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第8章 30 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

汐花チームが登録した写真は――


地球を背に、


白い翼のエフェクトを纏い、


自らの肩を抱くように佇む一枚だった。


静かに。


だが確かに、


視線を奪う存在感。


まるで――


月に降り立った、孤独な天使。


圧倒的な完成度。


その一枚は、


ラリーチームの写真を大きく上回り――


高級商業街の中ブロックを制圧する。


同時刻。


ホテル街では、


ティーナチームも中ブロックの制圧に成功していた。


順位が更新され、スクリーンに表示される。


スクリーンを見上げるラリーは歯ぎしりする。


「くっそ……!


 横から掠め取られた……!」


ラリーは地面を踏み鳴らし、悔しさを隠そうともしない。


「おい!ラリーさっさと次に行くぞ!」


「〜〜っ!!わかってるよ!」


ラリーチームは踵を返し移動する。


――そのとき。


汐花と葵時雨のデバイスに、


同時に通知が届く。


《投票バトル勝利の為》


《半径500メートル以内の任意地点へ転送可能です》


風が吹く。


汐花は、ゆっくりと視線を上げた。


「……葵、お願い」


透き通るような声。


迷いも、焦りもない。


ただ、次の一手を選ぶだけの静けさ。


それを受けて、葵時雨は――転送位置を決める。




開始から10分ー。


他のチームが次々とポイントを獲得していく中――


リリカチームは、あえて途中のブロックを無視し、


北エリアのさらに奥、最北端を目指して進んでいた。


すでにヴィクトリアチームが北の一番大きなブロックを制圧している影響もあり、


中層エリアの北西、南西へと、


各チームが集中し始めている。


その結果、ある現象が起きていた。


――ブロックの奪い合い。


隣接する別のブロックはすで他のチームが制圧しており


思うようにポイントが伸びないチームが、


徐々に増え始めていた。


その混戦を横目に、


リリカチームは予定通り、目的地へと到達する。


そこには――


笠を被ったアンドロイドが、


小舟に乗り、静かに待機していた。


迷いなく乗り込む。


小舟はふわりと浮かび上がり、


音もなく空へと昇る。


眼下では、


ポイントを取り合う他チームの姿。


その喧騒を置き去りにするように、


小舟は上層へと進んでいく。


「……けっこうポイント差、開いてそうだけど……


 大丈夫かな?」


紗良が不安げにランキングを確認する。


だが――


表示された数値は、


予想とは違っていた。


ヴィクトリアチーム 75ポイント


汐花チーム     40ポイント


ティーナチーム   30ポイント


「あれ……?思ったより差ついてない……?」


「あそこ見て!ヴィクトリアチームと汐花チームが競ってる⋯」


美咲が指差す方向はライブ会場とは真反対の東のエリア。


中ブロックを獲得した汐花はヴィクトリアに追いかけられるように移動している。


「中層は全部で65ブロックしかない上に、


 32チームもいるんだから、


 読み通りポイントの取り合いになってるみたい」


美咲の視線を上へ、その先にある、まだ手付かずの領域。


「だから――中層はスルーして」


「上層で一気に稼ぐ!」


その言葉に、


迷いはなかった。


小舟が、空を滑るように進む。


アンドロイドがオールを動かすたびに、


水の代わりに“空”が波打つように揺れる。


静かで、


どこか現実離れした感覚。


そのまま――


リリカチームは、


上層・北エリアへと向かっていく。

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