拝啓、帰ります
『で、あるからして、校舎前では地下の汚水処理の工事のために迂回して帰るように…』
黒板前では歴史の筋肉マッチョのこんどーが何か熱弁をしているが、高校2年出席番号36番、速見 時貞には関係ない話だ。
早く話しを終われ!そもそもあの筋肉なのに何故に歴史の教師なのか。
あれですか?筋肉があると歴史から寄ってくるんですか?
『よし、今日の授業終り。日直!』
礼もそこそこに帰り支度を始める俺
「今日も無事に授業が終り~っと」
回りを見ると部活に行くもの、友達と雑談する物などに別れているが、俺には関係ない。
別に運動は出来ないわけでも、ボッチでもないが、オタクでも…いやちょっとだけオタクだな、何だって今日は何時も買い物に行ってるお店で旧作ゲームが80%OFF、迷作ゲームの中から名作を探す楽しみが速ければ速いほど確立が上がる。
気の良い友人達に挨拶をし下駄箱から休み時間に用意しておいた靴を履き、後者裏に回る。
教師にばれたら大変なので周りを見ても誰もいない。
よし、誰も居ない!フィンヌン~!聴かれたら恥ずかしいような気合を込めてフェンスを登りスタっと降りる。
うん。降りて着地するはずだったんだ…目に映ったのはカラーコーン、そして穴。
あ、死んだな。思わず眼をつぶる
脳裏に浮かぶのは数十分前の筋肉近藤の話、そして家族、愛猫、友人、楽しかった修学旅行、買い物先の馴染みの店長、時代劇好きで名前をつけてくれた婆ちゃん
いや待て待て待て待て。いくら走馬灯でもこんなに長いはずが無い!地面に落ちた衝撃もない。
うっすら眼を開けると見渡す限り森森森、森林
「ここ何処?」