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ぶどうの話をしよう  作者: あいなめ
2022 雑感
12/101

ぶどうの増やし方

 ぶどうは、品種改良の目的でもなければ、実生では増やしません。最近は、そもそも種を作らないようにしているぐらいですから。

 ぶどうを増やすのは、枝を取って挿し木または接ぎ木で行うそうです。生育や健康の面から、後者の方が好まれていますね。ですので、ある品種のブドウの木っていうのは基本的にクローンに当たると言えます。もっとも、完全なクローンではなく、突然変異する場合も無いではないでしょうが(ばらとかが、良くあるそうです)。

 大昔に、セントポーリアという草が流行したことがありますが、これは刺し葉で簡単に増やせるのです。ただ、刺し葉はよく突然変異を起こすので、同じ花にならないことが少なくないそうです。確実に親と同じ花を付けさせるためには、脇芽をかいて、それを育てる必要があるそうです。


 というわけで、ぶどうは割と簡単にクローニング出来るわけですが、それでも全く劣化しないわけではないんですよね。マモーみたいに……

 ちなみに、苗を買った農園とかが自分のために自家増殖させるのは問題ないのですが、増殖されたものを他者に売ったり、他者のために増殖させたりするのは、種苗法(改正時に色々ありましたね)で禁止されています。これは、もちろん開発者の権利を守るためのものですね。

 ただ、それでも流通を完全にコントロールすることはできないんでしょうけれど。


 新しいぶどうの品種とかをぐぐりますと、アマゾンで苗を売っているのとかが良く出てきます。多くはちゃんとした業者なのでしょうが、中には入手したものを独自に増やし、それをネット販売したという摘発例もあります。

 苗自体はそれこそ、個人でも入手は可能なんでしょうが、必要なのは苗だけではなく育成に関するノウハウもあるのです。どこぞのJAでは、きちんと手続きを踏んで購入した相手には、育成のノウハウも同時に提供するという話が有りました。

 きちんとノウハウを貯めて育てないと、木は同じでも全く違う実がなるのです。この間は、K国に流出したルビーロマンを試食した石川県知事が、本家とは全く別物の低品質だ、と発言していたことがあります。


 去年の夏には、「ぶどうの木の枝が切られていた」という事件がありました。これは多分嫌がらせや実りを奪取するものではなく、自家増殖させてどこかに流通させる目的ではないかと感じられます。

 シャインマスカットは、実際に交配を開始してから品種登録まで18年かかったそうです。それだけの苦労は、きちんと報われるべきであろう、と思います。

ちょっと追記。シャインマスカットの開発期間ですが、農水省の種苗法についてのPDFを参考にしたのですが。内容理解が不足していました。

シャインマスカットの親品種、はシャインマスカットの品種登録の33年前に、作成が開始されました。これは品種登録の候補になったのですが、その後全国での試験栽培で何らかの問題が発生して、結局品種登録はされなかったようです。そして、この親を元にさらに品種改良が試みられ、そのうちの一つが最終的にシャインマスカットとして登録されたという事です。

親から作り出されて登録されるのに18年。ただし、その親自体も品種登録されたわけではないので、親の開発自体をシャインマスカットのための開発期間と考えると、それは33年にもなるということです。


33年かけた努力の結果が盗られてしまったら… それは悲しいですよね。

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歌川 詩季さまからの頂き物です。
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― 新着の感想 ―
[一言]  苗は売ってはいけないけど、実った果実は売っていい? 作成者の権利の感覚が難しいですね(汗)  法的な「果実」の概念もあるでしょうし、著作物だって、物として販売して利益をあげていいことと、そ…
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