騎士殿下と友情を育んで
僕達は騎士に連れられて、なぜか姫の私室へと案内された。
「こちらです、どうぞ」
呆気に取られたまま進む。予想通りなら楽しめそうだと内心はほくそえんでいたが。
「勇者様!」
叫びながら僕に飛びついてきた姫、と思われる塊。
「姉上、勇者様はその方ではありません」
「えっ?」
パッと離れて僕を見る姫。いや、僕は勇者じゃないですから。
「おっ、おい、何するんだよ」
固まっている姫の前に僕に押されて戸惑っている勇者を差し出す。
「ゆ、勇者様!」
あ、やり直した。
「やり直しましたね、姉上・・・」
ちょっとおバカわいい姫はなんとキョウに突撃していった。さっきの間違いを帳消しにしようと頑張っている。
「なあ、姉上ってことは騎士の格好をしている君は王子、もしくは王女なのかい?」
そっとあの二人から離れて騎士の元へと赴き、たずねる。
「ええ、私はこの国の第一王位継承者、長男のファミール・エル・ラドフォン。あちらは長女のメリリア・エル・ラドフォン王女です。私のことはファル、もしくは騎士殿下とお呼びください」
「よろしく、騎士殿下」
笑顔で手を差し出すと、少し躊躇いながらもしっかりと手を握ってくれた。この瞬間、僕と彼の間では友情が結ばれたのである。
「おい!ちょ、助けてー!」
背後ではリア充がメリリア姫に脱がされ始めていた。ってオイ!
11月24日分
新章突入!!!√Aです。
√Bは『異世界での生活』をご覧下さい。