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6-4

 涼葉の問題が一段落した次の日の夕方、高槻駅前の喫茶店に、新たな企画遂行のために三人が集まった。


 すなわち、綺里、涼葉、そして清水だ。


「静から連絡もろうたんですけど……。本人はおらへんのですか?」


 ふむ。すでに下の名前で呼ぶ関係になっているのか。


「単刀直入に言うよ。清水さ、滝井とキスしてないでしょ。それでしたいと思ってる。間違いないよね」


 そう言うと、その頬がみるみる赤くなり、彼は灯台のように周囲をぐるりと見回した。


 涼葉は仏陀のように目を半分にしている。事前に、彼女には作戦を伝えてあるが、ただあきれただけで、賛成か反対かすら、答えてくれなかった。


「ちょ、ちょっと。何言うてはるんですか、こんなところで」

「だいたい、最初にデートの連絡をするときは気乗りしてなかったくせに。それが付き合うことになって、あーしたちに何の礼もしてない」

「そんなこと言われても……。わざわざ連絡するのもヘンですよね。それに、き、キスとかそういうの、人に許可されるのはおかしいと思うんですけど」

「問おう。あいつにキスしようとして、まだ早いからと断られたことがある。イエスかノーか」


 彼は開いていた口を閉ざし、返事をしなかった。どうやら滝井は言いつけを従順に守っているらしい。


「あーしに協力してくれれば、先に進ませてあげる」

「協力って……」

「お前の父親のことだ」


 まるで予期していなかった単語だったのだろう、明らかに怪訝そうな表情へと変わった。


「この展開でおやじって、いったい何なんです?」

「仕事の話だ。あーしが言うとそう聞こえないかもしれないが、真剣な案件だと、最初に伝えておく」


 事情を説明すると、ある程度は想定していた通り、返事に困った様子を見せた。


「さすがに、僕の立場で即答はできないです。聞いてみるのはええですけど……」

「それで充分だ。頼めるか」


 首を傾げながら去って行く彼を見ながら、涼葉はカップに残っていた液体をくるくると回した。


「綺里姉。本気、なんですよね。赤の他人を巻き込む以上は」

「正直に言うと、自分でもよくわからない。突き進んだ先に何が待っているのか」


 ただ、彼女の指摘通り、歯車は回り出してしまった。もう止めることはできない。


 その夜、父親と会う約束を取り付けたと、清水から連絡があった。



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