アイの愛
アイはみなみ先輩の全部を知ってる
みなみ先輩が何をしたら嫌がるのかも、
ほくろの数も、爪のカタチだって全部全部しってるの♡
もちろん個人情報だって!
誰よりもアイはみなみ先輩を愛してる自信がある。
アイが今年高校の入学式の日にみなみ先輩と
出会った。
話したことはない。でも
あのサラサラなショートヘア、とっても優しくて純粋そうな性格が可愛い。声も顔も可愛い。そんなみなみ先輩を好きになった。
一目惚れってやつかな。
でも人は一目惚れなんて本当の愛じゃない。
など偏見を押しつけてくる。
何でそんな自分の偏見を押しつけてくるの。
好きになってしまった、
愛してしまったんだ、…
話したこともないのによく言えるな、と思う人ばかりだろう、でもアイになったこともないのに何で分かるの?
そういう人がいるからアイみたいな人はおかしな人に分類されてしまう。
今日もいつも通り教室の入り口からアイはみなみ先輩をじ、と見ていた。
「はぁ…可愛い…可愛いなぁ、…」
いつも誰とも話さず、ずぅっと先輩を見ていたから
もちろん友達はいない
別に友達が欲しいとも思わない。少しは寂しい、けどアイにはみなみ先輩がいるから。
1人でぶつぶつと喋っていると急にみなみが立ち上がり廊下へ出て行った。
大きな音が鳴ったからびっくりしながらみなみの後をついて行った。
(トイレ、かな、…そうだ
アイもトイレいってハンカチ借りよっと♡)
ハンカチを忘れたわけではない。
ハンカチを忘れたふりをしてみなみに貸してもらう。
ハンカチが落ちないようにポケットの奥に入れながらついて行くと急にみなみが立ち止まった。
(どうしたんだろ、…
もうすぐ授業始まるのに)
人気の無い廊下の壁からチラッとみなみの様子を伺った。
(あ、さや先輩だ
こんな時間にさや先輩もトイレかな)
急にさやの声が人気の無い廊下に響いた。
「あ、!みなみじゃん!」
「あっ、……」
みなみはさやに会った途端
青ざめ口をキュッとしばった。
「さ、さや…ちゃん、……」
「何その顔…」
くす、とみなみを馬鹿にするような笑い方をした。
「今日の放課後校舎裏、来てね!」
「え、あ、あの、…」
「何、?嫌なの?」
じろ、とみなみを睨んだその目つきでみなみはおびえた表情をした。だが他の人が見たらそこまで怖くないむしろキレネンコ見たいで笑ってしまいそうだ。
そんな事を考えていると
廊下にみなみの怯えた声が響いた。
「う、ううん、…分かった」
(今日はさや先輩とみなみ先輩校舎裏なんだ、最近は倉庫だったから間違えないように行かないと)
自分は関係無いのにわざわざ隠れながらでも見てしまう。その訳は、……
放課後
「いたっ!!、…お願い、…もう、や、やめて…」
「何で私がみなみの言うこと聞かなきゃなんないの?」
校舎裏には泣き声と痛めつけられる音が響いている。
そして痛めつけられているところをアイは影から見るだけ。
(可愛いなぁ…殴られてアザが出来てる…
可愛い…その顔、アイに向けて、アイだけに見せて欲しいなぁ、…♡)
わざわざ隠れながらでも見てしまう。
その訳はボロボロなみなみをみるためだ。
(趣味が悪いなんて知らない。
あぁ、なんでアイ以外にそんな顔見せてるの、
アイだけにみせて欲しいのに、…)
(酷い、…酷い酷い酷い酷い、…)
感情が溢れて思わず影から飛び出した。
「ねぇ!アイだけのみなみ先輩に何してるの!
許せない、…許せない許せない許せない、…」
「だ、誰、…?」
急にアイが出てきてみなみはびっくりしながらもかすれた声で言った。
(あぁ、やっぱり知られてなかったんだ、…
んふふ、…♡)
「誰だよ!何見てんの、?」
とさやはアイを殴ろうとした。だがアイは怒りとみなみに知られてなかった感情が混ざり
アイはさやを殴ってしまった。
「あぁ、殴っちゃった、…」
「あ、あの、…あり、がとう、…」
少し強ばった目でみなみはアイを見た。
「え、、…ッ、………」
(どうしよう、…みなみ先輩が私に話してる、…
なにか言わないといや、でも、…)
「だ、大丈夫。?」
「う、うん、…みなみ先輩の方こそ。大丈夫ですか、?」
振り絞った言葉にみなみは
少し頰を緩めた。
「うん、大丈夫。ありがとう」みなみは優しくへにゃ、と笑った。
いままでずっと見てきた中でも初めてこんな笑顔を見た。
「可愛いなぁ、…好き、大好き。♡」ボソッと言ったのでみなみには聞こえていなかった。
「あっ名前はなんて言うの?」
「えっ?あっ、えと、…アイ…」
「アイちゃんか!私はみなみ!よろしくね!
お礼に私の家でお茶していかない?こういう時ほんとはお店に誘うと思うんだけど、
お店は高いから」
私今お金ないの。とさっきの泣いていた時とは別人のように言った。
「先輩がいいなら、」
アイもさっきの狂った顔とは別人のように控えめに返事をした。
「あの、…家に行くならやっぱり」
「あっいやだった…?」
「い、いや!その、アイの家がいいなって」
「え、いいの?!」
「うん、全然」
アイの家に行くとなるとみなみはヤッターと喜んでいた。しかしアイはただ家でお茶をするだけとは言っていない。
(ふふふ、…アイの家に閉じ込めればアイだけの物…あの顔もアイだけが見れるん、……だ、…)
ドクン
「……?!……ッッ、…」
ドクン、ドクン、
(……あ、…あの時の、記憶が……また、…やだ…思い出したくない…)
「アイちゃん?!だ、大丈夫?」
ドクン…ドクン…ドクンと胸はどんどん強く鳴りアイはしゃがみ込んだ。
(…思い出したくない、…いやだ…いやだ…………
あぁ…頭。が、…、くらくらする…)
アイが中学二年生のとき、アイには好きな人がいた。好きで好きで好きで好きでたまらない…
アイは欲のままその人を監禁した。
分かってるんだ…しちゃいけないことくらい…
その時は何も考えずに我を忘れていた。
監禁して三日後その人は消えた。
家に帰ったら縄が解けていた。
あれからいくら探しても見つからない…
今でも行方不明だ。
(なんで、…アイのせい?アイがしちゃったの、…大好きだったのに、…愛してたのに…)
呼吸ができない…その人が居なくなったことより
自分がした。という事にショックをうけた。
(あの時みたいにならないように…)
「、……、…、…やだ、……」
「アイちゃん!」
「…ッッ……?!」
アイはみなみに声をかけられビクッとしながらも精神を安定させた。
「本当に大丈夫?」
「?、…あ、…うん大丈夫、です」
あまり血の気のない顔で答えた。
「なら、いいけど、…っていうか
敬語じゃなくて良いんだよ?」
「え、あ、ありがと…」
そう言われて少し元気がでた。
そして思う。自分ってチョロいな、と。
アイの家に着いた。
「ここだよ」
「うへー!大っきいね!」
(うへ?うへっていった…?か、可愛いすぎ…)
「そうかな…」
好きな人が自分の家にいるのは誰だって緊張する。
(臭くないかな…部屋、変じゃないかな…)
とソワソワしている。
「あっ!!!」
「どうしたの??!」
急に大きな声で言ったのでみなみはビクッと
した。
「私の部屋のクローゼットは絶対に、…絶対開けないで…」
「分かった!」
「あと飲み物取ってくるね」
「うん!」
分かったとは言ったものの見るなと言われたら見たくなる。
(ちょ、ちょっとだけ、…)
もし、汚いのなら片付けを手伝おうと思い少しクローゼットを開けた。
みなみは目を見張った。
それと同時にアイが入ってきた。
「忘れてた。飲み物なにが………」
「わ、私…?…なんで、………」
みなみの目の前には自分の写真が壁にずらっ、と貼ってあった。
「なに、これ……」
「見ないでって、…」
(どうしよ…、バレた、…どうしよう…どうしよう、…)
「みなみ、先輩、…違うの、…あの、…」
「ごめん、…わ、私帰るね、…」
「待って!!」
アイはみなみの手首を掴んだ。
「え、は、離して……!!」
勢いよくアイの手を振り放そうとした。
「やだ、…」
(離したら逃げられる、…やだ、行かないで…)
咄嗟にアイはみなみを殴った。
「いたっ…!」痛々しい声が響いた。
「あ、ご、ごめ、…」
咄嗟だったから力が強かったのかもしれない。
みなみの顔にアザができた。
「……か、…かわいい、…好き、…大好き、…♡」
つい声に出てしまった。
「え、な、なんで、……」
と震えた声でみなみは言った。
「御免なさい、…御免なさい、…違うの…でも、…あと、あと少しでいいから…もうちょっと可愛いのが見たいの、…い、…いい、?♡」
「やだ、…やだ、…」
青ざめたみなみの言ったことが聞こえていないかのようにもう一度殴った。
「いたいっっ、!!やめて、…」
涙目でアザだらけのボロボロな顔でアイを見た。
「はぁ、…かわいい、♡…大好き…愛してる…
御免なさい、…なんで、…ちがう、…こんな…
ごめん、ごめんごめん、御免なさい、……」
アイは頭を搔きむしりながらしゃがみ込んだ。
「、?…?」
みなみは情報量が多く訳が分からなかった。
(アイちゃんが私を好き?なんで殴ったの、…)
沢山の疑問と恐怖で頭がいっぱいだ。
しかし優しすぎるみなみは殴られた相手でも関係無い。
謝られたら許してしまう。
そんな癖があるから、
「だ、大丈夫、だよ、…」
とみなみは頭がいっぱいになりながら答えた。
(なんで、…私大丈夫って…大丈夫じゃないのに、…)
「大丈夫、?ほんとに?」
「うん、大丈夫だよ」
「ッッ……ごめん…、御免なさい……
普通に愛せなくてごめん、…
普通に…、普通じゃなくてごめんね、…」
「大丈夫だから謝らないで」
みなみはアイを優しくぎゅっと抱き寄せた。
「嫌いにならない?私の事に好き?私のこと愛してる?」
(嗚呼、…そうか、…
アイちゃんは人のことを愛すだけだったんだ、…人から愛されるのを待っていたんだ、…
私が助けないと、…
私がアイちゃんを愛さないと…
アイちゃんが私のことをずっと愛してくれたのなら、私も同じくらいアイちゃんを愛さないと、)
「うん、アイちゃんのこと愛してるよ♡」
他の人からしたら一日だけでこんなことになるとは思わないだろう。
だが、たった一日の出来事が一生を作ってくれた気がした。
でも展開が早くて急すぎてアイでもよく分からない。
でも、これは
ハッピーエンドだよね♡
どうだったでしょうか!
初めて書いたのでめちゃ下手だけど、…
こうした方がいい!などのアドレスくれたら
飛んで喜びます!