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第8章 28 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

会場の舞台に、期待の視線が集まる。


次の瞬間――


待機室から、選手たちが次々と転送され、舞台へと姿を現した。


そのたびに、


観客席から歓声が爆発する。


巨大スクリーンには、各チームの姿が映し出される。


迅たちもまた転送され、


舞台側から観客席を見渡した。


押し寄せる、熱狂と歓声の渦。


その圧に、空気そのものが震えているかのようだった。


「……すごい盛り上がりだ」


誰かが、思わず呟く。


全チームが出揃ったところで、


解説役のDBがスクリーンに出る。


「それでは――事前投票によるランキング上位5チームを発表いたします!」


テンションをさらに引き上げ、


DBの声が会場全体に響き渡る。


巨大スクリーンに、順位とチーム名が映し出される。




「まずは第5位――ティーナチーム!」


「愛ロイドのリーダー、ティーナと


 実力派ギルド“ブレイブワルツ”の精鋭メンバーで構成された、


 高い完成度を誇るチームです!


 このチームからは目が離せません!」


ティーナが軽やかに手を振り、


満面の笑みで観客に応える。


それに呼応するように、


歓声が一段と大きくなる。




「続いて第4位――ヴィクトリアチーム!」


会場がざわめく。


「圧倒的なパフォーマンスタイムの派手さで人気を獲得!


 さらにサポートには各ギルドのエース級プレイヤーが参戦!


 前日までの予測順位から打って変わって大きく食い込んできた、


 今大会のダークホースです!」


ヴィクトリアはドレスの裾をつまみ、


優雅に一礼する。


「事前投票とはいえ、ワタクシが一番でないのは少々不服ですが……


 まあよろしいでしょう。


 結果こそが全てなのですから」


自信に満ちた微笑み。


観客の熱気を、真正面から受け止める。




「第3位――リリカチーム!」


歓声がさらに大きくなる。


「愛ロイドの人気No.1アイドル!


さらにドイツの防衛戦で活躍したギルド!


紫の境界の紫電も参戦する注目チーム!


大会でどんな波乱を巻き起こすか楽しみなチームです!」


リリカは大きく手を振り、観客に応える。


その背後で、迅たちもまた歓声を浴びていた。


「うわ……こんなに見られるの、初めてかも……緊張する……」


紗良が小さく本音を漏らす。


「大丈夫。リリカが引っ張ってくれるし、


 私たちは自分の役割をやるだけ」


美咲が落ち着いた声でフォローする。


紗良はその言葉に頷いた。




「そして――第2位!」


一瞬、空気が引き締まる。


「新星と呼ばれる実力派アイドル率いる――サオリチーム!」


「プロゲーマーチーム“ルミナスホーク”と、


 終末の録音ラグナロクのサオリによる異色のタッグ!


 さらにルミナスホークは先月の世界大会で優勝!


 実力・人気ともに申し分なしのチームです!」


サオリ、神崎、天藤が揃って一礼する。


男女問わず高い人気を誇るその姿に、


会場の熱気は最高潮へと達する。


そして――




「いよいよ、第1位の発表です!」


一瞬の静寂。


「中国No.1アイドル――汐花チーム!」


歓声が爆発する。


「パフォーマンスタイム、前日までの人気投票共に堂々の1位!


 さらに、中国最大手ギルド“九尾の晩餐”より、


 実力者・葵時雨が参戦!


 期待値はまさに頂点です!」


スクリーンに映し出される、


汐花と葵時雨の姿。


その凛とした佇まい。


美しさと格の違いが、


観客の反応だけで伝わってくる。


――明らかに、一段上の存在だった。


「それでは各選手、スタート地点に移動いたします!」



 

各チームが、それぞれの初期位置へと転送されていく。


目の前に広がるのは――


雄大な大樹に支えられた、月の都市。


三層に広がる構造。


空中に伸びる道路。


重なり合う建造物。


そのすべてが、これから始まる戦場だった。


参加者たちは動かない。


まるで、


獲物を待つ狩人のように。


静かに、息を潜める。


巨大スクリーンには、


カウントダウンの数字が刻まれていく。


――3。


脈の高鳴りが、


その数字と重なる。


――2。


呼吸が浅くなる。


――1。


そして――


「ヴァーチャルリンク、開始!!」


その瞬間。


全チームが、一斉に飛び出した。


爆発するような初動。


駆け出す者。


跳躍する者。


スキルを発動する者。


都市が、一気に動き出す。


――だが。


その後方で、


1チーム、微動だにしない影があった。


ヴィクトリアチーム。


微笑みを浮かべたまま、


静かに佇んでいる。


「おっとー!?ここでヴィクトリアチーム、


 トラブル発生によりスタートダッシュ失敗か!?」


解説の声が、わずかに弾む。


観客の視線が、一斉に集まる。


そのとき。


ヴィクトリアの背後で、


サポートメンバーの一人が、ゆっくりとストレージを開いた。


取り出される、一つのアイテム。


その動きには、


一切の焦りがなかった。


「――《指導者の遠吠え》、発動!」


数珠のように連なった獣の牙が掲げられる。


次の瞬間――


どこからともなく、


狼の咆哮が木霊した。


低く、鋭く、空間を震わせる遠吠え。


そして――


四方から、白銀の狼たちが現れる。


群れは一直線にヴィクトリアチームの元へと集まり、


その周囲を取り囲んだ。


一切の迷いもなく、


ヴィクトリアたちはその背へと乗り込む。


次の瞬間――


駆け出した。


――速い。


まるで矢のように。


地形を無視するかのような軌道で、


他チームを次々と追い抜いていく。


「な、なんだ……!?」


「狼……!?」


驚愕に足を止める他チーム。


その横を、


白銀の疾風が駆け抜ける。


ヴィクトリアは口元を隠しながら、


優雅に笑った。


「ワタクシたちが、最初のポイントを頂きますわ。


 ――ごきげんよう皆さん」


さらに加速する狼たち。


先行していたチームすら追い越し、


中層開始地点に最も近い大ブロックへと一直線に突き進む。


「ヴィクトリア嬢!


 希少アイテムを使ったんだ、勝ってもらわなきゃ困りますよ!」


騎乗しながら、サポートメンバーが声を張る。


その言葉に、ヴィクトリアは微笑む。


「お任せなさい。


 この大会で最も輝くのが誰か――


 証明して差し上げますわ」


たどり着いたのは、


螺旋状に広がる巨大な商業エリア。


未来都市へと再構築された城下町のよつ。


斜めにせり上がる道が、


円を描くように最上層の広場へと続いている。


「ヴィクトリア嬢、どこで撮影する!?」


「無論――一番目立つ場所ですわ」


指し示す先は、最上部の広場。


狼たちは迷いなく駆け上がり、


瞬く間に目的地へと到達する。


見晴らしの良い高所。


都市全体を見渡せる、絶好の撮影ポイント。


ヴィクトリアは狼たちに囲まれながら、


その頭を優雅に撫でた。


まるで令嬢が大型犬を従えているかのような光景。


デバイスを展開。


合図と同時に――撮影。


「おっと!ヴィクトリアチーム、


 大ブロックでの撮影に成功!」


「……これは、凄い写真だ!」


スクリーンに映し出される一枚。


広場にてヴィクトリアと白銀の狼たちが映されてる。


躍動感あるシーン。


そして背後には――


エフェクトによって淡く輝く、地球。


ここが月であることを強く印象付ける構図。


「投票数、急上昇!!」


数値が跳ね上がる。


瞬く間に目標値を突破。


「ヴィクトリアチーム大ブロック、制圧!」


さらに――


「ボーナスブロック発動!ポイント1.5倍!」


「75ポイント獲得!!」


開幕直後。


圧倒的なリード。


「まさかの幸運!ヴィクトリアチーム、


 ランダム配置のボーナスブロックを引き当てました!」


「今大会の幕開けを飾るに相応しい一枚です!」


ヴィクトリアは満足げに微笑む。


「ふふ……運も、金も。


 すべては実力ですわ」


その言葉に、


サポートメンバーたちは苦笑を浮かべた。

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