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異世界からの帰還  作者: 東波 広
一章【王城生活】√A
17/19

神と魔王

「しかし、難儀なことよ」


 難しい顔をしながら彼ら二人の人生を見つめる、神と呼ばれる者。


「神に愛されし若者よ、神に疎まれし若者よ」


 片方は愛され、片方は疎まれた。


 能力や性格、果ては外見に至るまで全て同じだった桐谷 流と日ノ本 恭二。


 神に愛された流は主人公のように、恭二は虫けらのように。


 あちらの神が代替わりし、その愛の比重が傾いた。


 愛された方は不幸に、疎まれた方は幸せに。


「せめて、もう一度人生を生きて欲しい」


 それだけを、それだけを願って呼び寄せた。


「例え、神の掟に背いても」


 死に掛けた流を恭二と共に呼び寄せた。運命を捻じ曲げるなど本来ならあってはならないことだ。


「裁きが下るか」


 自身に降り注ぐ悪寒。長い間この世界を守ってきた神は黒い光に包まれながら呟く。


「我が兄が、すまなかった」


 愛に恵まれなかった恭二はこの世界に来て恋人を手に入れた。


 愛に恵まれすぎた流は反転した運命に抗うチャンスを与えた。


「最後に、プレゼントを・・・」


 ゆっくりと二人に手をかざす。自身の最後の神の力が失われる。


「くっ・・・くっくっくっ」


 黒い光を浴びせた影は、巨大とはいえなかった。


 ただ、その体からは黒々とした目がらんらんと輝きを放つ。


 神へと裁きを下すものは世界である。世界は善と悪を区別しない。


 ただ、運命を変えるものへと罰を与えるだけである。


 ここに、この世界初の2代目の神。そして初代魔王が降臨したのであった。


「さあ、神喰らいの我が口よ。次は勇者を喰らおうではないか」


 自身の存在を脅かす者へ制裁を、自身へと恐怖を抱くものは絶望を与える。それが魔王の仕事であり、義務である。


「まずは桐谷 流、こいつからだ。運命を捻じ曲げ生きる者よ。永劫の業火に焼かれるといい」


 そんな、本人のあずかり知らぬ場所で話しは進んでいた。

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