ーChapter.0 始動ー
ーChapter.0 始動ー
〜帝都 第?研究所〜
薄暗い部屋の中には、幾つのもモニターと操作するためのコンソール、そして、部屋を巡るケーブルは、全て中央のカプセルに繋がっている。この部屋だけでなく、建物全体が異常な静けさに包まれていた。
ウィーン! ウィーン! ウィーン! …
突如、警報音と共に騒がしくなる館内。次に鳴り響いたのは、複数人の足音。そして…
ドカンッ!!
侵入者のブリーチングチャージにより、部屋への扉は開かれ、中への立ち入りを許す。中へと入った者たちが見たのは、ある意味で奇妙な光景だった。
「なんだ…これは…?」
部屋の中央にあったカプセルの中に入っていたのは、紛れもない“ヒト”だった。見たことのない衣装に身を包んだ、10〜15歳程の子供が、静かに眠っている。
「これが本当に、帝都が作り出した新しい兵器なのか?」
侵入者の一人がカプセルに触れようとした瞬間
ダダダダダッ!!
「っ!?迎撃システムか!全員戦闘準備!」
侵入者が入ってきた扉とは反対側の扉から、人型の機械兵士が銃口を向けていた。
「ピー…シンニュウシャハッケン…殲滅システム作動…」
突如として始まる銃撃戦。死を運ぶ鉛玉の応酬で、一人、また一人と、鮮血を散らしながら倒れていく。
「クソがぁぁあぁあ!!」
そして、最後の一人が放った決死の1発は、機械兵士たちに当たることはなかった。しかし
ピシッ
最後の銃弾は、カプセルへと直撃し、亀裂を作り出す。
ピシピシピシピシッ
小さな亀裂は徐々に大きなものへと広がっていく。そして、遂に耐えきれなくなったカプセルは破裂し、中に入っていた少年が液体と共に外へと流れ出てくる。
「ピピッ…ネツリョウ感知…危険度…不明…不確定要素トシテ、排除シマス」
出てきた少年に対して向けられる銃口。
…しかし、それが火を吹くとこは無かった。今しがた倒れていたはずの少年が、機械兵士の腕を砕いていたのだ。何も持っていない素手の拳だけで。
そして、開かれていく少年の瞳。その色は、床に散る血のように赤く輝いていた。
「エラー…エラー…標的の危険度レッド…殲滅システムサド…」
危険を察知した機械兵士は、最後まで言葉を発することは無かった。少年の突き出した右腕が、機械兵士の頭を貫通し、破壊した。
その後、機械兵士が全て破壊されるまで、時間はかからなかった。最後の機械兵士が破壊されると同時に、建物全体が揺れ始める。
ビー!ビー!非常事態発生。プランβ発動。館内にいる人間は、直ちに離れてください。繰り返します。…
緊急の非常事態のアナウンス。どうやら、建物が崩壊を始めているようだった。
「……………」
少年は、まるで興味が無いかのように、その場に佇んでいた。その瞳は虚ろで、何も映っていないようにも感じられた。
…ほどなくして、建物は崩壊していく。少年がその後、どうなったのかを知る者は誰もいない。
ーChapter.0 finー