表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/88

第5章 2 分かたれた仮想世界。

文章がおかしな点を修整いたしました。

深夜――。


美咲から、立て続けに通知が届いた。


真っ暗な部屋に、デバイスの淡い光が灯る。


ピロン……ピロン……


止まらない通知音。


やがて、着信音が鳴り響いた。


「……ふぁ……」


寝ぼけ眼を擦りながら、デバイスをタッチする。


「何時だと思って……」


『やっと出た! 早くログインして

防衛戦始まってるよ!』


一気に目が覚めた。


---


ログイン。


東京エリアの空に、**巨大な影**が落ちている。


転送ゲートは、沈黙していた。


周囲では、プレイヤーたちのざわめきが広がっている。


「やっぱ事前告知なしだったな……」


「ヤバい、緊張する!!」


「俺、装備ちゃんと整ってねぇよ……」


東京エリアだけあって、プレイヤーの数は桁違いだ。


この人数なら、今回の防衛戦なんとかなりそうだ。


「……てか、今回、乗り物いらなかったな」


ぽつりと呟く迅に、美咲が腰に手を当てる。


「それは言わないでよ!

 こういうこともあるでしょ!」


紗良は端末を操作しながら、SNSを流し見ていた。


「何か情報あったか?」


「うん……前回より、明らかに多い」


紗良は顔を上げる。


「色んなエリアで防衛戦が発生してる」


「どれくらいだ?」


「……たくさん!…9

 わかんない…」

美咲をあとを追うように情報収集する。

「12ヶ所だね」


一瞬、言葉を失う。


前回の倍以上。


「……どれだけ、防衛失敗するんだろうな」


迅は、転送ゲートを見つめながら、胸の奥に広がる不安を押し込めた。


――開始まで、残り30分。


---


中国・上海エリア。

九尾の晩餐――円卓の間。


一人の男が、巨大な世界地図を見下ろしていた。


デバイス越しに、落ち着いた声が響く。


『総帥。準備は整いました』


「ああ……」


男は、静かに駒を地図へ置いていく。


「今宵一夜――

 我ら九尾の晩餐が、仮想世界を掌握する」


---


再び、東京エリア上空。


「なんだあれ…」


敵戦艦とは**明らかに異なる影**が、都市の上に現れた。


敵戦艦と並ぶ大きさの戦艦。


「新手か!?」


「そんな話、聞いてねぇぞ!!」


突然の出現に、プレイヤーたちの混乱は一気に膨れ上がる。


美咲は即座にSNSを確認する。


他の防衛戦エリアにも、同じ形状の戦艦が出てる映像がSNSでアップされていた。


「どういうことだ……?」


迅が呟く。


「大規模イベントの……追加システム?」


戦艦は、交差点のど真ん中へと降下し、着陸した。


ハッチが開き、乗員が次々と姿を現す。


数え切れないほどのアバター。


所属表示が、一斉に視界に浮かぶ。


――**九尾の晩餐**。


中国最大手ギルド。


「……まさか、防衛戦の全エリアに?」


「いや、全部じゃない」


美咲は冷静にSNSの情報を照合し数える。


「6……7……8機くらいかな」


美咲が首を傾げる。


「一人一人、戦艦に乗ってるなら1機足りない…九尾の晩餐って、幹部は9人って聞いたけど……」


その時。


最後に、**異形**のアバターが現れた。


まるで影が人の形を取ったような、真っ黒なボディ。


黒い焔を纏い、腰にはジャラジャラとナイフを何本も下げている。


圧倒的な存在感。


美咲が、低く告げる。


「九尾の晩餐――

 幹部序列6位。

 **暗殺の沈・夜哭シン・イェク**」


堂々たる立ち姿。


その黒い焔は、周囲の空気ごと呑み込むかのようだった。


「……なんだか知らないけど、ありがてぇ! 応援か!」


「いや……どう見ても怪しいだろ」


「コエーんだけど。外国のギルドって、あんな感じなのか……?」


周囲のプレイヤーたちも、中国ギルドの突然の出現にざわついている。


「あいつらも美咲の作戦と同じく飛行船乗ってきたね」


紗良が警戒を隠さず言う。


「防衛戦で、大手ギルドが介入してくる前に一気に決める腹かも」


「前回の奪還戦、中国ギルドの介入が一か所だけだったのも変だと思ってたけど……」


美咲は腕を組み、上空の戦艦群を睨む。


「相当、入念に準備してきてるわね」


「……で、今始まってる防衛戦はどうする?」


迅が尋ねる。


「悔しいけど……様子見かな」


美咲は即答しなかった。


「あの人たちが、どう動くか分からないし……少し距離を取ろう」


美咲も、九尾の晩餐が放つ異質な空気を感じ取っているようだった。


---


「沈隊長。部隊配置完了しました」


九尾の晩餐の一人が、沈に報告する。


「……転送まで待機と伝えろ」


沈・夜哭は低く応じた。


「報告通りだな……」


視線を巡らせ、日本側のプレイヤーたちを見下ろす。


「日本は、ろくにギルドの編成もできていないらしい」


「……生温いな」


吐き捨てるように言い、沈は手を握りしめる。


アバターの指が、歪むほどの力。


「これから――ここを、地獄に変えてやる」


---


転送ゲートが展開する。


転送エリアにいたプレイヤーたちが、次々と敵戦艦へと転送されていく。


甲板に姿を現す、異形の群れ。


ピエロの兵士。

被り物をした人形。


――まるで、狂ったサーカス団。


その奥。


泣き顔の仮面を付けた道化師が、戦艦後方の出っ張りにしゃがみ、こちらを見下ろしていた。


「あいつ……」


「ギャラクシーヒーローズのマスクだ」


「マジかよ……!」


ギャラクシーヒーローズの情報を調べていたプレイヤーたちは、即座にその正体に気づく。


マスクが、演奏するように指を動かした。


すると、ピエロの兵士だけが前進を始める。


操られているかのように、左右に揺れながら走る。


――そして、プレイヤーたちへと衝突した。


ナイフ、斧が振り下ろされ、次々と手傷を負わせていく。


だが。


「……あ?」


「思ったより、弱くね?」


「押し返せ!!」


プレイヤーたちは慣れた様子で、ピエロ兵を倒し始める。


その様子を、九尾の晩餐のメンバーは後方で眺めていた。


一歩も、動かずに。


---


反撃の最中。


マスクは、もう片方の手の指をなぞる。


待機していた被り物の人形兵が、一斉に跳躍した。


ピエロ兵に気を取られていたプレイヤーたちへ、背後から組み付く。


――首を、刈る。


悲鳴。


混乱。


そして倒されたはずのピエロ兵士が起き上がり、


プレイヤー達に襲いかかる。


戦場は、一瞬で完全な乱戦状態へと変わった。


その瞬間。


沈・夜哭が、静かに合図を送る。


「――全軍」


一拍。


「突撃」


九尾の晩餐が、ついに動き出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ