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退屈な朝
ゴロゴロゴロ…。
どこかで雷が鳴っている。
窓から伝う大量の雫をなぞりながら、私は思わずため息をついた。
(退屈だなぁ…。)
ここ数日間は嵐が続き、ろくに外にも遊びに行けない。
まぁそもそも、魔界に天気の良い日なんてないんだけど。
私達が住んでいる魔界にはたくさんの怨念が渦巻いているらしい。
その呪いとかで一生魔界に太陽とやらが昇ることはないのだとか。
私は暗雲の立ち込めた空を憎らしげに見上げる。
(毎日こんな天気だもの。気が滅入るはずよね。)
と、思わず眉を潜めていると
「おはよう。起きているかい?」
部屋の扉から控えめなノックが聞こえてきた。
(この声は…。)
自分の鼓動が速くなるのを感じる。
身体の中にある熱い何かが込み上げてきた。
「…どうぞ。」
緊張しているのを悟られないように、私はなるべく低い声で答える。
ややあって扉が開き、一人の男悪魔が部屋に入ってきた。
透き通る様な白い肌に輝く銀色の長髪。
スッと通った鼻筋に澄んだ紅の瞳。
もはや天使かと見間違える程の美しい悪魔だ。
私はゆっくりと跪き、頭を下げる。
「おはようございます。お父様。」