第3章 そして世界へー。
**MISSION CLEAR**
――その文字が、画面上で歪み、崩れ落ちた。
直後、
ノイズ混じりのムービーが再生される。
宇宙が、黒一色に染め上げられていた。
それを宇宙だと認識できたのは、
bsの空――**de**と同じ星図が広がっていたからだ。
闇に覆われた宇宙の中で、
ただ一つだけ、光を放つ天体がある。
おそらく、それがこの惑星――**地球**。
他の星々は光を失い、
時間が止まったかのように影に抱かれ、
宇宙を漂っている。
そこで、ムービーは途切れた。
「……え? それだけ?」
地上を守り続けていた美咲が肩を落とす。
「せっかく苦労してゴクウ倒したのに!」
「全然情報落としてないじゃん!!」
美咲は肩を落とし、画面に向かって文句を言う。
「行こ!吹雪ちゃん!」
「そうね…」
表情を曇らせながら、画面名残惜しく視線を切る美咲。
「おーい! 皆ー!」
キャットちゃん、美咲、ネコニャンギルドのメンバーと共に
アバターの群衆の中から姿を現す。
「キャットちゃん! そっちはどうやったんや!」
八雲が手を振りながら、駆け寄る。
「いやー、あの後めっちゃ増援来てさぁ!」
「でっかいミノタウロスみたいなのとか」
「獅子の騎士とか、めちゃくちゃ強いモブが出てきて大混乱!」
キャットちゃんは、わたわたと身振りを交えて説明する。
「はえー……」
「よくやられへんかったな」
「増援の連絡も来てなかったから、何とかそっちはやっとると思っとったが…」
八雲が、これまでの戦況を整理するように言った。
「それが……」
キャットちゃんが続きを話そうとした、その時。
ウインドウが切り替わる。
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### 《日本都市・大阪 奪還戦 貢献度》
**最優秀者:八雲**
主な貢献:ボス撃破
**優秀者:スクリーム**
主な貢献:追加エネミー〈牛鬼〉最多討伐
**優秀者:暁月**
主な貢献:追加エネミー〈銀獅子〉撃破
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キャットちゃんが指差す先に、二人のアバターが立っていた。
一人は、両腰に刀を帯び、
袴のような衣装に身を包んでいる。
顔には、デフォルメされた般若の面。
もう一人は、
細切れでぼろぼろの黒いロングコート。
口元をマスクで覆い、
どこか異質な雰囲気を放っていた。
二人は紫電たちに気づくと、
ただ一度、静かに視線を向ける。
それ以上、何も言わず、
アバターの群衆の中へと紛れていき――
やがて見えなくなった。
「……なんや、あいつら」
「めっちゃ強そうやったなぁ」
「かき集めたメンバーの中には、おらんかった気ぃするけどな」
八雲は、不思議そうに二人の消えた方向を見る。
「おい! リーダー!」
「そんなことより、報酬金どうなっとんねん!!」
ウインドウに、報酬が表示される。
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### 《報酬》
**八雲**
報酬金:1,500,000ポイント
ボス撃破報酬:神珍鉄 獲得
**紫電**
報酬金:480,000ポイント
**龍焔**
報酬金:450,000ポイント
**吹雪3式**
報酬金:1,200,000ポイント
**キャットちゃん**
報酬金:640,000ポイント
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「ポイント、この前より高いな!」
「ってか、吹雪3式とリーダー、桁おかしない!?」
「リーダー!」
「これ、俺らの夢に一歩近づいたんちゃうか!?」
「キャットの姉御も、討伐数すげぇし!」
「これはもう……」
「胴上げしかないっしょ!!」
八雲商会は大騒ぎになる。
吹雪3式の評価を確認すると、
**作戦立案**と**桜門破壊**が大きな加点対象になっていた。
bsは、ここまで多角的な視点で戦場を見ている。
その事実に、
迅はわずかに冷や汗を覚える。
「今回、防衛戦前に資金半分使ったけどさ」
「倍以上になって返ってくるとはねー」
美咲は感心した様子でリザルトを眺める。
「おいお前ら!」
「まさか一発で成功させるとは思わなかったぜ!」
エンジニアたち――
タツローたちも合流してきた。
「で!」
「俺たちの最高傑作の大盾、どうだったよ!?」
ダメージを通さず、
横幅を広げつつ重量を抑え、
カーボンと希少鉱石を合成した素材。
さらに細部まで詰めた、
機能性特化のカスタム装備。
「めっちゃ活躍したよ!」
「桜門突破、大盾なかったら無理だったね!」
「あ、でも大阪城に置いてきちゃったけど!」
「……そうだろう……そうだろ……」
「……は?」
タツローが固まる。
「え? 言ってなかったっけ?」
「あんなデカいの、城攻略はともかく」
「戦闘には向かないでしょ?」
美咲は悪びれもせず言い放つ。
「お前らぁぁぁぁ!!」
「いいから早よ拾ってこいぃぃ!!」
タツローの魂の叫びが、
虚しく空に響くのだった。
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