糖度と糖度計
テレビなんかで、甘い野菜の糖度を測る、とか言って、糖度計を取り出してすぐに測定し、「このトマトはメロン並みに甘い」なんてやっていたりしますよね。いや、どうやってあんな簡単に甘さを測る事が出来るんだろう、というのは不思議でした。
で、去年の秋の終わりごろアマゾンで調べていたら。糖度計ってすごく安いんです。中国製でしょうけれど、まあこれなら騙されてもよい、と思って一つ買ってみました。そうしたら。まあこの値段で妥当なんだな、という結論に達しました。
糖度計でどうやって糖度を測るか。
糖度計っていうのは、一言でいうと(たぶん)全反射角を利用した屈折率計、なのです。別の言い方をすると、屈折率を利用した密度計なのです。
筒の先端には、斜めになっているガラス部分があり、そこに果汁などを垂らすようになっています。そして、均一にならすためのカバーがある。筒の中は、測定のためのゲージガラスと、後は接眼レンズがあるだけ。ただそれだけ、なのです。
水に色々なものが溶け込むと、密度が上がります。そうすると、光速度が遅くなり屈折率が上がります。この屈折率を測定することにより、水にどれだけ「何かの物質が」溶けているかを測定するものが、糖度計なのです(アマゾンでは電気式の糖度計も売っていたりしますが、こちらについては知識がないので以下、光学糖度計についてのみ触れていきます)。
ですので、糖度計は決して「甘さを測る測定器」ではないのです。前にほうじ茶の糖度を測定してみましたが、2%ぐらいの値が出ました…… もちろん、無加糖です。つまり糖分以外でも、何かが水に溶けていれば糖度は上がってしまうのです。極端な話、塩水を測ってもそれなりの糖度が出て来てしまいます。
実際、糖度と塩度を両方測れる測定器っていう塩糖度計というのも存在します。つまり、糖度計の糖度というのは、水に(たぶんショ)糖「だけ」が溶けていると仮定した場合の糖の量、塩度計の塩度は食塩だけが溶けているとしたときの食塩の量、という事だと思います。
それゆえ、糖度計で測定した糖度が高ければ、甘いとは言い切れません。
・糖分以外のものが溶けていても糖度は高く出る
・スイカに塩を掛けるように、糖分以外の物質が甘味を強くすることもある
・糖分でも、ショ糖・ぶどう糖・麦芽糖の様に糖の種類によって甘味は異なる
ということがあるからです。ですので、トマトとメロンのように、全く違う種類の作物の糖度を比較することはあんまり意味がないと考えます。
ただ。同じ作物同士の糖度の比較は、やっぱりそれなりに甘さの強弱を示します。ぶどうなら、ぶどうとしての糖度の比較は意味がないわけではないです。
最後に。糖度計をもし買うなら、注意する点があります。糖度計はフルスケールの異なるものがあります。ジャムなど高糖度のものを測定できるような100%がmaxとなっているものと、果汁などを測るために30%がmaxになっているものがありました。当初間違って100% maxのものを買ってしまいましたがこれでは果汁はあまり良く測定できません。ですので30%のものを買いなおしました。
この点気を付けて買われるのが良いと思います。
あと、構造は簡単なのですが、落っことしたら接眼レンズの部分が外れて(分解して直しましたけれど)しまいました。一応、扱いは丁寧にした方がよさそうです。