種なし化-ホルモン処理
植物も基本的には動物と同じように染色体がペアになっている二倍体なんですけれど、それがその倍ある四倍体っていうのもある場合もあって(人工的に作れたりもする)、これらを掛け合わせると三倍体になります。これはうまく減数分裂できないので種がつくられません。種なしスイカなんかはこの原理で作り出した三倍体のものを栽培すると、種ができないそうです。
ほかには、例えばひがんばなは三倍体植物だという事で種を作る事が出来ず、見かけるものは基本的に人が手をかけてそこに植え替えたもの、という話です。
最近のぶどうは種なしが普通になってきていますが、これは上記三倍体によるものとは違って、ホルモン処理をしたものということです。
種なしぶどうというと、そのパイオニアはやはりデラウェアになるでしょうか。これも、ジベレリンというホルモン処理をして種なしにしたものです。
種なし化すると、一般に粒が大粒化して、甘みも増すという事です。いいことずくめのようですが、このホルモン処理、具体的にはぶどうの花をジベレリン液に漬ける処理を、決まった時期(ウィンドウは数日で、しかも2回必要)に適切に行わないといけないということです。
時期を逃したり、付け方が甘かったりすると、時々見る種が少し残った(食べるとガリっとする)ぶどうになってしまったりします。これを全てのぶどうの花について同時に行わなければいけないのですから、大変な手間という事になります。
農家さんは、美味しい種無しぶどうを作るために、この手間のかかる処理をしてくれている、ということです。
巨峰やピオーネと言った普通は種があるぶどうも、最近ではこの種無し処理をしたものが出回っています(種無しにしたピオーネを、ニューピオーネと呼んでいることもあります)。マスカットは種がありますが、シャインマスカットはまずほとんど種無し処理がされているでしょう。
美味しいぶどうを作るための農家さんの手間に感謝して、種無しぶどうをいただくことにしましょう。