第1幕 日常 夜9時の帰り道
高級マンションを後にした6人はグチグチと話していた。
「行かへんのもアリってどういうことや!結局どっちやねん!」
部屋では黙っていた竜二朗。外に出るやいなや声をあげて悠生の愚痴を言う
「ほんまや。悠生くんあの一件以来慎重になりすぎやねん!」
「やっぱ秋もそう思っとるよな?」
「おん!リュージの気持ちようわかるで!」
悠生に反発する二人は同意の力強い握手をする
「気持ちはわかるけど、お二人さん邪魔や」
「あ、ごめん」
行大の前を塞いでたため注意された二人。そっと端に行く
「それと夜道で大声あげて話すなや。近所迷惑やで」
「すいません…」
シュンとする二人
「細かいことは伏せてるからええけど人に聞かれたらどうするねん」
「でも、他の軍には伝えてあるって…」
「ちゃう、一般の人や」
「あ。」
「あ。ちゃうやろ…。それで前へんなおっちゃんに絡まれたやんけ」
呆れたという感じで竜二朗に言う行大
「そんな事もありましたね」
と冬也
「話変わるんやけど、行かへんっていう選択肢は選びたくないな」
と流留
「まあ、そうやね。活躍によっては名をあげられるからな。出世のチャンス掴むかもしれへんし!」
と流留の肩を組み言う稜美
「そっかー、出世か」
思い出したかのように言う秋
「悠生くん達の歳を考えると明日から俺たちがこの軍を引っ張っていくことになるってことあり得るな。ほんまにそうなったなら少しでも評価されるもんほしいよな」
腕を組みながら言う稜美
「稜美はよう考えとるな…」
言葉では褒めてるが内心嫉妬している秋
「次期リーダーはいずちゃんか?」
おちょくるように言う竜二朗
「まさか~!そんなわけあらへんって!」
お世辞を言われ素直に喜んでいるが言葉では否定する稜美
「いや、実際いずちゃんでもアキでもどっちでもええって感じやと俺は思うけど」
と行大
「え、何でオレの名前出てくるん?!オレはカノちゃんも候補やと思うで!やって、この中で一番歴長いやん!!」
驚きのあまり大声になってしまった秋
「この軍は歴だけでリーダー決めへんって昔から言われとるやん。
リーダーの事は置いといて、皆は東京に行くん?」
少し間を置き質問する行大
話を変えられたことにふてくされる秋は小さい声で
「行くで」
と言う
「行く行く!!」
秋とは対照に元気な声で言う稜美
「Nkingは二人とも行くで!」
親指を立て、そう言う竜二朗。その横で冬也はキリっとして決意を表情に表している
「流留は?」
と聞かれた流留。行大の後ろで大きくうなずいた
「皆行くか。良かった」
ホッとする行大
「頑張ろな。まずはここらの魔物退治からか…」
機嫌を直した秋。
5人は秋の言葉を聞きうなずいた。そして薄い黒い靄がかかる空を見上げたのであった。
同じ頃、愛知県名古屋市のとある住宅街
街頭の光に照され歩く一人の高校生ぐらいの少年。
スタジャンにジーパンとカジュアルな服装だ。
しかしおかしなところをある。
手や服に血がついていることだ。立ち止まりそれを見てニヤリと笑ったがすぐに表情が怯えた表情に変わる。
一体彼は何者なのか?
この少年は後に大阪の術師達と深く関わることになる。