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第6話 初めての異世界の街

 怪物から襲われてた人を助けてから数時間が経過した。


 山道を抜けると、そこに広がっていたのは、想像よりずっと活気ある街だった。


 高くそびえる城壁が、周囲の自然を切り取るようにそびえ、その門前には旅人や商人が列をなしていた。荷馬車の車輪が石畳にカタカタと響き、衛兵の鋭い視線が往来を見張っている。


「ここが・・・この世界の、街ですか」


 拓斗は、思わずつぶやいた。日常からかけ離れた世界に来たという実感が、やっと形を持って胸に広がってくる。


「驚きましたか拓斗様! ここ、エルドっていう交易が盛んな街なのですよ。人もたくさんいて、ちょっとだけ騒がしいけどすごく活気があふれていいところです・・・ここの名物の料理もおいしいですよ♪」


 隣で微笑む女性――ソナタ。つい数時間前に、怪物から助けたばかりの彼女が、今は案内役として同行してくれている。


「ありがとうソナタ。ここまで案内してくれて」


「命を助けてもらったんですから当たり前ですよ。困ったときはお互い様ですよね。・・・それに、初めてなんですよね? 和の国家以外の国に来るのは」


 ソナタが少しだけ微笑む。その横顔に、拓斗は自然と安心感を覚えた。



 

 いざ二人が入り口の門に入ろうとしたとき「「待て!」」と二人の門番らしき、衛兵が手に持っていた斧をクロスさせて二人の行く手を阻む。


 いきなりのことだから拓斗は驚き、ソナタと一緒に1,2歩ぐらい、後ろにさがった。


「な、なんだ、いきなりこんなことをして! 危うく大怪我をしそうになったじゃないか!」と拓斗は2人の門番に対してカンカンに怒りながらそう言った。


「ここに入るには入国許可書が必要になる。」「持ってなかった場合にはここえる度には入ることができない。」と二人の門番がそういった。


(うわあ、エルドに入るには入国許可書というものが必要なのか‥‥‥まいったなあ……どうやって入ろう)


 拓斗がそう思い、頭を手でかいて困った表情をしていた。それを見て何かを察知したソナタが自分のポケットに入っていた紙らしきもの2枚取り出して


「はい、入国許可書です。彼はモノをすぐに落とす癖があるので、落して無くさないように私が預かってたんです。すみません、すぐに取り出さなくて‥…」


とにこやかな笑顔でそういって、門番の人に2枚の入国許可書を見せた。

 

(えっ、なんでこの子が入国許可書を2枚持っているんだ‥‥いや、自分のを持っているのはわかるけど、もう1枚は)


 それを見た拓斗はびっくりしていた。何で彼女がその入国許可書の紙を2枚持っていたのか。


 二人の門番は2枚の入国許可書を見て、その場で厳しい目で確認をした。まるで空港とかの検査みたいな感じで。


「よし、2枚の許可書は間違いなく本物だ。通ってよし、ようこそ交易の街"エルド"へ!」「冒険者ギルドへ行きたいのならまっすぐ行けば赤い建物がある、そこに冒険者ギルドがある!」

 

 しばらくして、入国許可書が本物と確認をした二人の門番は拓斗たち二人に


「「二人の行く末に栄光あれ!」」


 そういって二人の門番は拓斗とソナタを迎え入れた!



 エルドの街の風景は元の日本というところで住んでいた拓斗にとっては初めての光景が広がっていて衝撃を受けるかのようだった!


 街を歩けば、目に入るのはどれも重厚なレンガ造りの建物ばかりが所々に並んで建っていた。赤茶色の石を積み上げた壁は、どれも背が高く、時の重みを感じさせる。

 装飾のない直線的な作りが、街全体に無骨な整然さを与えていた。区画ごとに微妙な色合いの違いはあるが、遠目にはどこも同じように見える。まるで外国に来たような街並みだった。


「おお、この商品はすごいものだぜ」「レアものを取り揃えてきたんだ」「ここじゃ、高価なものが安く手に入るよ」「買った買った!」「た、高すぎるぜ」「ま、まけてくれ旦那!」「こ、これと物々交換だ」


 そして街の中はとても賑やかであった。誰もが明るい感じで、たくさんの人が商売をしていて、所々で交易をしている。

 

 そんな光景を見た拓斗は環境が急にガラッと変わったときの一人暮らし初めたての学生かのような感じがして混乱をしていた。

 元居た世界でもたくさんの人はいたけどこんなにぞろぞろとしていて、所々に大きな声が鳴り響いていて耳を両手でふさぎたいぐらいに賑やかであった。


「ふふっ、驚かれましたよね。私も初めてきたので、少々ちょっと緊張してしまいました。拓斗様と一緒です♪」


 ソナタはそんな拓斗を横顔を見て「クスッ」手を口に軽く当てて笑いながら、拓斗の隣を歩いていた。その姿はどこか品の良さを感じた。


「‥‥でも、まさか入国許可書がいるとは思わなかったなあ、なんかすぐに入れるとは思ったよ」


 混乱から「ハッ!」として周りのにぎやかで人ごみに少し慣れた拓斗は腕を組みながら顔を横に倒して疑問を口にした。


「活気があふれる交易の有名な場所なので、闇の取引を目的とする犯罪者が出てくるのですよ。 ですので、こうやって入国の時にその許可書が確かめられるんですよ。」


 ソナタの説明を聞き「なるほど」とうなずきながら納得する拓斗。


「で、何で入国許可書を2枚ももっているんだ‥‥1枚はソナタ用なのはわかるけどもう1枚は?」


 ‥‥ふと、拓斗はさきほどの入国の審査でソナタがポケットから出した2枚の許可書についての疑問をソナタに聞こうとした。

 それもそのはず、自分は「預けてくれ」と入国許可書を彼女に渡してはないし、そもそもここの世界にまだ到着したばかりで、その入国許可書もさきほど初めて知ったばかりである。それを何故、ソナタは2枚持っていたのか疑問をもつのは当たり前のことである。

 それを聞いたソナタの頬に汗がたくさん垂れ始め、目を細め口角を少し上げ、苦い顔をしながら「ハハハ、なんででしょうねえ‥‥」と拓斗と違う方向に顔だけを向けてはぐらかそうとした。


 拓斗はソナタが疑問に対して何かをごまかそうとしいる顔を見て


(‥‥ああ、なるほど。その反応からして多分、誰にも言えない事情があるんだ。)


と何かを察した拓斗はソナタに「ごめん」と伝えそれ以上は言及をしなかった。




 冒険者ギルド


「‥‥おおお、ここが門番の兵士たちが言っていた冒険ギルドってやつか! すごく立派なところじゃん。」


 門番の言った通り、まっすぐ進んだ拓斗とソナタ。そこには立派で大きな赤い建物の冒険者ギルドがそこにはあった。

 周りの建物とはレベルが違うと感じるほどに豪華で街で聞いた人の賑わいに負けないぐらい、なんならそれ以上の何かを感じるほどであった。それを見た拓斗の顔は「パア」っと子供のような明るい顔をしていた。


「冒険者ギルド……数多の腕に自信がある人、お金ほしさに一獲千金を目指すもの、過去に傭兵だった人、ここにはそんな人らが来るところなんですよ」


 先ほどの苦い顔が嘘みたいに淡々とソナタは冒険者ギルドについて拓斗に伝えた。


「・・・まあ、私も話とか聞いていただけなので、実際に目にするのは初めてですけどね」とにこやかに笑っていた。


 ソナタの淡々とした話を聞き、期待を胸に拓斗がドアを『ギギギ!』っと押し開け、いざ冒険者ギルドの中へ入ろうとした!

 

 次の瞬間、ドアの向こうからは――。


 そこで拓斗とソナタに待ち受けていたものとは――!?


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