プロローグ
人間はあらゆるものを己の力に変えることでこの世界を築き上げてきた。ときには水を、炎を、風を、利用することによって着実に生活の領域を広げていった。
古代の世界において、人々の安全を支えていたのが「守護者」と呼ばれる数少ない存在である。彼らは人間を襲う脅威から彼らを守っていた。
守護者はいかなる人間でも簡単になれるものではなく、その力に選ばれし存在だけがなることができた。
数百年の月日が流れ、人口が十倍近くまで増えたとき、守護者は問われることとなった。
「お前たちのその数で、人間全員を守ることができるのか?」
もちろん、そのようなことは不可能であることを守護者は自覚していた。それをわかっていたうえで、人々は人間の生活をより豊かで安全なものにするために誰でも使うことのできる新たなる力を生み出した。
しかし、時間の経過とともにその目的は変化していった。
自由に扱うことのできる力は、人々の心に欲望を生み出したのだ。
欲望に取り憑かれた人間は、欲望を満たすうえで邪魔となる存在を消すために、その力を使うようになった。
そのなかで力は意思と実体を持つことで人間に牙を剥いた。人間に使われていたときに最も色濃く残された記憶をもとに力は活動する。
すなわち、人間を殺すときに。
争いが止まらなくなった世界。
いや、人間に生み出された力による、人間への報復が繰り返される世界。
そんな古代の世界を救ったのは、ひとりの少女だった。




