だった。


 正体がわかったのならば、もう逃げる必要はない。

 必要のないものは、面と向かって切り捨てれば良い。


「ここは一般生徒立ち入り禁止区域ですよ」


 あえて鐘の音を充満させたまま、ひとの大事な空間に断りもなく踏み込んで来た侵略者に言い放つ。


 音は、波だ。

 たとえ騒音に溢れた場所だったとしても、わたしの声は掻き消されず届く。


「−−−」


 対する相手の声は、鐘の音に邪魔されて、きっと自分にすら届いていないだろう。


 これが能力の方向性の差、そして、熟練の差だ。

 それこそ生まれてすぐに魔法を鍛えはじめたわたしと、初等部に上がってから魔法が開花し、高等部に上がってからようやく本格的に魔法を鍛え出した彼とでは、魔法の熟練度合いが違う。

 もちろん初等部からわたしが直々に鍛えたツェリや、専門の教師の下で開花直後から教育された殿下たちも、熟練度合いでは彼に勝るはずだ。


 だが、彼の魔法は、厄介だった。

 だから、彼の意識がツェリに回ってしまう前に、どうにかしてしまいたいのだ。


 怯えている場合じゃない。

 臆病な子猫みたいに、逃げ回ってどうする。


 わたしの予測が正しければ、コイツが目を付けるのはわたしの次にツェリだ。

 あるいはリリアやレリィに、手を出す恐れもあるだろう。

 今回に限ればツェリに手出しされるよりも、リリアやレリィになにかされる方がまずい。


 気持ち悪い。逃げ出したい。


 その気持ちをこらえて、微笑んだ。


「すみません。声が小さくて、聞こえません」


 許可はあると答えたのは、唇の動きでわかったけれど。


「−−−」


 音を止めて、ね。

 良いでしょう。止めてあげましょう。


 しん、と静まり返った空間に、わたしの声だけが響く。


「キューバー公爵子息さまに、許可を取って貰ったのですね。確かにここは公爵家以上の人間なら立ち入り自由ですが、あなたが入っても意味などないと思いますよ。なにか、ここに用事ですか?」

「−っ、−!?」


 喉は震えても彼の口から声は出ない。

 当然だ。わたしがすべての音を、消しているのだから。


「ここは物理系の魔法を使う生徒が、自主鍛錬をするための場所。物理系の魔法が使えない生徒にとっては、ひと除け程度にしか使えない場所ですよ。わたしが頻繁に出入りすることが有名になり過ぎて、物理系の魔法を使える生徒すら、あまり寄りつかなくなっていますが」


 わたし以外ではツェリくらいしか使わない。

 そもそも鐘楼カリヨンを利用して鍛えられる魔法が、限定的過ぎると言うこともあるのだろうけれど。


 ぱくぱくと口を動かす彼を嗤ってから、声が出るようにしてやる。


「あー、あ、声出た。キミが、ここにいるかもって聞いたからさー」

「わたしになにか?」


 よくここにいることは、隠していなかった。

 そもそもここに入れる人間が少な過ぎて、隠す必要もなかったのだ。


 教師に事務職員を除けば、公爵家以上の生徒と物理系の魔法所持者および、特別な許可を得たもののみ。

 わたしがツェリの入館許可を取れたのは、ツェリが物理系の魔法所持者だったからに過ぎないのに、ラース・キューバーの馬鹿野郎め…。


 ゲームではさして仲良さそうに見えなかった、と言うかお互いに毛嫌いしてたから、てっきり個人的な協力とかしないだろうと踏んでいたのに、ぬかった。


「だってーキミが逃げるからー」

「逃げる?いつの話ですか?」


 最初の一回以外は、不幸な偶然だ。

 マルク・レングナー、あんたの間が悪かったのだよ。


 しれっとそらとぼけたわたしを、マルク・レングナーがへらっと笑って見返した。


「ふーん。逃げてないって言うんだー。かーわいっ」


 ぞわわ


「逃げるから会いに来たとおっしゃるのでしたら、もう用事は済みましたね。わたしは鍛錬を続けたいのでお引き取り頂けると嬉しいのですが、お引き取り頂けますね」

「ちょ、え、物理!?ま、待って待って、そんな照れなくてもー、」


 ノリで追い出そうとしたのだが、駄目らしい。

 仕方なく彼に掛けていた圧力(物理)を解いて、しらけた目を向ける。

 しらけた目のまま、いと爽やかに微笑んだ。


「わたし、人間のくせに人語を解さない相手がとても嫌いなのですよね。あなたは人語が通じないので、とても対応に疲れます。森へ帰れば良いのに」

「…遠回しに、貶されてるー?」

「いえ、遠回しに貶しても通じないでしょう?だいいちわたしはしがない子爵令嬢ですからね、伯爵家ご子息相手に死ねこの淫乱キツネ!キツネのくせに万年発情期か!だなんて、そんな畏れ多いこと、遠回しにでも言えません」


 え?今思いっきり言ったって?

 気のせいだ。


「ひどいなーそんなこと言うんだー」

「止まって頂けますか」


 高等部からは、科がいくつかに分かれる。

 ああ、これもツェリと離れがちになっている理由だね。


 ツェリも含む多くの令嬢たちが進む普通科ではなく、殿下やテオドアさまと同じ騎士科を、わたしは選択した。

 普通科の授業に加え戦い方も学ばされる学科で、今年度新入生の女生徒はわたしひとりだ。


 ツェリから離れなければならないと言うリスクを冒しても、わたしが騎士科を選択した理由のひとつ。


 それが、これだ。


「わーお、容赦ないねー…」


 わたしへ向かい歩み寄ろうとしたマルク・レングナーの首に突き付けた、刀に似た造りの曲刀。本来両手で使うべき武器だが、突き付けるくらいなら片手でも出来る。


 騎士科生徒は不用意にひとを傷付けないと言う誓約の下、学内の帯剣が許されているのだ。


 わずかにわたしより背の高いマルク・レングナーを、それでも見下す気持ちで見据える。


 逃げ出さず向き合えば、嫌悪を抱かせる視線に隠れて見え隠れする、別の感情を見て取ることが出来た。


 ああ、逃げなければ、こんなに簡単なことだったのか。


 逃げ出したい気持ちが、排除したい気持ちに変わる。

 優位に立っているのは相手じゃない。わたしだ。


 彼の父が扱う商品の如く、上から見定められてなるものか。


「洗脳が効かない相手が、そんなに珍しいですか?」


 冷たく目を細めて問えば、キツネ目が見開かれた。


 彼の魔法は精神特化。

 と言っても脳を弄って狂戦士バーサーカーをとか、そこまでの能力はなく、強制力こそ強いが洗脳しか出来ない。


 が、洗脳しか、なんて言うのを躊躇うくらい洗脳と言う能力は厄介なわけで。


 物理系の魔法使いでも精神系の魔法を防ぐのは難しく、魔法の才能を持たない人間に至っては、相当の訓練を経た熟練の兵士がかなりの警戒を持った上で対処しないと、洗脳を受けてしまいかねない。


 ゆえにわたしは、ツェリたちにマルク・レングナーの意識が向くことを警戒していたのだ。


 目の前のキツネ野郎は、他人を魔法で操ることになんのためらいもない。

 攻略対象が聞いて呆れる。ツェリよりよほど悪役がお似合いじゃないか。


 でも、残念ながら。


「わたしの能力は精神系の最上位ですよ?ちゃちな洗脳如きが、効くはずもないでしょうに」


 国殺しのサヴァンの魔法は、強力な精神攻撃だ。ひとりの力で一国を滅ぼし、ときに己すら破滅に追い込む、強力過ぎる能力。

 常に自分の能力と言う精神攻撃にさらされているわたしが、今さら魔法初心者の洗脳程度に、負けるはずがない。


「サヴァンは良い商品になるのでしょうね。その力に恐怖しつつも手に入れたいと望むのですから。あなたのその、商品を値踏みするような目、今まで何度も投げられた視線です。そんな目を向けて来る相手を、警戒しないとでも思いましたか?」


 無意識に警戒し、嫌悪したから、幼いわたしですら逃げ出したと言うのに?


 はじめは“国殺しのサヴァン”に、次には“自分の洗脳が効かない相手”に、興味を抱いて彼はわたしを追い回したのだ。

 きっと彼は口説く相手さえ、洗脳を利用して落としていたのだろう。

 だから初対面でわたしに洗脳を使い、無自覚のまま洗脳にレジストしたわたしからひっぱたかれて驚いたのだ。


 追われた意味を理解すれば、口許に獰猛な笑みが宿る。


 野生を忘れたイエネコだって、鼠や雀をしとめるのだ。


 剣を鞘に納め、嗤ってマルク・レングナーを見た。


「レングナー伯爵子息さま。わたしは僭越ながら、完璧な紳士、理想の貴公子などと言う、身に余る賛辞を頂いているのです」


 ツェリからは常々、疑問を呈されている評価だけれど。


「そのわたしを口説こうとおっしゃるのでしたら、もう少し自分自身を磨いて頂けませんと。せめて魔法に頼らず自分の魅力で、相手を口説く自信を持てるだけの、長所をお持ち下さいませ」


 くすっと笑いを漏らし、目を細めて首を傾げる。


 お前がわたしをひととして扱わないと言うのなら、わたしだってお前を同種とは扱わない。


「まあ、レングナー伯爵子息さまはわたしを人間とも思っていらっしゃらないようですから、口説こうなどとは思っていないかもしれませんが。しかし、たとえ物言わぬ商品と言えど、自分を任せる相手は選ぶと言うもの。わたし程度に振られるようでは、レングナー商会の未来も、危ぶまれますね」


 形勢は、逆転した。


 マルク・レングナーからはちゃらちゃらした笑みが消え、対するわたしは凍土のような笑みを浮かべている。


 値踏みするのは彼ではなく、わたし。


 逃げ続けた相手に自ら歩み寄り、その頬に指を走らせた。


 ツェリたちに危害を加えようと思わないくらい、徹底的に叩き潰しておかないといけない。

 洗脳して純潔を散らされでもすれば、あるいは取り返しのつかない犯罪でも犯せば、一生に関わるのだ。


 逆らう小物の調教は、最初が肝心。

 昔のひとも言ったじゃないか。鉄は熱いうちに打て。


「今までどんなことに、洗脳を使って来たのでしょうね?自分がやったことなら、やり返されても仕方ありませんよね。それほどサヴァンに興味がおありでしたら、特別に、生ける伝説とすら言われる貴重なサヴァンの魔法を、体感させて差し上げますよ」


 ケタケタケタケタ

 キャッキャッキャッキャッ


 この世のものとは思えない、おぞましい笑い声が、鐘楼カリヨンの中を響き渡った。

 ふわりと、わたしの髪が舞い上がる。

 暴風のような風が、マルク・レングナーに襲い掛かった。


「不思議ですよね。強い洗脳を受けると、怪我もないのに傷が浮かび上がることがあるのだそうです。過去拷問にすら使われた魔法に、あなたはどこまで耐えられるのでしょうね」


 完全な恐怖が彼の目に宿ったところで、ぴたりと魔法を止めた。


 目を見開いてわたしを見返すマルク・レングナーから手を離し、柔らかい笑みを向ける。


「ひっ…」


 乙女の笑顔に悲鳴を上げるとか、失礼だな。


「わたしも不用意にひとを傷付けることは本意でありません。今日はここまでにいたしましょう。けれど、もしもエリアル・サヴァンの大切なものに手を出したならば、あなたの命はないものと思って下さいね。覚えておくことです。化け物が牙を隠しているのは、愛しい少女を怖がらせないために過ぎないのだと」


 笑う。ただ、穏やかに。

 あとはきっと、彼が勝手に解釈してくれるはずだ。


 わたしは簡単にひとを殺しかねない化け物なのだと、思い込めば良い。


「キミの、大事な、もの…?」


 震える声で問われて、ふと、前世の合唱曲を思い出した。

 マルク・レングナーから一歩離れて、目を伏せる。


「怪獣にだって、心はあるのですよ」


 前世のわたしは、化け物なんかじゃなかった。

 “エリアル・サヴァン”だって、化け物じゃない。少し、特殊な力を持ってしまっただけの、ちっぽけな少女だ。


 けれど周囲が、彼女に心ない化け物の型を、当てはめた。


「あなたが操ったひとたちにだって、心はあったのですよ」

「…心、なんて」


 精神系、特に洗脳の能力者が陥りやすい心理がある。


 自分の手で簡単に他人を操れてしまうがゆえの、万能感。

 他人のひととしての尊厳を忘れ、ただ自分に都合の良い駒として扱ってしまう。


 クルタス王立学院の場合は過去の反省から、情緒面に配慮した教育が行われているのだが、他校だとまだ発達しきらない教育観念なのかもしれない。


「いくら魔法で心を操っても本物の気持ちは手に入りません、虚しいだけですよ」

「本物?」

「ええ。本物です。あなたは、貰ったことがありませんか?」


 ひとの反応は予測出来ない。

 だから怖い。だから疑う。

 だから安易に、操ってしまう。


 でも、それでは心からの気持ちは、与えて貰えない。


 彼はもしや、そう言う心からの気持ちを、与えて貰ったことがないのではないだろうか。

 ツェリとわたしがそうであったように、幼少期に歪んだ環境で育てられたのではないだろうか。


 少し考えてから、鞄を漁った。


 わたしをひとと思わないのではなく、自分の他にひとがいることを知らないだけなのだとすれば。


「あった」


 取り出したるは、非常食おやつ袋。

 中身は手作りのべっこう飴と、おせんべいだ。


「甘いものとしょっぱいもの、どちらがお好きですか?」

「え?」

「甘いものとしょっぱいものです。どちらがお好きですか?」

「別に、どっちも好きじゃな、」


 面倒なやつだな。


「嫌いでもないのですよね。でしたらどうぞ」


 ころころと、マルク・レングナーの手のひらにべっこう飴を乗せる。

 おせんべいを選ばなかったのは、作る労力の問題だ。チャラ男如きにおせんべいはもったいない。

 パリッとした食感が楽しいしょっぱい系おやつは、ツェリやわんちゃんにも人気だしね。


「なに、これー?」


 あれだけ怯えさせたのにまだそのゆるい喋りを続けられる根性は、尊敬する。


「お菓子です」


 マルク・レングナーの手からべっこう飴をひとつつまみ、口に入れる。


 口に広がるほろ苦い甘みに、頬が弛んだ。


 着実に前世の知識を活用しまくっているけれど、どうやら極東とやらの文化と似通っているらしいので、開き直った。


「…お菓子、好きなのー?」

「お菓子が嫌いな女の子は少ないと思いますよ」


 女の子と甘いもの。癒される組み合わせだ。

 わたしやツェリは、甘過ぎるものは苦手だけれど。


「ふーん…」


 マルク・レングナーが手のひらのべっこう飴を眺め、ひとつを口に放り込んだ。


「ん…甘い、ねー」

「不味いですか?」

「いや、だってこれ、単なる砂糖の塊でしょー?不味いもなにも…」


 そこはチャラ男なんだから、美味しいよー、とか言うところだ。

 空気の読めないキツネ野郎め。


「不味くないとおっしゃるのでしたら、美味しい、と言うことでよろしいですか?」

「ん、まあ、べったべたに甘いものとかよりはよっぽど好きかなー。美味しいよー」

「そうですか」


 半ば誘導したとは言え、望んでいた言葉を得られて、ほっとする。


「ありかとうございます」


 顔を綻ばせて言えば、ぽかんとした表情を返された。

 手から力が抜けてべっこう飴をばら撒きそうになったので、慌ててキャッチする。


「え、なに…?なんで…?」

「わたしが作ったものを、褒めて頂きましたから」

「え…?」


 マルク・レングナーの視線が、わたしの手に移ったべっこう飴に向かう。


「あなたは単なる砂糖の固まりとおっしゃいましたけれど、望みの味にするのは難しいのですよ、これ」


 言いながら、またひとつ口に含む。

 甘さの中に絶妙に混じる、ほろ苦さ。


 べっこう飴作りはかるめ焼きほどではないにしろ、奥が深い。

 加熱が少ないと単なる砂糖の塊になってしまい、かと言って加熱し過ぎれば焦げた味になってしまう。カラメルと違って単体で食べるものなので、苦過ぎては失敗なのだ。


「あなたが食べて、好きだと、美味しいとおっしゃって下さったので、お礼を言ったのです。どんな料理もひとに食べられて、美味しいと言われてこそのものですから」


 不味い食事は料理じゃない。単なる食糧だ。

 生きるためだけじゃなく、楽しむために口にしてこそ、料理だと思う。


 だから、自分の作ったものを認められれば、相手が誰であれわたしは嬉しい。


 わたしが彼へ素直に本当の気持ちを返せるとしたらこれしかないので、マルク・レングナーに手作りお菓子を食べさせたのだ。

 ツェリにリリアとレリィ、わんちゃんを除けば、わたしが手料理を食べさせた相手なんて次兄と…あ、一度テオドアさまに食べられているかな…くらいなものだ。


「…だって、キミが言わせたようなものじゃない?」

「言わされて、嘘を言ったのですか?」

「いや、美味しいと思ったのは本当だけど」

「それでしたら、嬉しいですよ」


 腐っても豪商の息子だ。舌は肥えているだろう。

 そんな相手に、原材料:砂糖、で美味しいと言わせたのだから、誇って良いのではないだろうか。


「嬉しいって、ボクはただ、美味しいって言っただけなのに?」

「心を貰うのは、物を貰うより難しいことですよ」


 物を貰うのは簡単だ。お金を出して、それ下さいでおしまい。

 でも、心はお金で買えないし、こちらもしっかり受け取ろうとしていないと、貰うことが出来ない。


 心は自分でも、自由に出来ないものだから。


「ボクの言葉で、ひとの心が動かせるって、言うの?」

「心からの言葉なら、動かせることも多いです。とりあえず、お礼を言われて嫌な気分になるひとは少ないと思いますよ」

「必ずとか、言わないんだね」

「必ずひとの心を動かせるなんて、洗脳と変わらないでしょう。他人の心はどう動くかわからないから、欲しいものが貰えたときにより嬉しく感じるのですよ」


 絶対落とせる口説き言葉とか、あり得ないだろう。

 心は十人十色なのだから、個々に動かされる言葉やシチュエーションは異なる。


 例えば乙女ゲームの攻略キャラひとつ取ってみても、ショタから爺萌え、ドSクールから熱血ワンコに同性、果ては宇宙人や妖怪、極めつけに鳩と、挙げきれないほどさまざまで、わたしは好かんわーと思うキャラでも、誰かのド真ん中ストライクなのだ。鳩萌えだって、きっといるのだ。

 ゲーム選びにしたって、わたしのように声優さんで買うひともいれば、レーベルや絵師さん、シナリオライターさんで選ぶひともいるだろう。あるいは口コミやゲーム雑誌を参考にしてじっくり選ぶひと、店頭での直感で買うひともいると思う。


 どれもそのひとの個性で、画一化出来るものじゃない。


「予想外にお礼を言われて、あなたはどう思いましたか?」

「…驚いたよー」

「嬉しくはありませんでしたか?」


 わたしの問いに、マルク・レングナーは口をつぐんだ。


 もう一押し、と問い掛ける。


「洗脳して得た反応と、同じに感じましたか?」


 相手を変えるのは難しいから、自分が変われば良い。

 そうは言うけれど、相手を変えられるなら、変えても良いはずだ。


 少なくともマルク・レングナーはきっと、このままじゃ幸せになれない。

 それはわたしの、エゴかもしれないけれど。


 恐怖政治で済ますつもりだったけれど、もし彼を救ってツェリの平穏が得られるなら、それに越したことはない。

 洗脳の能力者である彼は、敵になればこの上なく厄介だけれど、味方、は無理でもせめて敵対しないくらいに持って行ければ、かなりの安全を得られるのだから。


 精神攻撃が可能な人間は珍しい。

 彼がみだりに洗脳を使わない。その確証さえ得られれば、精神面の攻撃への警戒をかなり下げられるのだ。


 彼は少しうつむいた後で、わたしの手のひらを指差した。


「それ、もうひとつちょうだい」


 手のひらにあるのは、少しべたついたべっこう飴。

 …しまった自分の手のひらの体温を忘れていた。


「すみません少し溶けてしまって…」

「うあー、べたってしたー」


 ひとの忠告を聞かずにべっこう飴をつまんだマルク・レングナーが、大げさなリアクションを取る。


 それでもつまんだ飴を口に放り込みべたついた指先を舐めて、微笑む。

 さすがチャラ男だけあって、チャラいポーズがさまになる。


「うん。べたべただけど美味しい。べたべただけど」

「わたしだって好きでべたべたにしたわけじゃないですよ」


 むっとして残りひとつになったべっこう飴を口に放り込む。

 舌を出して手のひらを舐めれば、猫みたいだと笑われた。


「ほんとに、同じ反応にはならないんだねー」

「そもそもあなたが言った言葉が違うでしょう」

「洗脳したら、同じ反応になるんだよ」


 ぼそりと呟かれたひとことは、暗い闇が感じられた。


「洗脳で得られるのは、あなたに想像出来る結果だけですからね。リスクもなく、望む結果が得られるだけ。面白くもなんともないでしょう」

「そんなこと教えてくれるひと、いなかったもん」


 十五歳男子が、もん、は痛いと思うぞ。


「でしたら、今知れて良かったですね。洗脳なんて操る方も操られる方も苦痛です。使わないに越したことはありません」

「なら、ボクの能力になんの意味があるの?」


 洗脳になんの意味があるのか。

 意味がない、と切って捨てることは簡単だ。


 でも。


「幻肢痛、と言うものをご存じでしょうか?」

「ゲンシツウ?」

「何らかの理由で四肢を失った場合などに、あるはずのない欠損箇所が痛む、と言う病気なのですが」


 日本だと恐らく、ファントムペイン、と言った方が通じるだろう。

 原因不明、画期的な治療法不明の、難治病だ。


「失ったはずの手や足が痛むのです、治療箇所が存在しないので治療するすべはありませんし、実際に炎症や痛む箇所があるわけではないので痛み止めや麻酔の効果もありません。確実な治療法はない、とされるのですが、」


 前世でも経時による自然治癒か、ひとによって効果がまちまちの治療法しかなかったはずだ。


 でも、この世界では、


「唯一、洗脳を利用した治療が有効だとされています。このほかにも、いわゆる精神疾患に対する治療に、洗脳が有効である、とされています」


 科学的根拠がないからと前世で確立していなかった催眠治療が、この世界では洗脳の魔法の利用により実現しているのだ。


 了承を得ない洗脳は大いに問題だが、了承を得た上でのトラウマや精神疾患克服の手助けならば、胸を張って魔法の有効活用と言える。依存症の克服や犯罪者の矯正にも、有効だろう。


 願わくば利己的な理由ではなく、人助けに洗脳を利用して欲しい。


「ボクが、ひとを、助けられる?」

「専門の知識を得た上で、正しいやり方を取るならば、可能でしょうね。きっとたくさんの方が、あなたに感謝しますよ」


 治癒魔法使いは存在するが、決して足りているわけではない。

 治癒が行き渡らずに四肢を欠損してしまったひとや、なんらかのトラウマに苦しむひとの人数は、決して少なくない。


「知り合いに専門家がいたはずですから、よろしければ渡りを付けましょうか?」


 知り合いと言っても、宮廷魔術師(わんちゃんの部下)だけれど。

 魔法の悪用はわんちゃんも嫌っていることだし、協力してくれるだろう。


「…ボクが人助けをしたら、キミは嬉しいの?」

「顔見知りが犯罪に走るよりは嬉しいでしょうね」


 犯罪者ネタは自分とツェリだけで食傷している。


「そっかー。じゃー、お願いしようかなー?」

「忙しい方ですから、客員講師程度の関わりになってしまうかもしれませんが」


 なにせ宮廷魔術師だ。

 魔法特化のクルタスだから呼ぶのは問題ないだろうが、マルク・レングナーに付きっきりとは行かないだろう。


「うん。良いよ。きっとボクじゃーお目通りも適わないようなひとなんでしょー?」

「…伯爵子息さまがなにを言っているのですか」


 位だけ見るなら、無爵の宮廷魔術師より伯爵の方が上だ。

 呆れたように突っ込めば、目を見開いて見つめられた。


 今日はキツネ目がよく開く。ゲームのスチルでもあんまり開いてなかった気がするのに。


「…ボク、商人の息子だけどー?」

「レングナー伯爵のご子息でしょう」

「金で買った爵位だよー」

「実力で爵位を得てなにが悪いのですか?」


 ツェリの陰口を叩く馬鹿どもを思い出して、舌打ちしそうになった。


「ただ生まれた家に胡座をかいている人間よりも、自分の力で爵位を得た人間の方がずっと爵位にふさわしいと思いますよ。…まあ、爵位を得て、なおかつ権利に付随する義務を果たすならばと言う但し書きは付きますけれど」


 その点、ツェリは実力も淑女教育もばっちりなので、着飾ってひとの陰口を叩くしか能のない馬鹿令嬢や、えばり散らしてツェリに下衆な目を向ける馬鹿子息どもより、よほど公爵令嬢にふさわしいと、自信を持って言える。

 あとは素敵な旦那さまを射止めさえすれば、言うことなしだ。


 と言うかそもそも前世で一般ぴーぷるやっていたので、身分は覆せるものと言う感覚がある。

 見初められさえすれば、平民から皇族にだってなれるお国だったからね。


「キミ、生粋の貴族令嬢だよね?」

「あなただって生まれたときから伯爵子息でしょう」

「いや、うん、そうだけどさー」


 思わぬ台詞だったようで、マルク・レングナーが頬を掻く。


 わたしは首を傾げて、小さく息を吐いた。


「サヴァン子爵家もこの国では新興の部類ですけれどね。やっかんであれこれ言うやからは、害にならない限り見下しておけば良いのです。追い落とされるのが怖い小物の、不安の発露でしかないのですから」

「…キミってさー」


 マルク・レングナーを少しツェリやわたしに重ねたからか、あまりに忌憚ない言葉を吐いてしまったわたしに、マルク・レングナーは呆れ顔を向けた。


 途中でため息を吐いて、言葉を継ぐ。


「顔はお人形なのに、言うことがえげつないよねー」

「…伊達に化け物扱いで十年以上生きていないですよ」

「そっかー」


 マルク・レングナーは力の抜けた笑みを浮かべると、呟いた。


「キミと、友達になりたかったなー」


 そう呟いてわたしを見た彼の目からは、嫌悪を感じさせる色がなくなっていた。


 目を細めて、答える。


「現状好感度はマイナスですから、よほど頑張らないと無理ですね」

「あはは、ひどーいー」

「過去の言動が今を作り、今の言動が未来を作るのです。未来を変えたいならば、努力するしかありません」

「そっかー。仕方ない、ガンバるかなー」


 その瞬間覚えた嫌な予感を、見逃すべきじゃなかった、と思う。




「…それは、改善したの?」

「ぐっ…、黙秘権を行使します」


 わたしが逃げ出さなくなったのを良いことに、マルク・レングナーがわたしの周りをうろちょろするようになるくらいなら。


「あなたって、本当に…」


 ツェリが呆れた顔でぼやく。


「見境なくたらし込むわよね」


 落とされた言葉に今日ばかりは反論出来なくて、わたしはがくっとうなだれた。






拙いお話をお読み頂きありがとうございました


悪役令嬢におせんべい…シュール


続きも読んで頂けると嬉しいです

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― 新着の感想 ―
[一言] 主観では冷静冷酷怜悧なつもりなのに、客観では人誑しぬこwww 大好物ですありがとうございますw
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