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第8章 13 冬フェス ヴァーチャルリンク開催

奥の通路へと進む一同。


不気味なほど静まり返っており、黒く硬い床に響く足音だけが、やけに大きく感じられる。


「あ、あったよ。階段!」


紗良がマップを確認しながら、通路脇の扉を開く。


扉の向こうには、下へと続く階段が現れた。


覗き込むと、階段は何度も折り返しながら、遥か下へと続いている。


「すごい……。かなり下まで降りられそうだね。もしかして地下のもっと奥まで続いてるのかな?」


紗良は手すりを掴みながら、下を覗き込む。


「うーん、どうだろ。さっきみたいな大部屋がこの先にもあるとしたら、この下は地下二階かもね」


美咲が先に階段を降り、少し下の様子を確かめる。


階段を降りていくと、やがて階段室の出口が見えてきた。


その瞬間――


ぴしゃり。


美咲の頭上で、小さな音が鳴った。


足元に粘り気のある液体が落ちる。


「ん? 今なんか……」


美咲が上を向く。


すると、階段の裏側に――


巨大な黒いトカゲが、何匹も張り付いていた。


ぎょろりと大きな目玉が蠢き、一斉に美咲を捉える。


次の瞬間。


口を開き、長い舌を槍のように伸ばして襲いかかった。


「うわっ!」


美咲は動転し、足を滑らせて転ぶ。


その瞬間――


明鏡止水が階段を飛んだ。


刀を構えー、


抜刀。


横薙ぎの一閃。


まるで竹を断つように、伸びた舌を真っ二つに切り裂く。


そのまま壁を蹴り、上空へ。


トカゲの群れへと飛び込み、再び刀を構える。


乱桜みだれざくら


息もつかせぬ連撃。


凄まじい速度の斬撃が、回避を許さず、トカゲの群れを切り裂く。


瞬く間に、トカゲの群れは肉塊へと変わった。


黒い肉片が雨のように降り注ぐ。


その中へ、明鏡止水が静かに降り立った。


――ぽす。


口を開けたままのトカゲの頭が、美咲の頭にすっぽりとはまる。


「ぶほっ!」


美咲は慌てて両手でトカゲの頭を掴み、引き抜いて投げ捨てた。


粘液と黒い血が、アバターにべったりと付着する。


「うへー……」


ベタベタと粘液を振り払おうとするが、余計に絡みつくだけだった。


「うえええ、取って紗良〜!」


粘液まみれのまま、紗良に近づく。


「ヒィィィィ!! 近づかないでキモチワルイ!!」


紗良は高い悲鳴を上げ、慌てて迅の後ろへ隠れる。


「そんな〜、ヒドイ〜……」


迅は深くため息をつきながら、美咲のアバターについた粘液を摘んで取ることにした。


迅は粘液を摘み取りながら、美咲が投げ捨てたトカゲの頭へ視線を向ける。


「奇襲してくるモンスターもいるんだな」


転がったトカゲの口の奥には、妙に生々しいものが見えた。


人間の歯茎のような肉。


「……あれも実験体か…。なんかキモチワルイな」


迅は粘液を指で摘み取っては、地面へと捨てていく。


「迅もキモチワルイとかヒドイ!ちょっと傷つくんだけど……!」


美咲は少しむくれながら、ウインドウを開いた。


「ベタベタまみれで何言ってんだか」


迅は困った顔のまま、作業を続け、全ての粘液を取り除いた。


「ありがと!」


美咲は立ち上がり、ふと思い出したようにトカゲの死体へランタンをかざす。


淡い光が浮かび上がり、転換の光源へと吸い込まれていく。


迅は階段室の出口の上へ視線を向けた。


扉の上には――


**B2**


そう刻まれている。


「地下二階、か」


意を決して、迅は階段室の扉を押し開けた。


その先に広がっていたのは――


眩しいほどに白い通路だった。


先ほどまでの黒い通路とは、まるで別世界だ。


一同は自然と足を止め、周囲を見回す。


奇襲を警戒しながら、慎重に視線を巡らせる。


白い壁。


白い床。


白い天井。


研究所の無機質な内装も相まって、その光景はどこか――


**病院の廊下**のようだった。


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