タコのちドラゴン
そんなこんなで島が流れた先に大陸が見えてきた。
横幅などわからないほどに大きい。ある程度近づいたところでこの生き物の背中から海の中に入っていく。
「ありがとう」
この生き物が考えてくれたのかは怪しいものの、大陸までつれてきてくれたことに数秒振り返って感謝を述べる。
「リュー・・・」
大陸の方へ少し泳いでいると、キョウは呆然と後ろを見て僕の名前を呼ぶ。
「あれ・・・」
指差した方向を見てみると、頭の半分以上が砂で出来た蛸が触手をうねらせて手を振ってきた。
僕とキョウは顔を見合わせ、満面の笑顔で蛸に手を振って大陸へと向かった。
僕達が陸へ上がると、見渡す限りの緑、緑、緑。
「人里、目指そう」
「賛成・・・」
キョウの言葉に全面的に同意しながら、奇妙な声が聞こえてくる森の中をただひたすらに疾走した。
「魔法とか反則すぎんだろ~~~~~!!!」
「ちょっっ!また来た~~~~~!!!」
全力で逃走中である。森の中を駆け抜けたらドラゴンと出くわし、なにか発言する前に遁走したのだ。
どう考えても魔法だとしかいえない攻撃を繰り出してくるドラゴン。
爪からはかまいたち、翼からは突風、口からは炎、さらに行く手を阻む土壁。
魔法陣ともいえる丸い輪が爪に、体の前に、口の中に、地面に次々と現れてはそれぞれの効果が発現する。
僕達は助け合いながら避けて現在に至る。
背後から迫る圧倒的な火量に背筋がぞっとする。人間が受けたらひとたまりもないだろう。
「リュー!俺がひきつける、逃げろ!」
「キョウ、ダメだ!逃げるなら一緒にだ!」
立ち止まるキョウにあわせて止まる僕。そこへ飛来する火球を見ては全力で逃走する。
「さっきからこのパターンばかりだよ!とにかく逃げ切ろう!」
僕が提案するとキョウはためらいつつも頷いてくれた。それから数十分、ドラゴンの縄張りから出たのであろう僕達は揃って木にもたれかかり安堵のため息をついた。