アルカの秘密
俺たちは結局、目的地が同じなのでいっしょに都市拠点まで行くことにした。
「そういえば、ユウトはどこに住んでるの?わたしはフェーンだけど」
フェーンってどこやねん。ってか、何て答えればいいねん。
なんで関西弁やねん。
(『俺は北西のアーテルって町の出身だ。ほんとに小さな町だぞ』)
「俺は北西のアーテルって町の出身だ。ほんとに小さな町だぞ」
「へぇー。そうなんだ」
ナイスフォロー、ガブリエル。
「ああ。今度時間があったら寄ってみたら・・・って、まあ何もないけどな」
ナイスフォロー、ガブリエル。
「あ、あはは・・・」
「まあ、結構遠いけどな」
「でも、北西って、確か凶竜が多く住んでるとこだよね。大丈夫なの?」
「ああ、まあ、な。もう、そういうところだから対凶竜設備とかは大分整ってるんだ」
ナイスフォロー、ガブリエル。
「ふーん・・・。んで、わたしの住んでたフェーンって町はね、いっぱい商人がいるんだ。いつも他の町の人たちが行き交って、賑やかなとこなんだよ」
「へー。楽しそうだな」
「うん、色んな町のものが手に入るし、便利で楽しいんだよ」
確かに、それはいろいろと便利そうだな。必要なものもすぐに揃うだろう。
「そうそう、フェーンにわたしの親友がいるんだよねー」
「親友?」
「そ。小さい頃、ずっと一緒にいてさ、毎日二人で遊んでた」
「へー、そりゃ楽しかっただろうな」
「うん───だけどね、その子、凶竜に町が襲われた時、炎騎士として戦わなくちゃって、一人で立ち向かって、死んじゃったんだ・・・。わたしはその時はまだ水騎士で、相手が"水竜"だから効果なくて、助けにも行けなくて・・・だから、今こうして、その子の思いを継いで炎騎士として戦ってる」
俺は、静かに聞いていた。
細かいことはどうであれ、唯一無二の大切な友達を死なせてしまったことは心に重くのしかかるだろう。俺はそういう経験はないが、それがわからないほどバカではない。
「そう、か・・・。大変だったんだな。・・・待てよ?『一人で』ってことは、他に誰も戦った人がいなかったってことか」
「・・・うん。なんでかわからないけど、みんな町の奥の方に避難しちゃったんだ。その中に当然わたしたちなんかよりもよっぽど強い人もたくさんいただろうけど・・・」
アルカは、静かに答えた。
「───さっ、暗い話はここまで!都市拠点、見えてきたよ!」
目の前には、先ほどまでの景色とは大違いの光景が広がっていた。ビルが多く立ち並び、だだっ広い道路にたくさんの車が行き交っている。
「さあ、そろそろ到着だよ!」