1/2
復讐の時
この世には三つの世界がある
知恵ある人間達が住まう人間界
忠実なる天使達が住まう天界
そしてーーーーーーーー
忌まわしい悪魔達が住まう魔界
「ついに…完成した。」
今宵、薄暗い部屋の中で笑う男が一人。
窓から射し込む月明かりだけが部屋を照らし男の蝋の様に白い肌が浮かび上がる。
ニヤリ、と男の唇が大きく歪む。
舌で唇を舐める姿は正に悪魔だ。
男は整った中性的な顔立ちだがその不気味な笑みが全てを台無しにしていた。
男は銀色の長い髪を振り乱しながら狂った様に喋り出す。
「ついにこの時が来た!!これでやっと奴等に復讐が出来る!!」
男は血の様に紅い瞳を見開き、黒いマントを翻しながら歩き出した。
男の目指す先には、今にも闇に溶けてしまいそうな漆黒の棺桶。
男はまるで花を愛でる様な優しい手つきでそれに触れる。
「まだ目覚めるまで少し時間がかかるかな。いいんだよ…焦らないで。」
そう言う男の瞳は慈愛に満ち溢れていた。
しかし、すぐに狂気的な空気が男を包む。
「愛してるよ、パンドラ。」