第1幕 新入り 名古屋へ
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竜二朗と冬也は新大阪駅から新幹線に乗り名古屋へ。名古屋駅に降りると角野が居そうなところを歩き回る。時には術師になりビルを駆け飛んで探した
「あーーー!!ほんまどこおんねん!!」
捜しはじめてから三時間が経過した頃、竜二朗は苛立ちはじめた
「イライラしとったってなんもはじまらへんで。根気強く捜すしかないやろ」
冬也はなだめた
「わかっとるけどーー」
拗ね気味に答えた竜二朗だった。
お昼時になり二人はコンビニで昼御飯を買い近くの広場で食べることにした。
二人の座ったベンチの近くに一人の少年が座った
「ん、あれ…」
竜二朗が気づき二人は少年の顔を見て情報屋から貰った写真を見てまた少年の顔を見た
「あ、あああ!!」
「アホ!静かにしろや!」
二人は少年が角野莉苑だと気づいた
一瞬こっちをチラッと見たがすぐに目をそらした。
「まさかここで出会うとは…」
「ほんまやな。冬也、声かけるで」
「え、待ってや!早ない?」
「いや、勝負は早いほうがええやろ!ほら、行くで!」
竜二朗は冬也を引っ張っていき角野の前に立つ
「あのー」
声をかけられ驚く角野
「あのっ!ぼ、僕っ!学校行ってないわけではないですからっ!」
「え?」
豆鉄砲食らったような顔をする竜二朗
「…。俺ら私服警察ちゃうで」
どうやら二人を補導に来た警察だと勘違いしたようだ
「あ……、すいません…。それで、僕に何のようがあるんですか?」
「あーそうや、そうや。君、角野莉苑君やな?」
「はい」
「学校は定時制?」
「いや、通信制なので昼間にスクーリングあったりなかったりです。」
「普段何してるん?」
「学校に行かない日は工場で働いてます。車の部品作ってます」
「大阪行ったことある?」
「小さい頃に旅行には行ったことあるような、ないような…」
「もし住めることになったら住んでみたい?」
「住みたいです!!」
「よし、じゃあ、詳しいこと話そうか」
「え、住めるんですか?」
「まあ、君の返事次第やけどな」
「はあ……」
何がなんだかワケわからない質問をした竜二朗
横で見ていた冬也も意味わからないという表情だ
「まず角野君。君は術師やろ」
「術師ってなんですか?」
「え?
ええええええええええええ!!」
名古屋市内のとある公園に響く二人の驚いた声
「え、待って待って。こいつ術師ちゃうの?」
「でもこの写真と同一人物やで!名前も同じやし」
パニックになる二人
「あのっ!まさかとは思いますけど……」
角野が二人に近づく。しかしオーラがおかしい。さっきまでは特に何も感じなかったが、今は怒っているような感じだ
「僕のこと、殺しに来たんですか?」
「殺しに?まさかそんなわけあるか~なんの冗談やねん、角野君!」
否定する竜二朗
「軽々しく名前呼ばないでください」
角野は睨んでいる
「ごめん、なさい…」
「なあ何でそう思ったん?」
冬也が質問する
「他の奴等もそうだったから。僕を助けるとか行って殺そうとした。武器と魔法を使う奴が。
だからそうなんでしょ?」
「だからちゃうって!俺らは純粋に君を仲間にしたくてな!」
「仲間にしたくて、とも前に言われました。でも仲良くなった頃に殺されそうになりました。どうせそうなんですよね、貴方達のような人は。表の世界で輝けないから裏の黒い世界で力をふるってるんですよ。」
角野の目はだんだん光を失っていく
「なんの事やねん……。」
「さっぱりわからへん…。」
二人は角野に突然こう言われ困惑している
「僕は一人で大丈夫なので、もう関わらないでください」
と言い角野はカバンを持って走り出した
「待て!」
と二人が追いかけたが信号に引っかかり角野に追い付けなかった
「一体何があったんや。」
「なあ、リュージ。無理に仲間にしようとせんでもええんちゃう?」
「でも冬也!」
「あんな調子のと上手くやっていける気がしないわ。」
「……。」
「時には諦めが肝心やで。ほら、お昼食べてへんやん。食べよ。」
「おん…」
二人はさっき座っていたベンチに戻った
「ってことやねん。」
夜宿泊先の部屋にて、昼間の角野の事をテレビ電話で難波忍光組に報告する2人
「ちょっと唐突に聞きすぎたんちゃうん?」
正口がいう
「俺もそう思ったんやけどリュージがどんどん言ってまうから止められなかったんや」
「冬也が止めてくれればこんなことに……」
「あーはいはい!二人とも悪くない、運が悪かっただけやって!」
梅村がなぐさめる
「でも俺引っかかる事あるんやけど、ええ?」
と向田
「術師って何?って言われて説明してへんよな、二人からは。でも何で角野わかったん?」
「思い出したんやろ?前にも仲間に入れようとした奴おるんやら、そこから説明聞いてるやろ」
術師は表沙汰には出来ないため、一般の人間には知られていない。むしろ知られてはならないのである。
仮に知っているとなれば誰かから聞いているとしかない
「あーそういえばそうやなー」
「とりあえず、俺らが話聞いた術師に聞いてみれば?連絡先知ってるから教えるわ」
と正口
「おー!サネくんさすが!!頼みまーす!」
「ほーい。リュージの携帯に3人連絡先送るわ」
「ほんまに仲間になってくれるんかな」
冬也は諦めかけている
「そんな事言うなって。一人でおったら大変なことになるのは冬也が一番わかっとるやろ?」
と梅村
「………。まあ、そうですけど。」
図星だと心の中で冬也はつぶやいた
翌朝二人は角野の詳しい話を聞きに行ったのであった。