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3、お婆ちゃん家へ到着

 次の日の早朝、僕達3人は荷物を抱えながら歩いて近くの駅まで行き、切符を買い一番電車に乗った。

 まだ、人はほとんど乗っていなかった。

 ガタンゴトンと音をたてて揺れ動く電車に僕は身を任せ、次第に景色は田舎の風景へと変わって行った。

 家を出発してから半日ほどが過ぎた。もう空は日を落としかけていた。

 僕達は小屋と呼んだ方がいいかもしれないような小さな古い駅で下車した。駅は大自然の真ん中にぽつんとあり、見渡す限りの山だった。蝉の鳴き声だけが辺りに響いていたが不思議と嫌な気分はしなかった。

「お婆ちゃんの家は、ここから歩いて1時間の所だ」

 パパが言った。

 僕達はお婆ちゃんの家へ向かって道なき道を歩いていると、潮の香りが漂って来た。

「海も近くにあるの?」

 僕はママに聞く。

「そう、ここは山と海があるから修行には持ってこいなのよ」

 ママが嬉しそうに話した。

 樹海とでも言えそうな森に足を踏み入れると、光が木々に遮られているので急に暗くなった。さっきよりも一層、蝉の鳴き声や様々な虫の鳴き声が響き渡っていた。

 湿った大地を歩いていると、ふとカチカチという音が聞こえた。僕は辺りを見回した。それはスズメバチの警戒音だった。

 パパとママはそのことを知っていて、ぼくよりも10メートルほど後方にいた。

「お前が、何とかしてみせろ」

 パパが言ったので僕は「ラジャー」と言いスズメバチの巣に向かって行った。

 僕がスズメバチの巣に近づくと、スズメバチが巣からゾロゾロと出て来て、僕に向かって突進して来た。

 僕は全てのスズメバチの頭をデコピンで破壊して行った。地面には体だけのスズメバチがピクピクと動いている。

 パチパチパチッ。

 僕がパパとママの方を見ると両親が僕に向かって、大きな拍手してくれていた。

「すばらしい。俺の小さい頃よりずっと凄い」「ええ、私の小さい時よりもよ。すばらしいわ」

 パパとママが言ったので僕は嬉しくて、少しだけ顔が赤くなった。

 後で天ぷらにして食べる為、スズメバチの死体を全て回収し、リュックに入れ僕達はさらに森の奥へと進んで行った。

 視界に大きく光が差し込んでいる空間が目に入った。

「あそこにお婆ちゃんの家がある」

 パパが少し嬉しそうな顔をして言う。

 近づくにつれだんだんと家の形が姿を現して行き、ついに家に到着した。


 

 

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