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2-1

 週が明けた月曜日。


 昼食のあと、三限までの空き時間に、人材紹介会社に連絡した。


 岸辺たちも会議の結果を気にしていたらしい。不安そうな声音を聞き、何の問題もなかった上に、しばらく続けることになったのだと、必要以上に明るく答えてしまった。


 これでまた逃げ道を狭くした気がする。


 大教室へと移動し、いつものように後方に陣取って間もなく、涼葉が現れた。


「手違いの仕事、どうだったんです?無事終わったんですか?」


 あまりいい反応をもらえる気がしなかったが、仕方なく会議の結果を伝えると、彼女は裁判中の検察官のように、テーブルに両腕をついて勢い良く立ち上がった。


「承服しかねます」


 周囲の視線を一身に集めているが、まるで気にする様子がない。


「落ち着け。何が気に入らないのさ」

「原則、何もかもです。ちょっとの間、会議に出るだけで終わるって、そう言ってましたよね」

「そのつもりだったんだけど、仕方ないだろ。契約は法的に有効なんだから。だいたい、涼はあーしのバイト先に口出ししすぎ」

「もはやバイトとは言えないレベルだから納得できないんです」


 どんな感情でそう言っているのか理解不能だったが、単なる興味本位でないことだけは間違いなさそうだ。


「それで、これからどうするつもりですか。いつ辞職願いを出すんですか」


 あの場面で、必要以上に気分が高揚してしまっていたのは間違いない。一晩寝て起きたあと、気力よりは後悔が上回っていたのだから。


 辞めるのはおそらく簡単だ。先方の多くもそれを期待か、予想しているだろう。


 ただ、取締役たちに頭を下げる場面を思い浮かべるだけで、反骨心が再起動してしまうのも事実だった。


 因習にとらわれた大人に、負けていいはずがない。


「まさか、会社の人たちから一本取ってやろうとか、そんな無謀な野心を持ってるんじゃないでしょうね」


 授業が終わり、そんな綺里の心情を見透かしたかのように、涼葉は冷たく言った。


 自尊心以外で、続けるための説得力のある理由を見つけるとすれば、一つには金銭面か。成功したときの役員報酬がいかほどかは不明だが、エステのバイトよりは多いだろう。


「とりあえず……あと少しだけ付き合ってくれないかな。見てほしいものもあるし」

「少しって言うのは、今日これから?それとも――」

「どっちも、だね」


 まるで乗り気には見えない後輩の腕を取り、スクールバスに乗り込んだ。



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