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第8章 16 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

迅はうずくまるリリカの肩に触れる。


ビクリと身体を震わせ、リリカは小さく呟いた。


「……ごめんなさい……」


いつもの明るいリリカとはかけ離れた姿に、迅は言葉を失う。


この二人に、一体何があったんだ……。


その時、泡の壁の向こうで破裂音が響いた。


天藤は巧みに泡の反発を利用し、空中を舞う。


それを追うように、上空から紗良が襲いかかり、

中距離の地上からは美咲が氷の刃を投擲する。


さらに明鏡止水が、その後を追いかける。


紗良は足に焔を纏い、蹴りの連撃を繰り出す。


天藤は後方に泡を次々と形成しながら、飛び移りその連撃を回避した。


(当たらない……!!)


「はは、そんなんじゃいつまでたっても倒せないよ」


天藤の軽口に歯ぎしりをしながら、紗良は空中でさらに踏み込む。


天藤の頭めがけて、横蹴りを振り抜いた。


「はい、大振りしちゃったね」


天藤は掌から黒い泡を形成する。


それを漂わせるように投げつけた。


泡が紗良に触れた瞬間、破裂とともに爆風が巻き起こる。


「……っ!?」


紗良の身体が爆風に吹き飛ばされた。


空中を蹴って受け身を取るが、衝撃を殺しきれず地面を転がる。


爆風の黒煙を突き抜け、明鏡止水が天藤へ迫った。


抜刀――。


天藤は自身の乗っていた泡を割り、そのまま落下して回避する。


刀は空を斬った。


その落下先には、美咲が待ち構えていた。


冷気を溜め、二本の長剣を生成する。


針のように細い刀身。

白い冷気がゆらりと漂う。


宙から明鏡止水が返す刀を構え、美咲と挟み撃ちの形を作る。


天藤は冷ややかな視線を美咲へ向けた。


「甘いね」


手のひらから泡を瞬間形成する。


すくい上げるように腕を振ると、泡の波が地面から立ち上がった。


「うわっ!?」


美咲はその泡の波に飲み込まれる。


次の瞬間、美咲の冷気により泡が凍りつき、美咲は身動きを取れなくなった。


天藤はさらに空中に大きな泡を形成する。


明鏡止水は、不意に現れたその泡に沈み込み――


そして弾き出された。


あと一歩の距離で、天藤との間合いが引き離される。


「3人で戦ってるのに全然……近づけない……! 何あいつ…!早く迅の所に行かないと行けないのに!」


紗良は焔で美咲の身体に付いた氷を溶かしながら言う。


「日本一のプロゲーマーだからね……。めっちゃ強いな〜!」


美咲は悔しさと、どこか嬉しそうな感情が混ざった表情で、困ったように笑った。


美咲は左手に冷気を宿す。


「また同じ手かい?」


天藤はため息まじりに言った。


「紗良ー。この前のあれ、やるよ…!」


紗良は頷き、右手に焔を纏う。


そして二人は手を合わせた。


冷気と焔が混ざり合い、濃い霧が一気に放出される。


霧が二人を包んでいく。


天藤は索敵するように、無数の泡を空中へ漂わせる。


奇襲か。それとも隣の援護に向かったか。


そう判断した瞬間、天藤はすぐさま泡の壁を広げた。


美咲は広がる壁に阻まれる。


(対応が早い……でも!)


泡の壁へ冷気を浴びせる。


泡はたちまち凍りつき、固体へと変わった。


そこへ、明鏡止水が音もなく踏み込む。


凍った泡を静かに、鋭く切り崩した。


そして紗良が強く足を踏み込み、叫ぶ。


「いっけぇえええ!!!」


勢いよく、渾身の蹴りを割れた泡の壁へ叩き込む。


壁が砕け、霧散した。


霧と泡を突き抜け、その勢いのまま紗良は迅の近くへ着地する。


「あらら、突破されちゃったー?」


天藤は首をかしげながら、泡の波で坂を作り、神崎のもとへ滑るように移動した。


「おい、早く立て」


神崎は迅を睨みつけ、槍を構える。


しかし迅は耳を貸さず、リリカに寄り添う。


「おい、神崎、ほどほどに……」


天藤の言葉を無視し、神崎は槍を低く構えて駆け出した。


槍の穂先が地面を擦り、火花を散らす。


美咲と明鏡止水がその間へ割って入り、迎撃の構えを取る。


その瞬間――


地鳴りが響いた。


「なんだ……?」


低い唸り声が、周囲に木霊する。

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