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創造がもたらすアルテ  作者: 菖蒲
第1章
4/135

誘われた異世界

春眠暁を覚えず

...春じゃないですけど。


眠い眼をこすりながら、文言の訂正をしていると...

ブックマークが増えてる!?


あれ、これって更新するごとに増えるカウンタじゃないよね?

と結構本気で疑いました!


なにはともあれ、テンションがあがった作者は朝から


カタカタカタカタカタ

必死になって文章を打ちこむ!



そして、時間を忘れ....遅刻するうううう!

 

 「どぉぉおおうわあああ!」



 ―ゴチン!


 そんな鈍い音とともに叫び声を上げながら、空から降ってきたナツメは地面へと華麗な顔面ダイブをきめた。

 


 「ッッ痛ぅ!」



 幸いにも地面はセメントなどの堅い地ではなく、少し柔らかい土壌のような地であったため、大事には至らなかったようだ。

 しかし、顔面ダイブをきめたことにより、鼻を強打し、若干涙目になっている。 そんな鼻を大事そうにさすりながら、ナツメはさっき起こった異常現象を思い返していた。

 


 家のリビングで本を開いて、変な文字が無数に浮かび上がったと思ったら、いきなり目の前が眩い光に覆われた。そして次の瞬間には浮遊感にかられ、気がつきけば地面とキスをしていて、涙腺を強打し今に至る、と。

 


 ふむふむと、先ほど自分の身に起こったことを整理しつつ、今の現状を理解しようと周りを見渡した。

 先ほどの異常現象には、さすがに慌てたナツメだったが、普段は冷静沈着で肝が座っており、ちょっとしたことでは動じない。そのため、自分が置かれている現状にも落ち着いて思考を巡らせることができた。しかし



 「どこだよ、ここ」



 周りを見渡すが、そこには見知らぬ世界が広がっていた。

 ナツメが居た場所は多くの木々に囲まれ、苔や蔦などがそこら中に蔓延っており、森の中だと理解する。

 その中でも一際目立つのは目の前にそびえ立つ巨大な大木。



 「でっけぇなぁ」



 樹齢は優に100歳を越えるだろうか、ひと1人では決して大木に手を回しても届かないであろう大木がナツメの目の前にあった。

 上を見上げれば、外へ外へと枝分かれした木の枝が天井を作っている様に見え、枝先に芽吹いた葉が月明かりを一切通さないほど、密になり天を覆っていた。

 何秒、何分そうやって大木を見上げていただろうか、ふとナツメはあることに気がつく。



 「そういえばサツキは?」



 リビングで一緒に本を開け、そして同じく眩い光に覆われたであろうサツキの姿が見当たらない。

 再度周囲を見渡すが、それらしい影も見当たらなければ、気配も感じない。



 となると、もしかして......。



 思い当たる節があるのか、ナツメはいろんな意味を込めて天を仰ぐ。 

 そして、その予感は身をもって的中したことを知ることになった。


 

 「ぐあぁっ!」


 

 ―ドシンッ!

 ナツメが顔を上げたと同時にサツキのヒップアタックが顔面にクリーンヒットした。

 Gによって加速された華麗なヒップアタックにナツメは抵抗する術もなく、そのままサツキのお尻の下敷きとなった。

 日本全国の妹がいない男たちにとっては、うらやまけしからん!とでも言うようなハプニングだが、妹を持つナツメにとって、ただの迷惑にすぎない。内心ちょっとドギマギしていたとしても、それは口に決して出さない。もとい出せない。


 男としての威厳より、兄としての威厳を保つため、一刻も早くこの状況を脱出せねばと、妹のお尻の下でバタバタともがくナツメは、傍から見ればなんとも滑稽な姿だった。

 サツキもナツメを下敷きにしていたことに気がつき、頬をほんのりと紅色に染め、名残惜しそうにその場を退いた。





 それから少し時間は経ち、ナツメとサツキはその場に留まっていてもどうにもならない。ということで、辺りの散策をしていた。自分たちが落下してきた場所を中心に辺りを散策する。

 サツキはスリッパを履いていたことで足下を特に気にせず散策できているのだが、ナツメはというと制服に靴下を履いているだけで、足を守るのは薄い繊維のみ。枯れ落ちた枝木や、石などの突起物に気をつけながら散策を続けた。

 

 散策中、お風呂あがりで髪も半乾きのせいか、少し肌寒そうなパジャマ姿のサツキを横目に、何気なく着ていた上着を脱ぎ、その上着をサツキに手渡すといった、妹思いの兄らしい行動にサツキの頬が緩み、思わずナツメに抱きつくといったイチャラブもあったりして、しばらく散策が進んだところで開けた場所に出た。


 そこには、空から降りそそる月明かりを反射し、水面に移る月をゆらゆらと映し出す神秘的な泉があった。

 泉の周りにはナツメの腰の高さ位まで草が生い茂っており、そこら一帯だけが周囲の木々と同化せず孤立している雰囲気を醸し出していた。


 

 「こんな所に泉があったのか」


 (き・れ・い)



 サツキはスケッチブックが手元に無いため、変わりにナツメの手を取り、手のひらにそう指で書いた。

 ナツメはそんなサツキの言葉に軽く頷くと再度泉の方へ視線を戻し、もう少し近づいてみようと右足を踏み出そうとしたとき―



 ―パシャ...パシャ



 水面の水が弾ける音が聞こえてきた。

 魚でも跳ねたのかと脳裏を過ぎったが、それは現実を目の当たりにしたナツメ本人によって覆ることとなる

 

 その泉を見るナツメの目線の先には



 「はぁ、きもちぃ~」



 そう呟く一糸纏わぬ姿の女性があった。

 腰付近まである綺麗なストレートの金色の髪に、全体的にスラっとしたスリムな体型。その顔の輪郭はくっきりとし、凛々とした大きな目を細めると、きれいに整った口の端を少し緩めた。

 たおやかな身のこなしで水を両手ですくい、全身に擦り込むようにして身体全体に延ばしていく。


 ナツメはそんな一糸纏わぬ女性を見た瞬間、信じられないものを見た表情をし、壊れかけの機械のごとくギギギと首を回しサツキに向かって「あ、あ...あれ!」と次第に顔を真っ赤にして泉のほうを指差した。

 サツキも泉にいる女性に気がついたらしく、頬を膨らませると眉をつり上げ、むっとした表情になった。そんな表情のまま右手でバッとナツメの目を隠し、あんなもの見ちゃいけません!とでも言うように指の隙間が空いてて実は見えてました。ということがないように、しっかりと閉じた。


 ナツメはサツキの行動に対して特にこれといった反抗することもなく、顔を真っ赤にしたまま固まっていた。

 実はナツメ、女性の対して全く免疫力がないのだ。

 運動も勉強も、料理を除けば家事も、全てのおいて平凡であり、それは外見も例には漏れず至ってどこにでも居そうな平凡な顔立ちをしている。

 そのため、幼少の頃から異性と密に接すること無く、ほそぼそと生きてきた。もちろん妹のサツキのことは異性として見たことはなく、たまにちょっとしたハプニングがあれば慌てて距離を取り、内心ドギマギするものの、ポーカーフェイスでその場を凌ぐ。


 しかし、そんなナツメが一糸纏わぬ異性の裸を16年生きてきて初めて目の当たりにしたのだ。

 平装を保てるはずもなく、理解できない感情に支配され、脳はヒートアップ寸前。処理しきれない数々の思考とインプットされたばかりの情報に無数の知識をもって対抗するが、ナツメに為す術無く見知らぬ裸の女性よってナツメは意識を手放した。

 

 






 『ようやくこの時が―』



 深い深い闇の中で誰かがそう囁く。



 『やっと、やっと私は―』



 強い思いがぎゅっと詰まったようなその声は深く深く、深海よりも奈落よりもずっと深い深い場所で木霊する。



 『さぁ、早く私の元へいらっしゃい』



 その声の主は口の端を吊り上げ、愉快そうにクスクスと笑う。



 『かわいいかわいい私のナツメ』







 「う、ぅん...」


 なんだ、頭がぼーっとする。身体が気だるい。


 あれ、なんでおれ寝てるんだっけ。


 あぁ、そうか、今日は始業式だからそろそろ起きないと。

 


 ナツメは妙に気だるい身体に気を使いながら、学校に行くため制服を着ようと身体を起こした。


 焦点の合わない眼を擦りながらベッドから出ようとしたところにサツキがトテトテとやってきた。

 そして、心配そうにナツメの顔を覗き込む。



 「あ、サツキ?おはよう」



 ナツメはいまだに焦点の合わない眼をごしごしと強く擦る。昨夜遅くまできりの悪い本を読んでいたせいかと、人のせいならぬ本のせいにする。

 そして、徐々に脳が活性化してきて視界がクリアになっていく。目の前にいるサツキを再びみる。

 ハッキリと目線があったサツキはホッとしたように安堵の表情を浮かべ、またとてとてとどっかへいってしまった。

 その後姿を見ていたナツメは少し疑問に思う。



 「今日登校日だよな?」



 扉の向こうへと消えていったサツキの服装を思い浮かべる。純白のワンピースに膝まであるニーハイを履いていたような。

 うーむぅと必死に考えているナツメの元へ再度サツキがとてとてと戻ってきた。

 その隣には見知らぬ女性が静かに佇み、じっとナツメのことを見つめている。

 ナツメはその女性を一瞥するとサツキに問いかける。



 「こちらの人はお客さん?」


 (ふるふる)


 「サツキのお友達?」


 (こくり)


 「外国の友達がいたのか!?」


 (ふるふる)


 「んん?じゃこの人は知らない人?」


 (ふるふる)


 「どういうことだよ!?」



 サツキに隣の女性について問いかけるが、帰ってくるのは統一されない回答。

 本人に聞いたほうが早いかと女性のほうへ目線を向けると「あれ、この人どこかで見た覚えが...軽いデジャヴ?」などと暢気なことを考えていると女性のほうから疑問を払ってくれた。



 「はじめまして、ナツメ。私はエミリー。エミリー・フォーンスよ。仲のいい友人は私のことをエミって呼ぶわ。」



 自身をエミリーと名乗る女性はそういって右手を差し出した。

 それに答えるようにナツメも右手を差し出す。



 「どうも。あの、失礼ですが、どこかでお会いしてことがありますか?」



 外見からして年上という感じはしないが、普段接することの無い外国の人だ。日本人とは違い、外見で判断するのは難しいだろうと、無難に敬語で語りかけた。

 すると女性はニコニコしながら、「ええ、あるわよ」と微笑みながら答えた。否、それは怒気の込められた低い声だった。

 


 あれ、おれなにか失礼なことしたか!?どこかで地雷踏んだ!?



 そんな心当たりの無いことに思考を巡らせるが、当然その答えは見つかるはずも無く、恐る恐るエミリーに向き直り、ある一点に気がつく。



 「........小さい胸。あぁ、もしかして泉の―


 -バシーンッ!!!


 「バカッ!ヘンタイッ!」



 唯一記憶にあった断片を思い出し、その言葉という名の爆弾を落としたナツメは盛大なビンタをもって、先ほどの言葉を激しく後悔した。

 強い衝撃を与えられたことと、エミリー自身によって忘れかけていた記憶の断片をつなぎ合わせ、左頬に強い痛みを感じながら木々のこと、泉のことがフラッシュバックするように瞬時にすべての記憶が甦る。



 「ッッ痛ぅー!!」


 「思い出したかしら?ナ・ツ・メ」


 「はい、全部思い出しましたー


 -バシーンッ!!!


 「ッッ!?なんで!?」


 「全部は思い出さなくていいの!」


 んなめちゃくちゃな...。



 ナツメは二度も打たれた頬をさすりながら、理不尽な現実とビンタに愚痴る。



 たしかにあれは見たおれが悪いけど、いくらなんでも不可抗力だっただろう。それにあんなところで水浴びしているほうが悪いだろ。



 結局ナツメの中ではエミリーが悪いと結論付けた。

 そんなナツメの思考が手に取るようにわかったのか、エミリーは更に怒気を込めて



 「どうやら反省していないようね、これはオシオキが必要かしら?」



 そういって黒いオーラを漂わせながらじりじりとナツメに近づく。

 ナツメはじりじりと近寄ってくる鬼から逃げるすべもなく、両手を必死に前に出し、ふざけんな!!こっちにくんな!!と言葉の抵抗をするが、それもつかの間



 「ギャアアアアー!!」



 この日、ナツメは生まれてきて初めて女性の怖さをいうものを身をもって知ることとなった。

 


 



いやー、なかなか話が進みませんね。


さて、今回は5000文字弱ということで、少し短いですがきりがよく、今夜は用事があるのでこの辺りまで。


次回からは異世界のあれこれや、ナツメたちの異世界での日常をしばらくは書いていこうかと思います。


当初1週間で1度更新できたらいいなぁと思っていましたが、まさか3日連続投稿することとなろうとは...

ブックマークの力恐るべし。



明日はもうしかしたら更新できないかもしれませんので、先にお伝えしておきます。

楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃったらごめんなさい。


更新できそうなら更新しますので、そのときはまた。

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