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異世界からの帰還  作者: 東波 広
序章【勇者召喚】
8/19

落とし罠な霧

 熱い、とてつもなく熱い。


「さっきから熱いな」


 どうやらキョウも同じ考えだったらしい。


 僕はしばらく考えるとキョウに提案する。


「これ、もしかしてフレアウルフの縄張りじゃないかな。落とし穴、作らない?」


「了解、俺も提案しようか迷っていたところだ」


 フレアウルフは単体で行動し、縄張りを張る。繁殖期に入るとメスがより熱い縄張り(魅力的なオス)へと向かい、子をなす。今年は繁殖期ではないらしいから問題はない。


「『我が力、我が呼びかけに答えよ。廻りし力よ、示せ。大地を切り崩し、穿て。地割れ』」


 キョウが中級魔法の地割れを詠唱し、数メートルの割れ目が出来る。本来はここに隠れたりするためのものだ。


 キョウは飛び降りてさらに詠唱を始める。その前に僕が魔法を使う番だ。


「『我が力よ、答えよ。降り注ぐ水滴』」


 僕の魔法でキョウの頭上から大量の水滴が落ちてくる。この後の結果が怖いためすぐさま離れる。


「『我が力、我が呼びかけに答えよ。廻りし力よ、示せ。身体を守護し、切り裂け。守護の嵐』」


 キョウが唱えた呪文()が水を巻き込んで地面を削り取る。


 この魔法は詠唱した人物を囲んで嵐が起こるというものだ。数秒しか発動されないが、異常に早い風速で巻き込まれたものを捉えることが出来る。


 攻撃もできないで、動かないところに魔法を叩き込まれるということになる。うはー!怖い。


 今回は水滴を巻き込ませて、高速で回転させた。ウォータージェットを魔法で作り出したということだろう。


 魔法が止み、丸みを帯びた数メートルほどの落とし穴が完成した。


「おーい、生きてるー?」


 キョウに声をかけてみるが返事がない。どうしたのだろうか。


「生きてるが、上れないぞ」


 上れないキョウに気づいてロープを垂らす。そこから上ってくる彼はまるで蜘蛛のようだ。


「それで、フレアウルフは来たか?」


 僕に聞いてくるが、来てたらこんなのんびりしていられるはずがない。


「まだだよ。落とし穴作ろうか」


 スパイダーネットを落とし穴の底に投げ入れる。


「『我が力、我が呼びかけに答えよ。廻りし力よ、示せ。真を隠し、虚を写せ。偽りの霧』」


 あたりに霧が充満して落とし穴が見えなくなる。詠唱者以外からは対象が見えなくなる霧だ。


 僕はキョウに手を引かれながら落とし穴の周りをうろうろと回ることになった。

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