味は品種で決まるのか
さて、前回色々な品種を提示しましたけれど。はたしてぶどうの味というか、美味しさって品種で決まるんでしょうか。この品種を選べば間違いなし、というような基準があるでしょうか。
ここのところのK国のシャインマスカットの状況を見てみると、わかるのですが。あの国は何かあると全員が一斉に飛びつくので、シャインマスカットが売れる、となったらみんな一斉にシャインマスカットに飛びついてしまいます。そして、供給過多になります。
そうすると、売れなくなるので他者より少しでも早く出荷しようと未熟なシャインマスカットを出荷するようになります。しかし、未熟なシャインマスカットってとても「不味い」ので、結果的にシャインマスカット自体が売れなくなってきてしまいました。
品種は特性を決める重要な要素でしょうが、一番大切なのは、作り手の農家さんの質、だと思います。手間の掛け方や、栽培のノウハウなど、見えない所での大きな違いがあると思います。
実際、スーパーなどでもシャインマスカットが色々売られていたりしますが、同じ品種かと疑いたくなるほど粒の大きさが違っていたり、房自体の大きさも違っていたりします。味についても言わずもがなです。ですので、シャインマスカットという品種だけに注目しても、同じランクの房に当たるかどうかは全く保証されません。
さらに、ワインぶどうなら当たり前ですが、年によっても大きな差が出ます。天候不順だったら当然美味しくなくなりますし、酷暑が続いてもやっぱり品質は劣化してしまうでしょう。同じぶどう園同じ年でも、木によって、房のなる場所によって、収穫時期によって、差異は出てくると思います。さらには、房の上と下でも多分甘味は異なります。
要するに、ぶどうとの出会いは、一期一会なのです。全く同じぶどうを食べられることはきっともうありません。もう一度同じ美味しさを持つぶどうを食べてみたいと思うのであれば、品種以外の点についても、少し気を付けていただければと思います。