初雪
掲載日:2026/02/20
初雪
静けさが贈り物のように紐解かれる
やわらかな、やわらかな
羽毛のように軽い冬の花びらは
私の手のひらの上で消えていく
儚い・・・いのち
儚い命が
目の前で形になるかならないうちに
消えていく
心もとなく呆然と見ている瞬間に
なぜか私の中で宇宙と自分の関係が
明らかにされたように
江戸切子よりももっと
細かに細工された
雪の結晶が誰の目に留まることなく
消えていったことが
胸を射る
時間には
それぞれ違う長さがあるらしい
雪と大気と宇宙と人と
常に消えていく
誰にも気づかれずに
今年の冬にはまだ初雪は
降っていない
刻まれる時は
深い空の深淵で
初雪のように
消えていく




