第5話 最初の戦い、そして
「ハアハアハアハア、だ、誰か、助けて・・・ハアハア・・・」
「ギャアアアアオオオーーー!」
一人の女性が自分より2,3倍ほどの大きな怪物から必死で逃げている。体はボロボロになりながらも助けを呼びながら。
けど、ボロボロになりながら逃げていたのか、次第に酸素が切れていき、大声で助けを呼んでいたのか声もかすれていき、体から悲鳴を上げている。
かれこれ、数分から数時間も必死で走っているので、体力の限界をとうに過ぎフラフラである。
「も、もう・・・走れない・・・キャ!」
女性は小石につまづき、その場から転んだ。勢いよく『スザー!』って転んでないから擦り傷はしなかった。
だが、女性を追っていた怪物が転んだ女性の後ろに。今にも襲いそうな感じだった。
「ハアハアハアハア、うぐっ、も、もう動けない・・・」
女性は起き上がろうとしても、体力の限界まで必死で走っていたから起き上がれない。
そのせいか、顔が青ざめた絶望の顔をした。
怪物は女性の今の状態を全く気にせずに襲い掛かろうとした!
「ギャアアアアオオオーーー!」
(も、もう、ダメなの、い、いやだ・・・ここで死にたくない!)
女性が目をつぶった。
そしたら、目の前が『ドゴーン!』って爆発音がして怪物が当た方もなく消し飛んだ!怪物は断末魔をあげたけど、それさえも聞こえないほどの爆発音でかき消された。
(えっ、何があったの・・・・面も前でものすごく大きな爆発音が)
女性が、恐る恐る目を開けるとそこには、怪物の形すらそこにはなくて、代わりにそこには通常ではありえないほどの大きな穴があった。
怪物と同じ、またそれよりも大きくて深さも通常ではありえないほどの穴が目の前に広がっていたので。女性はゆっくりとその場で立ちながら爆発跡を見たけど、一体目の前で、何が起きたのかわからなくなり頭パンクしそうなほどに混乱をした。
「・・・ふう、なんとか間に合ったようだな。大丈夫でしたか、どこか怪我とかないですか?」
混乱していた女性に向こうから男性がこちらを見つめながら、ためらうように歩いてきていた。
何が起きたかわからなくて混乱していた女性は「ハッ!」と正気に戻り、
「た、助けてくれたありがとうございます。なんとお礼をしたらいいのか・・・」
助けてくれたと思われる男性にお辞儀をしながら感謝を伝えた。
女性にお礼の感謝をされた男性は
「いえいえ、人間として当然のことをしたまでなので気にしないでください。」
それを言って女性に怪我が本当にないか確かめ、男性はそっと胸をなでおろすかのように安心をした。
「見た感じ大きな怪我がなくてよかったです。自分は夜空拓斗と申します。」
「拓斗様ですか・・・苗字が頭に来る感じ、和の国家の人々の名前によく似ていますけど」
(和の国家・・・聞いた感じだと多分日本みたいなところなのかな?)
女性の発言に拓斗を自分がいた国に似ているところがこの異世界にもあると考えていた
「あ、私の名前はソナタ・・・"ソナタ・ハルナーガ"と申します。本当に助けてくださりありがとうございます。」
女性は自分の名を言うと、改めてお辞儀をしながら拓斗に助けてもらった感謝を申した。
ソナタ・ハルナーガ・・・橙色の綺麗な長髪をしていて、端正な顔立ち、目は鮮やかな深紅の赤色、素敵な声色をして、礼儀がしっかりしていてどこかお嬢様っぽい美人さんである。
拓斗より背が頭一つ高くて、年齢は20歳前後の見た目をしていて、プロポーションも現実のモデルさんと匹敵するほどであり、なんというか雰囲気から他の人と違う風格を感じる。
そんな彼女からボロボロの見た目からあり得ないほどの森のいい香りがしていて、拓斗は
(や、やばっ!彼女からとてもいい香りがしていてなんかいい感じでとても綺麗な方だ!)
と、顔を少し赤らめてからそう思った。それは一般男子高校生らしい感想だった。
「やはり助けてくださったので、どうかお礼をさせてほしいです拓斗様。」
ソナタはそう言いながら、上目遣いで拓斗を見た。
(ううっ、なんというかどう見ても、すごく断りずらい雰囲気を感じるぜ)
と、思いながら拓斗は頭の仲がぐるぐると周り、悩み悩みながら・・・ついに
「わ、わかりました。お礼を甘んじて受け取ります。それで貴方の気が落ち着くのなら。」
それを聞き、ソナタは涙を少し流しながら「ありがとうございます拓斗様!」といい、拓斗の片方の右手を両手で持ち、ぶんぶん上下に揺らした。
それにたいして、拓斗は「ハハハ」っと明らかな苦笑いをしながらぶんぶんと揺らされていた。
「歩けますか?」「あ、大丈夫です。足がボロボロですけど何とか街までは歩けると思います。」「いえ、無理はしないでください。街まで手とか肩とか貸しますので。」「あ、ありがとうございます拓斗様!」
とやり取りをしながら、二人は爆発の跡地からゆっくりとゆっくりと離れるのであった。
「イーヒッヒッヒ、どうやら人助けをしているようだけど。この世界の雑魚ほどの怪物に対してのえぐいほどのこの威力は・・・やはり選んでよかったかもなあ。イーヒッヒッヒ!」
とその光景を見たエルラはニヤリとしながら嬉しそうに笑った。自分が本当に当たりの部類を引いたと確信をしながら・・・
???視点
「よっと、到着到着!」
拓斗がソナタと話し合っている同時刻に彼女はこの世界に降り立っていた。
「いやあ、ギリギリで承認されてよかったわ。参加できなくなるって聞いた後に天使会議に乗り込んでピースラグナロクに参加資格を無理やり頼んでよかったよかった~」
彼女が「ホッ!」っと胸をなでおろすかのようにしていたら天候の天界紋章から男性の声が聞こえてきた。
「はあ、あなたが参加時間の時に天使会議に乗り込んで天使たちに頼み込むって言うから他のアバターたちより遅く異世界に降り立ったのですよ。全くもう、とても心臓に悪いですよ。」
彼女の担当の男子天使からの文句というか何だかでグダグダグダグダと話しかけていた。
「まあまあ、参加できたことに喜ぼうよ"ダンテ"。私とて参加できなかったらつまらないし、ダンテは勝利したら愛しの先輩から褒美がもらえれるんだし。」
「なっ、その話をどこで聞いたのですか"響!」
男性の天使"ダンテ"は驚いた感じで"九条響"に大きな声で聞いた!
響は「うるさいうるさい」と両手を耳に当てて声をシャットアウトしようとしたけど、そもそも手の甲からその大きな声が出ているからあんまり効果はなかった。
「この前偶然に聞こえてしまったからしょうがないでしょうよダンテ。まあ、聞いてて面白そうだった話なんだけどね。」
と舌を少し出しながらそう言った。今のところはそんな姿はダンテから見えないけど
「・・・はあ、少し馬鹿にしてますね響。舌を出していますねあなたは。」
長年の相棒みたいな感覚で響の行動が筒抜けでわかっていた。
そう二人がワイワイと話していると背後から、『グオオオオオオオオオオオオー!』とした鼓膜が破れるほどの怪物の大きな声が響いていた。
そしてその怪物が大きな声で背後から響を襲おうと立派で何もかも切れそうな鋭利な爪で切りさこうをした。
でも、それも虚しく叶わなかったことみたいだ。怪物の腕がいつの間にか吹っ飛んでいて、そこからたくさんの血液が『ブッシャアアアアアー!』とあふれ出ていた。
怪物は何が起きたかわからなくて一瞬ひどく混乱していたけど、次の瞬間には怪物の首から上が地面に落ちていた。
「いやあ、やっぱりこの世界は物騒みたいで私好みだわ。いつもこの感じが体から流れ出るようにあふれてくるから最高だわ。」
そう言いながら響は怪物を切り裂いた刀を払うと、濃赤の血液がバッと地にまき散らされた。それを鞘に納めた。
「・・・はあ、怪物の大きな声が一瞬で聞こえなくなりましたけどあなた怪物を切り裂きましたね。」
ダンテは溜息を出しながらそう言った。
「いやあ、最高だわピースラグナロクって。これからも参加したいよ、こんな血が湧き出るほどの戦いは私にとって最高の楽しみだからね」
と狂人っぽいことを言いながらこの場を去るのでした。