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勇者一行、ドワーフ共和国へ

「またそりゃ一風変わった依頼だな」


 ドワーフ共和国は、ドワーフが主体となって運営している共和国だ。

 彼らは鍛冶や道具の製作などで名を馳せているが、その背は低くともずっしりとした体躯を活かして、主に前衛の戦士として戦うことでも知られる。


「ええ、何でも国をあげての祭典が催されるそうで、国内外から人がたくさん集まるんですって。それでどんなトラブルがあっても対処出来るように、腕の利く護衛を世界各地で募集してるそうですよ」

「それさ……世界各地から募集しちゃだめだろ。信用出来るやつかどうかはどうやって判断するんだ」

「ええ、そうなんです……だからアディさんをお待ちしていたんです」

「なるほどな」

「アディさんなら世界中に顔と名が知れ渡っていて、ドワーフ共和国でもそれは例外ではありません。素行には問題があるものの、美少女であるお姫様の護衛をするのならばまず問題はないでしょう」

「お姉さん厳しいな」


 男なら既に俺の通常攻撃の餌食になっているところだ。


「あら、これでも褒めてるんですよ?とにかくアディさん以上に適任な人は世界各地を探しても38人くらいしかいないでしょうね」

「結構いるじゃねえか」


 数字がやけに具体的なのも気になる。


「それでどうします?冒険者組合としては、アディさんがこの依頼を受けてくださるとものすごく助かるのですけど」

「もちろん受けるよ、護衛対象が美少女ってんなら尚更だ」

「そう来なくっちゃ。さすがはアディ様!」

「だからよ~そろそろ俺と一杯どうだ?お姉さんみたいな人、本当に好みなんだ」

「もうアディ様ったら……いつも女の子を連れてるじゃありませんか」

「あいつらはそれぞれに理由があって手が出せないんだよ」

「ふふ、じゃあ熱心にお誘いしてくださってますし……ドワーフ共和国での依頼を無事達成したら、お付き合いさせていただきますね」

「よっしゃあ!それじゃさっさと片付けてくるぜ!」


 それからいつもの様に登録を終えると、酒場にいる女の子たちの下へ。

 お姉さんがようやく誘いを受けてくれてホクホク顔になっていたので、きゅっと顔を引き締める。


「あら、どうしたのアディ様?やけに真剣な顔してるじゃない」

「お前ら……話があるんだ」

「あらあら~何かしら~」


 サラの緊張感がない声にも負けず、俺は真剣な表情を崩さない。


「今回のクエストは、少し厳しいものになるかもしれない……」

「また困ってる人を助けるんですね!さすがは勇者様です!どこまでもついて行きます!」

「リリス……早いなおい……」


 そこで俺は三人に今回受けた依頼について説明した。


 ドワーフ共和国のお姫様を、お祭りの期間中護衛すること。

 更にお姉さんからもらった詳細によると、実際に俺たちが護衛するのは三女のエリーという子らしい。


 長女や次女は共和国所属の兵士たちが護衛をするんだそうだ。

 当然と言えば当然だな。


 で、それだと手が足りないから世界各地の冒険者組合にも手伝いを募ったと。


 このパーティーは俺以外にも元最弱魔王、元王国の神官、エルフの里の長の娘という身分がはっきりしている者揃いのため、手続きも簡単だ。


 曲者の女の子しか周りにいないのがこんなところで役に立つとは……。


 そんなわけで手続きも完了した今、指定された期日までにドワーフ共和国入りをすればいいだけだ。


 その日の夕食時。

 明日の朝に出発を控え、俺はサラの戦闘能力を確認しておくことにした。


「サラはどんな戦闘スタイルなんだ?使う武器とか、魔法とか」

「私は主に地属性の魔法を使うんですけど~壁を作る以外はゴーレムを造るくらいしか出来ないんです~」

「何でそうなるんだよ」

「あまり魔法には興味なかったんですけど~小さい頃からお人形さん遊びをしてたら、いつの間にか大きいゴーレムが作れる様になっちゃったんです~」

「まじかお前……」

「後は全属性の初級魔法や軽い支援回復魔法なら~」


 エルフと言うのは元々魔法が得意な種族だと言われている。

 本来なら、初級魔法と言えど全属性のものを扱うなんてことは出来ない。


 更にそれに加えて支援回復まで軽く出来るとは……。

 なのに何で土魔法はゴーレムと壁……。


 だからベアー討伐の時は何もしなかったのか。

 ゴーレムで戦うと餌場ごと潰しちゃうからな。


「今回の依頼は俺たちがバラバラで戦うこともあるかもしれん。その時はサラが基本支援や回復で、リリスとマリアが攻撃役をしてくれ」

「はいっ!」

「任せてちょうだい!」


 嬉々として前衛役を引き受ける脳筋ヒーラー。

 美女じゃなければ絶対にパーティーは組みたくない相手だ。


 中々に先が思いやられるが、いざとなれば俺一人でやってしまえばいい。


「そういえばあんまり詳しく聞かなかったけど、ドワーフ共和国の三番目のお姫様ってのはどんなんだろうな。美少女だって聞いたけど」

「あらアディ様、あたしたちというものがありながらまだ女の子を増やす気ね」

「私は賑やかなのも楽しくていいと思いますよ~」

「…………」

「いやいや今回はお姫様だぞ?さすがに仲間にはならないだろ」


 リリスは一人だけ不機嫌そうな表情をして黙っている。


 まあ、実際のところは仲間になりそうにないからこそ期待している。

 もうチョロい女の子はこりごりだ。


 美人なお姉さんタイプだったらうまく愛人とかになれねえかな……。


 そんな淡い期待を抱きながら、出発当日の朝を迎えたのだった。

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