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STRUGGLE  作者: 春巻き系男子
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48th Card ぼくらのリターンマッチ 剣の章

剣一編。

 最上階に続く階段を駆け上がり、最後の一段を飛び越える。一気に上ってきたわけだが息は上がっていない。しかし、緊張感はかなり高まった。部屋はいくつもあるが、強大なマナを感じるのは一つだけだ。おれはその扉の前に向かう。

 目の前にそびえ立つ扉。その向こうから皇帝の気配を強く感じる。他のモンスターの存在など取るに足らない。

 エルーを助ける。そして、すべてを終わらせなければならない。

 おれは扉を開けた。

 部屋は広く、ぼんやりと明るさがある。中央には後から造られたと思われる玉座があり、背もたれが天井まで伸びている。そこに腰を据えた皇帝がこちらを見ている。その後方には発光しているいくつかのカプセルが横に並べられていた。カプセルから出ている光がこの部屋の光源となっている。中身はないように見えるが、あの光はおそらくいままでモンスターが搾取したマナだ。

「ようやく来たか、キサキ・ケンイチ」

 皇帝が口の端を上げる。

 黒い衣と鎧に覆われた身体。顔には黄色い(いばら)のような模様があり、頭には王冠のような角が上に向かって伸びている。

 玉座の脇からもう一体のモンスターが姿を表す。ヴェルティナだ。ドレンの姿はない。もう一度周囲をよく見る。

 この部屋の左隅に扉がある。そこにおそらくエルーとドレンはいるはずだ。

「まだマナを取りきれていなくてな。もう少し、君の到着が遅ければ神の力を披露することができたのだが」

 やはり、エルーはいまもマナを吸い取られている。すぐにでもあの部屋に向かいたいところだが、二体のモンスターがそれをすんなりと許可してくれるはずがない。おれは刀を中断に構える。

「しっかりと通行料を払ってくれ」

「あいにく、いまは無一文だ」

「では、お前の命を代わりにもらおう。徴収しろ、ヴェルティナ」

「かしこまりました」

 ヴェルティナが黒い剣を構えて飛び出してきた。

 と、思うや否や一瞬にしておれの前に現れた。反応して、剣の攻撃を防ぐ。火花が散った。距離が近いおかげでヴェルティナの顔がよく見える。青白い顔に口からはみ出た八重歯、赤い瞳、モンスターのわりに整えられた黒髪。

 剣を弾き、すぐに腹を狙って刀を振る。ヴェルティナはすぐに避けた。追いかけて胴斬りを試す。

「攻撃の手は素早く、先手必勝を目指した戦法を取っている、か」

 ヴェルティナがおれの攻撃を防ぎ、つぶやいた。

「君の戦い方は大体わかった」

 ブラフかと思いたいが当たっている。

 ヴェルティナは刀を捌き、流れるような動きで胸元に肘鉄を食らわせてきた。よろけているところに剣を振ってくる。なんとか斬撃を回避したが、すぐには反撃をできそうにない。構えたまま後ろに下がる。

「逃げても無駄だよ」

 その言葉を言うと同時に姿を消し、目の前に現れた。

 やつの能力は瞬間移動。以前、コピーしたときにわかった範囲では、たしか一度足をつけたことのある場所に移動できるというものだ。加えて、シャドウから得た情報では、自身が触れたものがある場所にも移動できる。いまいる場所は敵の根城。どこもかしこも足をつけていると考えたほうが良さそうだ。

 ヴェルティナは至近距離から腹に拳をぶつけてくる。不意を突かれた攻撃だったせいでまともに食らい、後方へ吹っ飛んでしまう。宙に浮くほどだったが、着地だけは成功させた。すぐさまやつが追いかけてきて、斜め下から斬り上げてくる。刀で防ぎはしたが力負けして床を滑る。

「君がウェアドを倒したなんてね。いまでも信じられないよ」

 ヴェルティナは瞬間移動の力を使い、またしてもおれの前に現れる。左に薙ぎ払われた。

「ああ、なかなかの強敵だった」

 どれだけ攻撃されようと、どれだけ防戦一方であろうと構えだけは崩さない。

「人間ごときが強がらないでほしいな。絶対に許さないからね。友の仇は、ヴェルティナが取る」

 姿が消える。

 これだけ攻撃されていれば自然と向こうの攻撃パターンも読めてくる。今度はこっちが攻撃する番だ。

 ヴェルティナはおれの目の前に現れる。予想通りの動き。対策は考えてある。おれは赤のカードを使ってヴェルティナの身体に衝撃波を撃ち込む。攻撃をしようとしていたヴェルティナが飛んだ。追いかけながら青のカードで得物を強化し、跳躍して横一文字に斬りつける。ようやく一撃与えることができた。

 振り返れば、ヴェルティナは腹に手を当てている。意外なことに、表情は笑っている。

「ふふふ、やはりウェアドを倒したという腕は確かなようだ」

 すっ、と立ち上がると姿を消す。次の瞬間、背中に一太刀食らってしまい、前に倒れる。今回はおれの前ではなく、背後に瞬間移動していた。

 考えてみれば、瞬間移動の能力を有効活用するならば敵の背後に回るのが最善策だ。それをいままでしてこなかったところを見ると、手を抜かれていたと考えるべきだろう。

 ここからがようやく本気の勝負ということか。

 おれは黒のカードを出す。一気に決着に持っていこう。

 瞬く速さでヴェルティナに近づき、斬撃を浴びせようとする。ところが、直前でやつの姿が消えてしまい、おれの攻撃は当たらない。

 いままで【瞬速斬】を食らってもダメージの少ない相手はいたが、まったく当たらないというのは初めてだ。マナの消費を抑えるために、連続技にしなかったのは失敗だったか。

 おれが黒のカードを使ったところに、ヴェルティナは立っている。

「いまのが君の得意技か。しっかり当てなよ」

 こうなったら、奥の手を使うしかない。

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