37th Card 孤軍奮闘 剣の章
vsエレメンタルシリーズ!
剣一編です。
手札は、コピーの力、耐久力を上げる力、スピードアップの力、アウェイクニングの四枚。使い慣れたとは言えないカードが多い。使い慣れたカードが「コピー」しかなかった。できれば衝撃波のカードが欲しかったところだ。下級モンスターが相手ならば、カードの使い方を特に考える必要はない。どうとでもなる。しかし、相手が上級モンスターとなると話は別だ。戦い方に工夫が必要になる。じっくり考える時間はたっぷりあったし、おれもいくつか考えてはいたものの、いざ実践してみるというのは難しいものがある。想定した状況と実際の状況が異なるのはよくあることだ。
デパートや雑居ビルが立ち並ぶ、かつて栄えていた商店街の中心にてただいまウェアドと交戦中。台風の接近に伴い、風雨が激しい地域だ。全身が雨に叩きつけられ、風にさらされている。通常なら大雨洪水警報でも出ているところだろう。街路樹の葉は舞い、アスファルトの道路には水溜りがいくつもできている。視界は当然のことながら、足場も良くはない。
「待ちくたびれたよ、キサキ・ケンイチ」
台風のなか、ご苦労なことで。
ウェアドが翼を模った大剣を振った。すると風が刃となって飛んでくる。強風にかき消されたりなどしない。おれはスピードアップのカードを使って、走ったり跳んだりしながら回避する。風の刃はビルに当たり、ガラスや壁の破片が飛び散る。戦いに巻き込まれないよう、エルーを逃がしておいてよかった。
「君とまた戦うことを待ち望んでいた。君だけは、俺の手で葬らなければならない」
ウェアドが自分の胸を押さえる。痛いというわけではなく、かつてH.O.P.E.本部の屋上でおれに負けた屈辱の証を見せたかったのだろう。
ウェアドは風のモンスター。姿は黒い鳥を連想させるものだが戦闘力はかなり高い。おれが最初に遭遇した上級モンスターでもある。
「ここら一帯の人間は逃げた。これで君も思う存分戦える」
モンスターのくせに変な気遣いをする。おかげで人を気にせず戦えるのはたしかだが。
ウェアドが滑空する。見た目に違わず、まるで弾丸のように間合いを詰めてくる。スピードで勝とうと思ったのだがそれさえ敵わない。大剣での一閃を刀で防ぐも押し負け、後方に吹っ飛んだ。
「キサキ・ケンイチ、本気を出せ。いまの君に勝っても俺は満たされない。さあ、早くあの姿になれ!」
大剣を振ると風の刃が飛んでくる。離れた距離だというのに、狙いは正確だった。避けるので精一杯だ。
あの姿というのはウェアドを傷つけたアウェイクニングを使った姿を指している。
今回のウェアドは最初から全開の力で向かってきている。言われずともそうするしかない。
ウェアドが大剣を振るたびに同じ数だけ風の刃が飛んでくる。今度は回避できない。このまま黙って受けるくらいなら奥の手だ。
おれはアウェイクニングを使った。
おれの周囲から光の波動が起こる。それが風の刃を打ち消した。
視界はマナの流れが見えるものになり、聴覚も鋭くなる。力がみなぎり、時の流れを緩やかに感じるようになる。姿も変わり、全身が赤い装甲のような皮膚に覆われ、頭には兜状の装備が着く。おれがいま持っているカードすべての力を同時に引き出し、なおかつそれらのモンスターと融合した姿だ。
ウェアドが羽ばたき、空中から風の刃を放つ。数は先ほどの三倍。それでもいまのおれには避けずに防ぐことができる。風の刃を斬り伏せていく。マナの流れは見えている。中距離戦でおれを倒そうと思っているのなら大間違いだ。
「まだまだ序の口」
ウェアドが突進を仕掛けてくる。望むところだ。




