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5-6

 自身の問題点は何一つ解決せず、さらに、余計な心配事が加わり、次の日を迎えることになった。


 大教室での授業。涼葉は隣に座ると、携帯を机に置いて、綺里の前にすっと差し出した。


 見ると滝井とのメッセージのやり取りだ。


「全然連絡してこないし、ダメだと思って放っておいたんですけど。昨日になって向こうから報告があって。驚いたことに、あの男子とはどうやらうまくいってるみたいです」

「まあ、そうなるよね」

「その自信はどっからくるんだか」

「正直、結果がどうなっても、あーしにはまるで何の影響もなかったから。そういうときの行動って、だいたい好結果になるんだよ」

「それって、例の、大事にしてるものは失くす、の逆説ですか?」

「そういうことだね」

「あの山椒農家の人も、その手法で助けてあげられませんか?何か気の毒で」

「あーしもそうは思うけど。さすがに専門外だよ。山椒で思いつくのはアゲハくらいだもん」

「凡人には意味不明の発想ですね」

「そう?園芸してる人には一般的だけど。山椒はミカン科だから、アゲハの幼虫がつくんだ。害虫扱いだけど、可愛いからあーしはめっちゃ好き」


 祖父の剪定の仕事の手伝いで、山椒やスダチなどの木からアゲハの幼虫を取り除くと、一匹につき十円をもらえた。捕獲したすべてを家に持って帰り、落とした葉を餌に、段ボールで育てるのが夏の思い出だ。


「八割は途中で鳥に食べられるんだ。だから羽化して巣立つ姿を見ると、感動する」

「でも、それって要するに、イモムシの観察ですよね」

「そのひと言で片付ける、涼の感性がときどき怖い」


 だが待てよ――。


 アゲハか。


 何かに使えそうな、そうでもないような。


 指摘されるまで意識したことはなかったが――これが涼葉の言うひらめきなのかもしれない。


 最近は外れ続きだったが、そろそろ結実する未来が待っていてもいいのではなかろうか。



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